月曜の朝/駅/さくら

10 月のある朝の出来事である。

楽しかった日曜日が終わると、僕の大嫌いな月曜日がやってくる。
「また明日から学校か…」
そう言って嫌々ながらベッドに横になる日曜の 25 時。いつもより少し遅い就寝時刻であっ
た。暗くなった部屋では、眠る前に必ずいじるスマホの光が顔を照らしている。

そして月曜日の朝、あの事件は起こった。
「しまった!もう 8 時だ!」
寝坊だ。しかしまだ、そこまで慌てる時間ではない。
普段、僕は自転車で通学しているが、いざ遅刻しそうとなれば、電車を使って通学することができる。往復 300 円を負担するのはシャクに障るが、ここまで無遅刻無欠席を続ける自分としては、それに見合う価値があると踏んでいる。
学校に間に合うための最終電車は…8 時 13 分 T 駅発。自転車を買ってもらうまでは定期を買ってもらって電車で通学していたから、乗るべき電車の発車時刻くらいは覚えている。

8 時 4 分。僕は飛び起きると急いで制服に着替え、歯を磨いて顔を洗い、家を出る支度を整えた。リビングでは、母が洗濯物を畳んでいる。TV に目をやると運動会特集。今年もそんな時期か、と思いながらもそんな場合ではない。道中で食べるための菓子パンを持って、急いで家を出た。
「ちょっと待って!」
母の声。しかし、僕はもう 1 分 1 秒を争う時間との戦いの渦中にいる。
「ごめん、急いでるから!」
「今日は ― …
僕は家を飛び出した。飛び出す直前に、母の声が少し聞こえたが、仕方がない。心の中で母を無視したことを謝りながら、ダッシュで駅に向かう。8 時 7 分。

発車まであと 6 分。家から駅までは徒歩 10 分の距離だ。でも、僕は元陸上部。脚には自信があるから、4 分あればダッシュで間に合わせることができる。

疲れてきた。元、といってももう 3 年前の話。そうそう体力は維持できるものではない。
ただ、駅はもう目の前だ。

8 時 12 分。息を切らしつつも、駅に到着した。改札を抜けると、いつも見る同じ制服の学生たちの姿がない。もしかして、今日は電車が早めに出てしまったのだろうか…と思って腕時計を確認する。8 時 13 分。いつもならこの時間に例の普通電車がこの駅に停車して、
たくさんの学生やサラリーマンがこの駅で乗降するのだが…今日はいない。

今の世の中は便利だ。スマホを開けば、列車の運行情報を見ることができる。さっきは急いでいて見る暇がなかったけど、もしかしたら遅延情報が出ているかもしれない…その時スマホのカレンダーを見て僕は気づいた。

「今日、体育の日だ…」

TV の運動会特集、母の呼びかけ、学生のいないホーム。すべてが繋がった。既に体力を使いきっていた僕は、思わず誰もいないホームに倒れこんだ。しばらくして、この重くなった体を抱えて家まで引き返すことにした。

ピンポーン

改札で止められた。
「ごめんねお兄ちゃん。同一駅下車はできない決まりなんだ。」
「130 円」

この日僕は、心身ともにボロボロになるまで運動したのだった。体育の日だけに。

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「月曜の朝/駅/さくら」への2件のフィードバック

  1. これは実話でしょうか?そうだったら御愁傷様ですと言わざるを得ませんね、お疲れ様でした。
    オチのあるはなしとしてちゃんとオチがあるものの、少し単調といいますか、なんだかインパクトが薄めかなと思いました。まあ日常の話を書いていてそんな大きくオチることって多分ないので、これくらいのゆるいオチの方が読みやすくていいかもしれません。
    オチが二つある話、ということでどうしても最初のオチが薄れてしまうのですが、書き方を少し変えるともう少しエッジの聞いた文章になるかもしれませんね。にちゃんねるとかの文章を参考にすると、尖っているくせに間抜けな笑い話の雰囲気が出て、くすっと来れるんじゃないかなあと思いました。

  2. 無駄がなくテンポの良い文章で、遅刻フラグの朝のバタバタ感がよく表現できていると思う。
    オチはだいぶ早い段階で分かってしまったので、そういうことか!とはならなかったが、最後の改札で少し切なくなった(笑)
    学校まで着いて気付くのではないところに、微妙にリアリティがあるが、実話なのだろうか。

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