不定期連載(予定)・僕の行きたいところ①北海道・金花湯/ととのえ(旧ゆがみ)

お久しぶりです。おニューのアカウントから初投稿です。本に参加してない罪悪感やら何やらでまた書きました。変に悩んだりするよりも何か楽しいことを考えていた方が無気力解消にはいいみたいなので、特にネタがないときにはこんな感じでごまかしていこうかと思います。

まず、今回のBGMから。渥美清さんの歌う「遠くへ行きたい」です。

 

 

最初のセリフがいい味出していますね。このように気が向いた場合には音楽を流していくと思います。ほかのパターンとしては、この歌のほかの人のバージョンとか「いい日旅立ち」とか地方地方の曲とかその他自分がいいと思った曲とか…。要は何でもありってことです。今回も良い曲だから選んだだけで完全に雰囲気合ってるわけではないし(おいおい)。

 

さて、今年の夏は某スタジオ生に連れられて色々と(といっても2か所)秘境に行きました。まあ個人的にも行きたいなとは思っていた所だったのでむしろ有り難かったのですが。話すと長くなるので土産話はまたの機会に。

で、その影響で「秘境に行きたい」と思うようになったということである。わかりやすい。それで調べて見つかったのが今回取り上げる「金花湯」である。

金花湯というのは、北海道の積丹半島と渡島半島の間の日本海側にある(言葉ではこれ以上詳しく伝えられない。最後に地図あり)人口1600人ほどの島牧村という村の、その中でも奥地にある誰にも管理されていない温泉である。どれくらい奥地かというと、まず村役場にたどり着くために最寄駅から、1日5本しか来ないバスで合計1時間ほど(しかも途中で乗り換え必須)揺られなければなりません。さらにそこから奥へ10キロほど(最後のほうはストリートビューにも出てこない道を)進んでから、車の入れない道を23キロほど歩くとたどり着くようです。書いたところで想像はつかないのだけれども。

 

そこで、どうやって入り口までいくかという問題である。考えられる選択肢、①レンタカー②レンタサイクル③自転車持ち込み④徒歩についてそれぞれ考えてみる。

①…一番近くのレンタカー屋さんまで100キロはある。ほかにドライバーがいればいいけどペーパーの自分にはキツイ距離である。どっちにしろ少なくともペーパードライバー講習を受けなければならないのもだるい。ぎりぎりまで荷物を持たずに行けるのはいいがよっぽどの理由がなければ避けたいものである。

 

②…レンタサイクルなんてちっちゃい村にあるのかなあ…って思っていたら村役場から約5キロほどにあるユースホステルで貸出しているのだそう。1日で往復できないのが許され、またどこかで置き去りにするのを申し訳なく思わない心があればいけないことはない。

 

③…おそらく村役場から入り口までの10キロほどしか使わないのに持ってくるのがだるい。飛行機用に空気を抜かねばならないらしいので空気入れを余計に持って行かないといけないのも手間。

④…23キロ悪い道を歩くのだから10キロくらい誤差の範囲かもしれない。重い荷物を持った状態なので無駄な体力消費は避けたいところでもあるが。

 

そういうわけで行くといたら徒歩かレンタサイクルでしょうね。

 

ほかにやることは

トレーニング(筋トレ・柔軟・歩行訓練)

機材購入

といった感じでしょうか。歩行訓練の様子は機会があればブログに挙げるかもしれません。ではでは。

 

こちらは今回の温泉の大まかな位置

 

PN変更のお知らせ/ゆがみ→ととのえ/夏課題番外編

お久しぶりです。なんだか最近人生が一歩先に進んだような気がします。成長したというわけでなく単に抜け毛が増えてきたということですが。しかもその抜け毛が細いんです。十分に育ち切る前に力尽きてるんでしょうね…。かわいそうに。別に抜ける前からかっこよくはないのでみんなが思っているほど重く受け止めていないつもりですが、一つだけ、ハゲても遠ざからないようにお願いします。そういえば、近々ハゲに効きそうな場所に行く機会があるような気がするので、その時に神(髪)頼みでもしようかと思っています。その話もまたやる気があれば書くかもしれません。

 

