マネージャー/青春/さくら

― 「お疲れ様です!」

前半が終わった。雲一つない青空から照り付ける太陽。今日は猛暑日って予報があったから、熱中症にならないようにしっかりサポートしたい。
そのためにはしっかり準備しないと。凍らせたタオルと、スポーツドリンク。少しでも、後半に向けて体力を回復してもらわないとね。
大好きな先輩は、今日もスタメン。ゴールを決めた時のさわやかな表情が、とてもかっこいい3年生だ。

あの先輩に一目惚れして、勢いだけで入ったこの部活。誰かのために汗を流すってさ、青春そのものだと思わない? でも私、まだルールすら把握できてないんだよね……少しは勉強しなきゃ。

今こうしてドリンクを薄めている間にも、みんなは一生懸命話してる。くさびパス?スイッチ?自分にはさっぱりわからない言葉たちだけど、それでも勝ちたい一心だけはよーく伝わってくる。

審判の笛が鳴って、選手たちも立ち上がった。そろそろハーフタイムも終わりかな。
「後半も頑張ってください!」
力んでしまって声が裏返ってしまった。先輩に聞こえちゃったかな……

後半が始まった。前半に出たテーピングのゴミとか片付けないと……知らないかもしれないけど私たちに休む時間はまったくないんだよ? これだけ動いてたら主婦になっても苦労しなさそうだね! なんてもう一人のマネージャーと談笑しながら仕事をこなす。

あっ

周りの歓声とともに相手の選手が向こうのベンチに駆け寄る。入ったんだな、と思いながらも自分は水道のところにいたから何が起こったかは憶測でしかなかった。

戻ると監督が頭を抱えている。やっぱり失点したんだね。

でもまだ時間はあるよね、私たちにできることはサポートすることくらいだけど、仕事をまっとうして少しでも選手に気持ちのいい思いをしてもらわないと。そして何より、先輩の悲しい顔は見たくない。

ピーッ

大きな笛の音と、再び大きな歓声。監督の声、PKみたい。決めれば同点だ、がんばれ!

ワーッ!!!!!
ドン

あれ?

ベッドから落ちた。朝だ。なにもない朝だ。もうちょっとあの場にいたかったなあ……私はずっと帰宅部。あんなキラキラした青春なんてなかったんだ。こんな私でもあんな日々を送れたらなあ……

すると、校門で一人の背の高い男子学生に話しかけられた。
「君、マネージャーとか、興味ない?」

……ん?どこかで見たような

はっ

間違いない。あの時の先輩だ。

「そのお話、詳しく聞かせてください!」

高校1年生。マネージャー、はじめました。

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「マネージャー/青春/さくら」への3件のフィードバック

  1. とても健康的な話で読んでてむず痒かった。
    効果音などが効果的に使われており、テンポがよくて読みやすい。

  2. こんな少女漫画みたいな青春があってたまるかー!許さんぞー!というかんじで読ませていただきました。
    今回はテーマが「異性」から見た「青春」なのですが(私の解釈では)、世の中の女子がこんなにお花畑みたいにキラキラしてたら我がスタジオ生の女子が「青春」と言われてもあんなに苦い顔はしないだろうな、と苦笑いしました。もちろん私も「青春」という言葉に顔をしかめる一員ですが。しかし青春の明るい部分だけを切り取った話としては、ああ、自分はこれをしなかったからこうなったのかなあとしみじみ感じながらも、微笑ましく読むことができました。
    文章も小説というよりは本当に少女漫画を読んでいるようで、頭の中では完全にコマ割りされた白黒漫画で情景が浮かんできたので、こういう書き方もあるのか、と勉強になりました。

  3. キラキラしすぎて眩しくてTHE青春という文章だった。少女漫画みたい。
    良きにつけ悪きにつけ平坦な文章で、どこかどんでん返し的展開を求めながら読み進めてしまう自分としては物足りなさは感じるところではある。(まぁそれはそれとして安心してみていられるという側面もあるわけだが…)
    文章構成としては前回のテーマだった起承転結の構成がはっきりしていて読みやすかった。

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