イケメン/青春/ピーポ

「じゃ、頑張ってきなー」
カナちゃんはそう言って、ケラケラ笑いながら私の背中をポンと押した。
カナちゃんと私が属している仲良しグループは、スクールカーストの上位の女の子が集まるグループだ。
みんなオシャレで可愛くて、美意識がとても高い。
カナちゃんはその中でもリーダー格で、誰もカナちゃんには逆らえない。
そんなカナちゃんが「卒業前に何か面白いコトやろうよ」と言い出したのだ。
結果、罰ゲームで選ばれた私が吉川と1ヶ月付き合うことになった。
なんで、よりによって吉川なのか・・・。
吉川は野球部だ。不細工で不格好で不気味。言動が気持ち悪いと私たちはいつも馬鹿にしていた。
「早く行きなよー」
どう話しかけようか躊躇する私を急かすようにカナちゃんが言った。
イヤイヤながらもゆっくりと吉川との距離を詰めていき、勇気を振り絞って声をかけた。

こうして私たちは付き合うことになった。
吉川にとっては当然のことながら初めての彼女らしく、その浮かれっぷりが傍から見ていてとても滑稽だった。
私が罰ゲームで付き合っているとも知らず、生意気に彼氏面してくる吉川が気持ち悪くてたまらない。
学校でも私を見かけると不気味な笑顔でニヤニヤしながら近づいてくるし、どもりながら話しかけてくる。
そんな吉川の態度に辟易しながらも彼女を演じている私を見て、カナちゃんたちはとても楽しんでいるようだった。

付き合って3週間ほど経った頃、カナちゃんたちから「吉川とデートをしろ」との司令が出た。
私たちの学校の近くには夜景が綺麗に見える展望台があり、カップルが自分たちの名前を書いた南京錠を取り付けていく、定番のデートスポットになっている。
私どうやらたちにも同じことをしてこいとのことらしかった。いよいよ後戻りができなくなってきたような気がした。
デート当日、時間通りに待ち合わせ場所についた私はあたりをさっと見回してみた。
遠くの方でカナちゃんたちがこっちを見ているのが見えた。「LINEで逐次指示を出すから」とカナちゃんは言っていた。
10分遅れてきた吉川は、いつもの気持ち悪いニヤニヤ顔で「ごめんごめん」と言いながらやってきた。とても腹立たしかった。
私は数歩前を歩く吉川につかず離れず着いていく。
目的地についた私たちは、二人の名前を書いた南京錠を落下防止のフェンスにとりつけた。
その瞬間、あたりをまばゆい光がつつんだ。
一体何が起こったのだろう。あまりの眩しさに目を細めながら見てみると、後光がさした天女のような人物が私の前にいた。
よく見ると、地面から30cmほど浮いている。
天女は唐突にこういった。
「あなたは辛い罰ゲームにもよく耐え忍びました。その褒美として、彼氏を超絶イケメンにしてさしあげましょう」
天女がそう言い終わるやいなや、再びあたりを眩い光がつつんだ。

目を覚ました時、私はベッドの上にいた。
壁にはハンガーにかかった学ランがかけられている。
どうやら男子高校生の部屋らしい。
私を心配そうに見つめる、岡田将生似のイケメンがいた。
「大丈夫?いきなり倒れたから心配したよ」
岡田将生は想像通りのイケボでそう言った。
一体何が起こったのだろう。どうして、私は岡田将生の部屋のベッドで寝ているのだろう。
キョロキョロと部屋の中を見回していると、見慣れた名前の入った野球部のエナメルバッグが目に入った。
「え、吉川!?めっちゃイケメンやーん!」

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「イケメン/青春/ピーポ」への2件のフィードバック

  1. カナちゃんエゲツねえ!怖え!という感想がまず一つ。それからラストの急展開に頭が付いて行かず、「あ、岡田将生かっこいいよなあやっぱり男の人から見てもかっこいいのか」と思ったのが二つ目。
    この文章から何を読み取ったらいいのか私は全然分からなかったのですが、要するに女子グループのえげつなさと、女子は外見に固執するみたいなことでいいんでしょうかね?最後吉川がイケメンになったあと、主人公が吉川を今まで気持ち悪いと思っていたのがコロッと変わってしまうのだろうなと思うと女子って嫌だなあと思わざるを得ません。
    私の周りではそんなえげつない命令をする女子や女子グループはありませんでしたし、多分リーダーなんてものも創作から来ただけのクラスの気が強い美人さんなんだと思うのですが、そういうのって本当にあるんですかね?

  2. とりあえずカナちゃんが怖すぎた。学校という小社会のスクールカーストを基にした理不尽さのようなものがコミカルに描かれていて、でも耐え忍ぶ主人公に最後救済の手が差し伸べられて少しほっとした。ただ前半部と後半部の文のつながりが少し希薄な気がする。後半部分でなんとかカナちゃんに強烈などんでん返しで一泡吹かせてやりたいと読者ながらに思った。

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