さて本題。この間の春学期は無気力が続いて、やる気のない文章を投稿したりして非常に迷惑をかけました。申し訳ありません。でも、「仕事がいや」とか「この授業がいや」とかならまだしも「(自由に書いていいのに)何も書く気が起こらない」というのは重症です。何にもやる気がないということですから。そういうわけでスタジオ企画にも参加できてないです。皆様お疲れ様です。そして重ねてになりますが申し訳ありません。何とかその状態を直そうととりあえずペンネームからでも変えていこうかと思ってこんなことをしています。別に春学期の時点で昔みたいな暗い文章は封印していたつもりなので大丈夫だと思っています。

ただ、秋学期は特に気分が不安定になる時期なので、時々元の感じの文章を勢いで書いてしまうこともあるかもしれませんので一応元のはサブアカで持っておこうと思います。ただし継ごうという猛者が現れた場合には遠慮なく受け渡します。もらった人は大事に使ってあげてください(お前が言うな)。また、何かの間違いで復活の要望が多かった場合には検討いたします。昔のような感じで書けるかはわかりませんが。

秋学期は今まで通り色々書くとは思いますが、宣伝みたいな文章が書いてみたいなとか考えています。とはいえ僕は有限不実行の男。どうなるかはやってみるまでのお楽しみということで。

中の中の奥/夏/縦槍ごめんね

そのとしは夏の不思議な、嘘のようなお話。

夏になり、僕はいつものように学校のプールに向かった。小学校のプール独特の塩素の臭いと、手入れされていないプールサイドが許せなかったが、水のなかに入ってしまえばそんなこと関係なかった。こんなに気持ちのいい世界があるのかと毎回新鮮な感動に浸っていた。プールがあるだけで僕はこの季節が好きだった。

その日も僕は水の中を存分に堪能していた。記録的な猛暑日に冷たい水は僕だけでなく、そこにいる全員を癒していた。またその状況に僕を含めた皆のテンションはその夏のピークを迎えていた。僕は目一杯息を吸い込んで下に下にと潜っていった。

しばらく潜って周りを観察していると、プールの排水口が少しだけ開いていることに気がついた。水難事故のニュースは先生からよく聞かされて、注意を促されていたのですぐにこの状況が危ないということが分かった。しかしここで僕がこの排水口を見て見ぬ振りをしてしまったら、他の誰かが事故にあってしまうかもしれない。怖くなった僕はその隙間を塞ごうとした。今考えればなぜその時に他の人に相談しなかったのだろうかと、自分の行動を悔やんでも悔やみきれない。つまり僕はその中に吸い込まれてしまったのだ。

あっという間の出来事だった。排水口の金網のずれを直そうと、そこに触れた瞬間に物凄い水の勢いに飲み込まれ、すぐに息が苦しくなった。死という言葉を考えることもできないほどその水圧の中では僕は無力だった。もがくことも出来ずに意識はどんどん薄れていった。もうほとんど僕の身体と脳が機能しなくなったとき、僕はいきなり硬いコンクリートに叩きつけられた。そしてその衝撃と共に遂に意識を失った。

「おい、小僧。起きんか!」聞き覚えのない声で目が覚めた。身体中に激痛が走り、ちゃんと起き上がることが出来なかった。少し落ち着いて声の方を見てみると。某モリゾーのような体毛ボーボーの叔父さんが目の前に立っていた。正直、状況を何一つ理解することが出来なかったが、その困惑をモリゾーは察したのか、この場所と自分が誰かということについて説明し始めた。

モリゾーの本名は織部信太というらしい。そしてここはこの水脈の中に謎に空いた唯一空気のあるスペースらしく、僕は本当に運よくここにたどり着くことが出来たのだということが分かった。モリゾーはここに40年近く住んでいるらしい。このスペースは海とも繋がっているらしくかなりの頻度で魚も獲れるらしく暮らしには不便していないそうだ。用を足すにもどこもかしこも天然の水洗便所なので臭いも全然気にならない。案外快適な生活をしていると彼は語った。しかし、この生活の欠点はその退屈さらしく久々すぎて僕を起こそうと声を出すのに時間がかかったらしい。

