いつかは/青春/Gioru

いつかは一緒になると思っていた。

 

もう何歳のころからかは忘れたけれど、物覚えがついた時から既にシュウは側にいた。

まだ小さい時にはシュウはいつもべそべそと泣いていて、その度に私にすがり付いてきた。何度も何度も慰めてあげて、私が何とかしなくちゃっていつも思っていた。

 

その構図が崩れたのは中学に入ったころだったかな。

シュウの背が急に大きくなったのもそうだけど、なにより私の印象に残ったのは泣かなくなったことだ。

 

いつも私を頼ってきてくれた彼はもういなくて。

ちょっとした気遣いができて、困ったときに頼りになれる男の子になっていた。

そんな変化に私はなんだかむしゃくしゃとして、他の女の子に手を貸す彼を複雑な気持ちで見ていた。

 

ある時、先生に頼まれていた仕事を私が一人で片付けていると、彼がやってきてこう言ったのだ。「手伝おうか?」と。「シュウのくせに!」と言って追い払ったつもりだったけど、彼は困ったような笑顔をしながらも、そのまま私の仕事を半分取り上げて作業を始めてしまった。

思わず睨んでしまったけれども、その時にはこちらを見てなくて、真剣な表情で仕事をこなす彼がいた。

そんな眼差しにドキッとして、ようやく私は

 

彼への恋心に気が付いた。

 

でも。気づいたからなのか、今までの態度を変えて接することなんてできなくて。

それでも彼と一緒にいたいから、必死に勉強して彼と同じ高校に進学する。

言葉には出せなかったけど。やっぱり嬉しかったから、その時だけはわがままを言って、彼と一緒に校門前で写真を撮った。

今までの私の中で最高の笑顔だったと思う。

 

このままずっと一緒にいたい。

そう思っていた。

 

けれど運命というものは残酷なのか、あるいはこれが普通なのか。

なんの警戒もしてなかった私に彼はこう告げたのだった。

「俺、好きな人ができたんだ」

 

少し照れくさそうに、ぼそぼそっと彼は私にしゃべってきた。

あまりの衝撃で心臓が握りつぶされたかと思った。

 

固まっている私には彼は気づかないで、彼は彼女のどんなところが好きなのか、どうやったらもっと仲良くなれるのか、手伝ってほしい、とかそんなような内容の話を長々と続けた。

何とか相槌を打って流して、でも自分の気持ちを隠しているから。

「応援するよ!」

胸が張り裂けそうで、苦しかった。

 

どうやってその後を過ごしたのかは分からないけど、次の日の朝、自分の部屋の鏡には目の周りを真っ赤にした女の子が立っていたのは覚えている。

 

彼の姿を廊下で見つけたら、見つからないように遠回り。

知らない女の子と話していたら、見つからないように隠れる。

教室で話しかけられても必要以上には長く話さない。

たまに、「もしかして何かのことで怒ってるの?」と聞かれたら笑顔で彼の頭を小突いた。そしてこう言ってやるのだ「バーカ」って。彼はそれを私なりの冗談と解釈して笑ってくれるけど、これは紛れもない私の本心。心にひびが入っていくのがわかった。

 

 

夏の始まり。ちょうど文化祭が終わったころだっただろうか。

突然彼が私の家を訪ねてきた。

「振られちゃったよ」

本当に久しぶりに、彼の目に光るものを見た。

 

何年振りかわからないよしよしをしながら、私の気持ちは小躍りしていた。

そして、それに気づいて自嘲する私もまたいるのだ。

 

本当に嫌な女、ってね。

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「いつかは/青春/Gioru」への2件のフィードバック

  1. 自分にも同じことが言えるが恋愛漫画でよくありそうな展開だなと感じた。あまり枠組みに囚われすぎず、自由に書くこともまた変わって面白くなるかもしれない。

  2. 上にもあるが、守ってあげていた幼馴染という設定が、少女漫画っぽくて、実際にそのような関係の人たちはどれほどいるのかなと、少し思った。
    全体的に「~した」「~した」が続き、少女漫画の要約のようになってしまっているので、感情や場面の描写にもうちょっと力を入れると、この設定でも物語として生きてくるのではないか。例えば、「心臓が握りつぶされた」「胸が張り裂けそうで」とか、もっと丁寧に表現すると、共感を得やすいと思う。
    「俺、好きな人ができたんだ」で、もしかして主人公なんじゃないかなとも期待したが、そこは裏切られたのでよかった。

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