性/青春/JBoy

母の影響だった。彼女がジャニーズにはまったのは。彼女が幼少期の頃からコンサートへ
連れて行った。だから気が付いたらのめりこんでいた。ごく自然なことだ。ジャニーズは彼
女の生活とともにあった。家には大量のポスターが山のように積んである。

本格的にはまったのは小学校高学年頃だっただろうか、母の影響が大きかったが何より
周りの友達の影響もあった。携帯の待ち受けも当時好きだった人にしていたし、ありとあら
ゆるグッズを集めた。筆箱も下敷きも全部同じ。授業なんか聞かない。ずっと文房具越しの
彼を眺めていた。
中学生になると同じ趣味を持った友達もさらに増えていき、たまにお小遣いをもらって
は貯めて置き、友達とコンサートへ行くのが何よりの幸せだった。この頃になると、友達の
間では何組の何とか君がかっこいいだの、だれだれと付き合っただのという話題が目立っ
てくる。だが彼女の心はぶれなかった。
高校は女子高へ進学した。ここでは出会いの場は中学校よりも少なく、同学年に男子とい
う監視の目ともいうべきものもない。彼女はバイトを始めて、自分で小遣いを稼ぎ使えるよ
うになるとさらにのめり込んでいく。稼ぎのほとんどはグッズ、コンサート代へと消えてい
った。高校には同類の友達も多くいたし、SNS で知り合った友達もいる。邪魔するものは
何もなかった。もはや宗教にも似た情熱を彼女は注いでいた。そんな日々を送るうち進路を
決めねばならない時期になっていた。この先のことなどどうでもいい。今が楽しければ…。
気が付けば高校を卒業して、大学にも進学せずアルバイト生活を送ることになっていた。
いくらか実家に入れ自分の生活費は極力減らしほとんどは高校時代と同じようにグッズ、
コンサート代へと散っていく。かつての友達は大学進学を機にファンを卒業し、交友関係は
専ら SNS の友人、インターネット上の友人とのコミュニケーションが主立ってくる。SNS
は偉大だ。自分の居心地のいいコミュニティだけを切り取ってくれるようだ、彼女はそう思
った。

そんなあるとき彼女はふとネオン街へと足を踏み入れた。理由はわからない。ただ足の赴
くほうへと進んでいく。きらびやかな大通りの両側には高級クラブやホストクラブなど
様々な店が軒を構えている。その中の一軒になぜか心惹かれた。「ホストクラブ EVE」。自
分は場違いだと思いながらも入店し、一見だということでそこそこ人気のホストと一人の
ヘルプが彼女の席に着いた。男性経験に乏しい彼女であったため、自分を姫のように扱う男
達に多少戸惑いながらも今まで感じたことのない感情を抱いたのであった。
それから彼女はその店に通うようになった。店に行くたびに彼女は最初の時のヘルプを
指名した。ヘルプばかりの彼は彼女が指名するととても喜んでくれる。それだけで彼女は幸
せだった。だから安いバイト代も何とか生活を切り詰めて、彼が店で、このネオン街でのし
上がっていく糧になればと無理をして高いボトルを入れるのだった。グッズやコンサート
代は高価なボトルへと変わったのである。
当然帳尻は合わなくなり、バイトを掛け持ちしながら彼女は夜の仕事を始めた。自分の体
を汚した金でまた彼のもとへと足を運んでいく。それでも足りないときは消費者金融に手
を出すこともあった。借りた金を返すのにまた別の金融業者から金を借りる。そしてまた…。

結局のところそれが彼女の性だ。熱意の対象が変わっただけで本質は何も変わらない

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「性/青春/JBoy」への3件のフィードバック

  1. 描写などが少なく、事実だけが淡々と述べられているため、良い意味ではスラスラ読み進められる、悪い意味では記憶に残らない文章だった。
    格言的な終わり方は斬新でおもしろかった。

  2. とても現実的で残酷な話ですね、実際に元ネタがあるようなそんな話でした。
    1分くらいのショートムービーにしたら面白そうだな、と思いながら読んでいました。

  3. 記録のような文章の終わりに唐突に現れるまとめがいい味出していると思います。説教ではないさらに事実を突きつけて落とす感じが分の雰囲気に合っていてグサッとくるのですが、だからこそもっと短くスパッと切ることのできる一言だとパンチが良くてスッキリしそうな気がしました。
    あと、ジャニーズからホストに熱意の対象が移る時に「理由は分からない」とありますが、せっかく神視点で書いているのだから散々にこき下ろしちゃったらいいかもしれません。異性からみた青春を考察するというよりは男性から見た理解できない女性の青春となりますが、それはそれで興味深いのでその辺どう思っているのか是非聞いてみたいところですね。
    あと女子の青春=特定の対象に熱意を注ぐこと、というのは割と的を得ているのかもしれない、とアニメキャラクターのキーホルダーを握り締めながら思ってしまったので、割と辛かったです。

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