とにもかくにも僕は九死に一生を得た。しかしすぐに、この生活に限界を感じることになった。まずは猛烈にお風呂に入りたくなった。痒くて痒くて堪らないのだ。そして、服が海パンしかないので普通に生活していても生傷が耐えなかった。最も僕を苦しめたのが家族に会いたいという気持ちだった。つまり寂しくて寂しくて堪らなくなったのだ。毎晩、お父さんとお母さんのことを思い出して泣いていた。モリゾーは心配して側で寝てくれた。正直臭いので止めて欲しかった。

モリゾーと暮らし初めて2ヶ月ほどたったある日、水の流れる音が聞こえないところがあった。理由は分からないがそこの水が干上がったか、止まったか。上で水がなくなる何かが起こったんだと思った。これは、千載一遇のチャンスだと思いモリゾーの反対を押しきって僕は上に進んだ。結局モリゾーも着いてきてくれた。

ところがどれだけ進んでも地表には出ることは出来なかった。しばらくすると、モリゾーが僕を止めるときに恐れていっていたことが起こった。目の前から水の音が聞こえ始めた。モリゾーが僕の腕を引いて血相を変えて走り始めた。一度、あの水のない空間から離れてしまっては、二度と戻ることは出来ない。そうモリゾーが言っていたことも思い出した。どんどん迫ってくる水の音に、足の震えが止まらなくなってきた。モリゾーが引っ張ってくれないとまともに立っていられないほどだった。そして、いけないと思っていたが僕は水の音のする方を見てしまった。その瞬間僕たちは、激流に巻き込まれた。

一度体験したことはあるが、ほんとに、この時ばかりは何も考えられなくなる。ただ今回はモリゾーが激流の中でもずっと僕の手を握ってくれている感覚があった。そして、意識を失った。

しかし、僕達は再び水のない空間に叩きつけられた。その瞬間、奇跡的に戻ってこれたのだと安堵し眠りについた。

「おい、裕太。起きろ!」その声で目が覚めた。しかしその声の主はモリゾーの物ではなかった。隣を見るとモリゾーは、まだ眠っていた。それは父親の声だった。目の前に父親が立っていたのだ。初めは何が起こっているのか理解が何も出来なかった。そして父親の後ろに目をやると、見たこともない大きな都市が広がっていた。

モリゾーも目を覚まし、父親は今の状況について話始めた。僕がプールで事故にあったことを知った父と母は僕を追いかけるという暴挙に出たそうだ。まぁ当たり前のように水流に飲み込まれ気がつくと、ここについていたそうだ。ここにはすでに文明が発達しており、人口は二万人の都市を成しているそうだ。母もここにいるそうだ。そして、海底都市はここだけではなくいくつも存在していて、都市間で貿易も、行われているらしい。

あまりに突拍子もない状況を初めは受け入れることが出来なかったが、僕はそこで普通に暮らし始めた。今ではもう学校にも通って、地上にいたときと何も変わらない生活を送っている。そして海底都市にも、夏は来る。まあ普通に温度が上がるのだ。そんなときのプールは最高だ。塩素の臭いと手入れされていないプールサイドだけは許せないが、水の中に入ればそんなこと気にならなくなる。

やっぱり夏は特別不思議だ。特にこの都市は不思議な、嘘のようなお話だ。

一夏の/夏/YDK

あ、天井白いなー。

 
自分の上で腰を振っている男の顔が横にあるのをいいことに、テキトーな顔をしてそんなことを考えるけど、音は大切だからリズムに合わせて少し湿度のある、艶っぽい声を上げる。最低限のお仕事だ。

夏。一夏の過ちとはよく言ったもので、虫がわらわら出てくる傍で変な虫もゴロゴロ出てくるらしい。みんななんとなく性欲が強い気がする、気のせいかもしれないけど。かくいう私は例に漏れず、漠然と人肌を求めている。別にやりたいとかじゃないと口ではいうけどたぶん口だけで、始まっちゃえば入っちゃうのは自明だ。駅を歩いているだけで穴を求めた棒は寄ってくる。そこにはお金も発生したりしなかったりするけど、もはや誰でもいいんだろうなと思う。普通に気持ち悪い。でも気持ちもわかる。夏だし。ワンナイトラブはよく創作でも見るじゃない。

 

やってるときの自分が一番好き。共感してくれる人いないかなぁ。普段の私にはなにもないけど、してる時だけは確実に「女」って言うオプションがつくし、役割が決まってるからそれを演じきればいいだけ。普段は甘えたりできなくてもこの時ばかりは気が大きくなる。これ以上に楽なことも居心地がいいことも知らない。相手がいくとこまでいってくれれば嬉しいし、幸せだ。自分は最悪どうでもよくて、もはや誰かと眠りたいだけなのかもしれない、なんて。

どんな人間だって夜は生物としての「ヒト」になる。生身の、どろどろしてぐちゃぐちゃな、生温い存在。だから脆くて愛しいような気がするし、求めてしまうのだろう。その行為は、一体なんなのだろう。何かの映画で、「愛とは嫉妬混じりの強い性欲に過ぎない」という言葉があって胸をかき乱された覚えがある。なんだかんだ人を愛し愛されていたい私は、単なる性欲オバケなのかもしれないけど、それを認めたくなくて今夜もからっぽな愛を求めて天井のシミを数えている。

きっとあなたも、誰かの筋肉/夏/エーオー

申し訳ありません。締め切りを過ぎているので無理にコメントをつけなくて大丈夫です。いちおう、元気の出る話を書いたつもりですのでお暇な時にでも。

憧れのAさん(仮)にフラれてから、約六時間が経過した。
自室にて、顔を上げる。長年連れ添ってきた相棒(※ダンベル)がこっちを見つめてきた。
なに、分かっていたさエリオット(※ダンベル)。深呼吸し、胸に深く刻む。
そう。
信じられるのは己の筋肉だけだと。

日曜日。ランニングを終えて、息を整えながら公園に入る。
今日は調子がいい。上腕二頭筋から肩回り、腹直筋まですべての筋肉が流れるように連携していた。とめどない汗は彼らの感動の涙だろうか。ありがとう、すべての筋組織よありがとう。俺は乳酸の軋みの拍手に迎えられながら、いつものベンチに向かった。
先客がいた。
なにっ。朝とは言えど夏の公園、俺のように強靭な者意外、皆干物になることを恐れて近寄らないはず。
好敵手の予感である。俺は全身のミトコンドリアに出動命令を出す気持ちで近づいた。
近づいた。
「……」
装てんされたエネルギー。しかし発揮されることなく、沈下。
この公園で一番涼しい場所。日陰のベンチの上には、数式の書かれた紙を握りしめた男が座っていた。

「……なんですか」
眼鏡の隙間からうろんげな眼光がのぞく。目の下には深い隈があった。
「……いえ、すみません」
くたびれたシャツとズボン、不健康なほどに痩せた体躯をしている。おそらく、俺と同じ下宿生だろう。どうやら筋肉で話が通じそうな相手ではない。残念なようなほっとしたような気持ちだ。ひとつベンチを開けることにした。
ベンチの脚に足の甲を引っ掻けて仰向けになる。脚はおにぎり型に固定された。よし、ずれない。準備完了。さあいこう。
呼吸を練り上体を起こす。すると横からひしゃげた悲鳴が上がった。
「どうしました?」
「は? な、なにやってるんですか?」
男は白い顔をさらに青白くしていた。腹筋です。答えながらも姿勢をキープする。俺は筋肉教信者だ。逆境でこそ、筋肉は輝く。
男はしばらくこちらをねめつけていたが、青汁を飲みくだしたような顔で数式に戻っていった。時おりちらちらと見てきたが、俺はそのまま腹筋を続ける。どうやらここを離れる気はないようだ。
俺も、譲る気はない。
上体を起こす。鉛筆の音が聞こえる。俺が上体を起こす。また鉛筆の音。
ふっ、シャッ。ふんっ、シャッ。ほんっ、カリカリカリ。
ええい、往生際の悪い奴め! 俺は躍起になって筋肉の声に集中しようとした。毛穴が開き汗が吹き出す。動き続ける鉛筆が視界の隅に入った。
勝負はそのまま、第二ラウンドの背筋にもつれこんだ。

それから毎週、俺とその男は戦いを繰り広げた。
勝敗は、よく分からない。当たり前だ。しかし負けたくない。俺の身体に乳酸がたまるたび、男のノートに数式が増えていく。俺の体脂肪率は一桁台に突入し、奴のノートの冊数は二ケタにのぼった。まさしく、筋肉VS頭脳。ジハードである。
上々だ。俺は信じるもののために戦った。筋肉は一日にして成らず。日々の戦いは糧になり、いつか相手を倒すための力となるだろう!
俺はさらに過酷なメニュー票を作った。その壮絶さに身体中の筋繊維が歓喜で震えた。

さて、ある朝のこと。俺はベンチにへたり込んでいた。
「……どうした、不戦敗か」
相変わらず青白い顔で男が尋ねてくる。俺は平常を示そうとしたが、身体を起こしたとたん全身に痛みがはしりうめき声を上げた。
ああ無念。完敗だ。原因は昨日のビーチバレー大会である。
「お前でも筋肉痛になるんだな」
「実践と、筋トレは、違うからな」
木っ端みじんのプライドが、それでも往生際悪く言い訳じみたことを吐き出した
やはり使い慣れない筋肉というものはある。
なに、落ち込むことはない。更なる開拓地を見つけただけの話。そう、神は試練を与えさらなる高みへ俺を導く。ならばむしろこの痛みは祝福! 分かった。潔くこの敗北を認めよう。再び筋肉と真摯に対話するために。
ところが、ヤツもヤツでなにやら試合放棄の様相だ。
いつもは数式のプリントにそそがれる視線も、今は空気中に拡散している。鞄からは紙が数枚はみ出していて、付箋が大量に張られ大きなバツや二重線が引かれていた。
鉛筆も握らずその腕はだらんと投げ出されている。
のんきな入道雲が出来上がりつつあった。お前らはオレに関係ないよ、という顔をしていた。
筋肉は、嘘をつかない。俺はそのことを信じられる。
だって目に見える。触れる。明らかに俺の身体に表れる。運動センスは才能だしどうしようもないのと違って、筋トレはやった分だけ帰ってくるから平等だ。筋肉は一日にして成らず。筋肉痛は進化の兆し。ぼろぼろの筋繊維は、再び結合するとさらに強い筋肉となる。それが、みんなに分かる。たぶん、装置や数値でそれは見られる。
じゃあ、
俺たちが黙ると、蝉の合唱で空間が満ちた。熱気はじわじわと気力を削り、眼の周りの筋肉の弛緩に拍車がかかる。
頭って心って、どうだ。見えにくい。頭蓋骨の下でなにが起こってるか見当はつかないし、その痛みは本当に筋肉痛と同じだと分かる日はくるだろうか。
汗がひとつ、プリントに染みを作った。

その日は平日だが授業が休講だった。せっかくだから公園へと向かった。
驚くことに、奴もベンチにいた。抜け駆けは失敗のようだ。そんな熱血が嫌ではなくて、でもそんなそぶりを見せないようスムーズに筋トレの姿勢に入る。
俺はいつものように腹筋を始めた。集中して呼吸を練り、痛めつけるべき筋肉を隅々まで意識してやる。
鉛筆の音は、聞こえない。いつになっても聞こえない。
「どうした、不戦敗か」
男は遠くを見て答えなかった。濃淡のない、気の抜けたエリンギみたいな顔だ。いやな予感がした。
「なんかあった?」
「……まあ」
「何?」
「……ゼミの発表を、サボっている」
ゼミの発表。
重要である。おそらく、普段サボりにサボりを重ねる学生でもそれだけはちゃんとやることだろう。ましてやこいつは見た目的にガリ勉の部類に入りそうだし、ちょっと待て、じゃあ連日の数式はこの日のためだったのか?
「え、やばいんじゃないの」
「まあ、やばい」
「え、もう間に合わないの」
「わからん。もう、無理だ」
俺は思わず腹筋を止めていた。この真夏に奴は固く膝を抱えていた。
「いや、なんだかもう何が正しいのかわからなくてな。最初はピンと来てたんだが、やればやるほどこれに意味があるのかが分からなくなってきて。俺でさえ迷走してるのに、ましてや発表してもみんな分からないだろうし、そんな、かんじだ」
奴の言っていることはもちろん分からなかった。生ぬるい風が頬をなでた。
立ち上がる。屈伸、アキレス腱伸ばし、手首足首を捻って準備をした。散らばったプリントをとりあえず全部鞄にブチ込んで胸倉に押し付けた。
「お前、行けよ。逃げんなよ」
たとえ分からなくとも、俺の腹筋を止めさせた罪は重い。

走っていた。俺は炎天下のなか大学までの地獄のような坂道を爆走していた。
ただの爆走ではない。二宮金次郎式・爆走である。もっとも、勉学に励んでいるのは背中に乗った男だ。
あの後まだ計算が終わっていないと奴がごねたため、俺はじゃあ背中に乗ってる間にやれよとキレた。汗みどろの背中で鞄を机にして、奴はようやくスパートをかけたようだ。
筋肉は嘘をつかない。筋肉は一日にして成らず。
ならば見えずとも一日にして成らぬものは、全て筋肉という形を与えよ。
俺は奴のやっていることが意味のあることかどうかは分からない。しかし積み重ねられたものを見ていた。壊れてまた結んできたのを知っているから、つまり俺は、奴の筋繊維であり筋肉である。
そう、筋肉は嘘をつかない。だから俺を信じればいい。
ついに校門へ突入した。この後は階段という最大の難関が待っている。後ろの鉛筆は正確なビートを刻んでいた。いけるか、俺の筋肉たち。答えるように彼らは震えた。
そして天啓が降り注ぐ。
ああ、孤独を武器に鍛えた筋肉も、誰かと繋がる力に成り得るのだと。
蝉の拍手は鳴りやまない。息を制御して、階段を足の裏で蹴る。そこに生まれたエネルギーがすべて身体に伝わっていくのを感じていた。

禁忌のセオリー/夏/ふとん

「いいねが止まらない♡フォトジェニックなひんやり可愛いスイーツのお店5選」

「『夏だね』って言われたい。彼との会話を広げる夏の風物詩ネイル3選」

美容、恋愛、メイク、ファッション、ネイル.…
なんとなく開いた、CMもやってる大人気女子向けまとめアプリには、今の季節に合わせた記事がずらりと並んでいる。
このアプリを見るたびずっと思ってたことがある。

ばかじゃないの?

並べば誰でも食べれるスイーツの写真をインスタに載せて、いいねを稼ぐことで自己顕示欲満たして、恥ずかしくないの?
彼がネイルに興味あるわけないだろ。むしろネイルはださいと思ってるけど褒めると女の機嫌がよくなるから褒めとくっていう人もいるよ。
こうやって記事の内容をばかにしながら読むのが楽しくて、なんだかんだいつもアプリを開いて読んでしまう。
読んでいる人は、このアプリの記事はキュレーターとして登録しさえすれば誰でも書けることを知っているんだろうか。可愛いかおしゃれかどうかも分からないそのへんの女子が書いてるということなんだから、参考にしないほうがいいと思う。モテたいなら女子の勘違い記事を読むより男子の本音を聞いたほうがいいに決まっている。モテようとしてばかっぽい記事を必死に読んでること自体が男子からみたらマイナスのような気がするけどね。

ツイッターやインスタグラムを見ていても、同じようにつっこんでしまう。私の性格が悪すぎるのか?と心配になってくる。

またディズニー行ったの?よく見てみ。そのネズミそんなに可愛くないよ。
サーティーワンの100円セールに3時間も並んだの?私なら100円もらっても並びたくないわ。
屋台で焼いた肉のためによく炎天下の東京の人ごみに飛び込もうと思ったね。
誕生日を祝った側がなんで写真載せるの?おめでとうはフォロワーじゃなくて本人に言えばいいんじゃないの?

4人で遊んだらしいとき、4人全員がつぶやくから同じような写真が続いて滑稽。でもそれぞれ中高の友達にも見てもらいたいからしょうがないよね。

 

…はい、友達がやってたとしても絶対に言えない言葉の数々です。

 

私だって昔はそういう投稿してたけど、いつのまにか冷めた目でしか見れなくなってやめた。でも、そういう投稿をしてる人、それなら見るなとか言わないで!そう、見たくないわけでもやめて欲しいわけでもないのだ。村本とか山里みたいにリア充死ねと思ってるわけじゃなくて、単純にそういう人を見るのが楽しくてもっと見ていたい。もっと投稿してほしい。誰かに内心ばかにされてるかもとか気にしないでください。夏休みになれば、タイムラインには遊んだ報告がもっと増えるに違いないから楽しみだ。

さて。他人をさんざんばかにしておいて、自分はなにをするつもりなのか。手帳の8月を開いて、やってみたいことを書き出してみた。海、プール、花火…

普通すぎてつまらない。やり直し。本当にやりたいのは?

出合い系で援交。
整形と豊胸。
バイトでおじさんとJKさんぽ。
メイドリフレで働く。
迷惑メールのサクラになる。
ソマリアに行く。
サウジアラビアで聖地巡礼。
チベット密教を学んでチャクラを開く。

 
実行してはいけないものばかりで、実行出来てもとても人に言えるものじゃなかった。さらに、夏とか関係なかった。
でも、やりたいなあ。

危険なことって、どうしてこんなに魅力的なんだろうか。

雑記 7月7日/夏/ T

七夕の日。去年は短冊に願い事をいくつか書いたけど、今年は書かなかった。理由は、去年書いた願い事が一つも叶わなかったからだ。1年もたったのに。欲張ってしまった可能性も大なので、今年は心のなかで延長。

 

最近数人からなぜかほめられた(内容はそれぞれ色んなことだった)。

なんか面白いねーって言われて、なんか良いねって言われた。別にただ片手におさまるほどの数の人にそう言われただけなんだけれど、普段そんなこと無いし、外が暑くなり始めてからの短い間にババッてまとまってあったから、ちょっとドキドキしている。(女の人が多かったから!!…ということもある)

 

ほめられるのはいつも突然で、ぼーっと突っ立ってると、いきなり来る。だからその瞬間はほぼ驚きしかなくて、「あ、なんかどうも、、なんかすいません」みたいなことをボソボソ言って、その場を立ち去る。恥ずかしい。

でもちょっと時間がたって、自分の中でその瞬間のことが処理できるとジワジワ効いてくる。嬉しい。夜家に帰ってから一人でニヤニヤするし、なによりとても穏やかな気持ちで布団に入れる。安眠効果。普段分泌されてない脳内物質出てる気がする。

次の日とかになると、なんか面白いねーはもしかしたらほめられてる訳じゃないのかもしれんなあとか思ったりもしてきて、一度来た波はだんだん引いていく。感情のバランス。また色々抑止するホルモンみたいなのが脳で出てると思う。うまくできてる。

 

自分が生きていること、やっていることに、他人から何かしら反応があることは、衝撃的だ。大げさな書き方だけど。それは驚きであるし、そしてだいたいの場合嬉しい。嬉しいというか、意味があると思える。自分にとって意味があるということと、自分の存在に意味がある…とかいうことをサラッと思わせてくれること。

…私が普段自分の頭の中でグダグダ考えている「自分が生きてることに何の意味があるんだ…」的なことを、少しの間考えないようにさせてくれることが、自分にとって大きいことなのかもしれない。それは、ほめられる時も、自分の欠点を指摘される時でも、あまり変わらないと思う。

…ほめられたほうがいいけど。怒られるの怖いし。

 

 

そんなことは自分の中のことだからほんとにどうでもよい。ほんとに言いたかったのは、夏風邪で体調を崩して心もカサカサになってた時に、私に声を掛けてくれて、ほめてくれた人々が、えっと、暑い日に食べる、食後の少しのアイスくらい(例えが…)、、優しくて、癒されたということと、ほんとにありがたかったのにその人たちの前ではボソボソすることしかできなかったた自分がイヤになったことでした。

 

でもなんで今の時期にまとまってほめられたのかが、よく分からない。よいことが立て続けにあると、次は悪いことが立て続けに待っているはずである。きっと。これから来る夏本番、人生の暗黒期に突入していきませんように。。と織姫と彦星にとりあえずに祈っておくことにした。怖いなあ。

嫉妬のBarbeque/夏/オレオ

夏?あぁ、夏ね。夏は青春の季節だと俺は思うよ。何故かって、大学生は夏に海とか山とかでBarbequeするじゃないですか。何でウェイな大学生はどこかしらでBarbequeしたがるんだよ……意味わかんねぇよ……。山に行ったら川でBarbequeだろ?海に行ったら浜辺でBarbequeだろ?何なのこれ、Barbeque強いられてるわけ?

いや、でも別にBarbequeする奴は皆んなアホみたいなこと言ってるんじゃなくて、何で最終的にBarbequeに至るんだろうって少し思っただけなんだけどね。俺だってBarbequeしてぇよ。男女比率が5:5のメンバーでBarbequeしてぇんだよ。だからBarbequeしてる奴ら見ると嫉妬しちゃってBarbeque何て……とか言っちゃうんだよ。全く俺ってばツンデレボーイだろ?いや、ただの嫉妬クソ野郎か。

でもさ、そりゃ嫉妬もするよ。だって世の中のウェイはBarbeque行って生意気ボディの水着の女の子とBarbequeできちゃうんだぜ?正直、男はBarbequeとかどうでもいいと思うんだよね、何が一番の目的かってそりゃ生意気ボディの水着の女の子を視姦することだよ。言わせんな恥ずかしい。可愛い子の無防備な姿をBarbequeをするという清らかな名目で間近に見れるんだから最高じゃねぇか。谷間。太もも。お尻。うん、最高じゃねぇか。

あぁ、俺も人生一度でいいから夏に可愛い子とBarbequeしてぇな。いや、別にBarbequeじゃなくてもいいよ。花火とかでも全然いいよ!露出は無くとも可愛い子の浴衣姿とかグッとくるからね。

つまり、俺が何が言いたいかと言うと――

青春したいんです。

言い訳:テーマがギリギリまでわからなかったので書く時間が無くて遅れました。

そんなのすぐに/夏/やきさば

梅雨が終わり太陽も本気を出してきた。
じりじりとわたしの生活するありとあらゆるところを照らして、わたしはだらだら汗をかかずにはいられない。体のいたるところを蚊に噛まれて、かいて、夏が終わる頃には跡になっているだろう。唯一の自慢の色白肌もどんどん焼けて、無様な小麦色になるだろう。少しでも膝を曲げてれば裏に汗がたまるし、人と寄り添えばベタベタする。わたしの寝床であるロフトも、この季節はもう暑くて寝られない。

でも、わたしは夏が嫌いなわけじゃない。

太陽に照らされてるのが嫌であれば、すぐ室内に入ればいいし、汗をかいたらタオルで拭けばいい。焼けるのが嫌なら日焼け止めを塗ればいいし、蚊に噛まれるのが嫌なら、虫除けスプレーを使えばいい。
ベタベタするのが嫌なら、クーラーきいた部屋で寄り添えばいいし、ロフトでねれないなら、いつものリビングで寝ればいい。
疲れて家に帰るとむわっとした空気が襲ってきて嫌になるけれど、それだってエアコンの除湿ボタンを押せば1発で華麗な勝利をおさめられる。

そう、夏は煩わしいことがいっぱいあるけれど、そんなのすぐに解消できるのだ。だからわたしは夏が嫌いなわけじゃない。

嫌い、ツライとか、悲しいとか恋しいとか、したいとか、その時に自分全部を投げ出すほど自分全部をいっぱいにした感情も、時間が経てばすぐに解消される。

こないだバイト先がもう潰れるからと解散会なる飲み会があったけど、その時の、悲しい、寂しい、ありがとうございましたは全部翌日になれば消えていた。むしろあの時のあの感情は嘘だったんじゃないかと思うくらい。

昨日、みんなで初めての挑戦をして、何度も何度も頑張って、徹夜で作業して、やっとそれを達成して、とびあがるほど嬉しかったけど、今日になれば全部消えていた。昨日のあの喜びは嘘だったんじゃないかと思うくらい。

今朝、授業に向かう時、暑すぎて死にたい、帰りたいと思ったけど、クーラーのガンガン効いた教室に入れば全部消えていた。さっきのあの感情は嘘だったんじゃないかと思うくらい。

全部消えてしまうたび、嘘だったんじゃないかとわたしはわたしを疑ってしまっていたけれど、人間そんなもんかと最近は開きなおってきた。
毎日感情をリセットしていくわたしにわたしは悲しさを感じていたけれど、人間そうじゃないと生活できないわけで、実際は、明日また朝が来るように、1年後には夏がまた来るように、あの時のあの感情は完全には消えていない。
それは記憶になって思い出になってきっとわたしの中に眠っているのだろう。その時その時に自分全部をいっぱいにした同じような感情を繰り返して日々生きていくのだろう。

だからかかってこい!夏!