ピノキオ〜復讐編〜/鼻(はな)/ネズミ

 

昔々の物語。おもちゃ屋さんをやっているゼペットじいさんは操り人形を作り、それに「ピノキオ」と名付けました。ゼペットさんはピノキオを子どものようにかわいがり、いつかこの子が本当の子どもになってはくれないだろうかと願っていました。

ある夜。日頃良い行いをしているゼペットさんの願いを叶うべく、空から妖精が降りてきて、ピノキオに命を吹き込みました。ゼペットさんは飛んで喜びましたが、それだけではありません。ピノキオが良い子でいれば、いつか本当の人間の子どもにしてくれるというのです。

次の日から、ゼペットさんはピノキオを学校に通わせました。ところが、学校へと向かう途中、ピノキオは悪いキツネとネコに見つかってしまいます。動く人形を珍しがったキツネとネコは、ピノキオを口車に乗せ、ストロンボリの見世物小屋へと連れていってしまいます。そして、小屋についたピノキオはストロンボリに檻の中へと入れられ、人形置き場へと閉じ込められてしまいました。助けを求めていると、あの妖精が目の前に現れたではありませんか。

今回のお話はここから始まります。

 

 

「あら、ピノキオ。ここで何をしているの。学校へ行ったのではなかったのですか」

泣いているピノキオに妖精は話しかけました。ここで本当のことを言うと、怒られると思ったピノキオは嘘をつきました。

「でっかい怪獣につかまったんです」

そういった途端、ピノキオの鼻はみるみるのびていきました。驚いたピノキオは思わず、自分の鼻を触りました。

「嘘をつきましたね。嘘をつくとあなたの鼻はどんどんと伸びていきますよ」

「嘘ついてごめんなさい。どうかここから出して」

「今回だけは助けてあげます。でも次はありませんよ」

そういうと妖精はピノキオを檻から出してやりました。檻からでたピノキオは、静かに辺りを見回すとこう切り出しました。

「妖精さん。僕はもう人間にならなくてもいい。だから代わりに一つ願いを叶えてくれませんか」

妖精は驚きました。あんなに人間になりたがっていたピノキオがこんなことを言うなんて。けれど、ここは一つ彼の言い分を聞いてみることにしました。

「願いというのは?」

「ここにいる操り人形たちにも命を吹き込んでほしいのです。あの子達にも生きているという楽しさを知ってもらいたい」

妖精は人間になるという夢を捨ててまで、他の人形のことを思いやるピノキオに感動しました。そしてこの子はもう立派な子どもになったと判断し、願いを叶えてやることにしたのです。

「わかりました。願いを叶えてやりましょう。ですが、あなたはもう二度と人間にはなれないし、その鼻ものびたままですよ。それでも良いのですか?」

「いいです」

ピノキオの覚悟を感じた妖精は、動かない操り人形たちにそっと息を吹きかけるとそのまま消えてしまいました。

次の瞬間、なんと数十体はいるであろう人形たちが動き出すではありませんか。ピノキオはそれをみるとニヤリと笑いました。

「みんなこっちを見てくれ。僕はピノキオ。みんなに動けるようになってもらった理由は他でもない。みんなをこき使ってきた人間たちを僕たちの手でこらしめようじゃないか」

人形たちは一瞬キョトンとした表情を浮かべましたが、意味を理解すると歓声をあげました。そうです。彼らも人間たちに復讐がしたかったのです。

彼らを従えるとピノキオはすぐに実行に移しました。ストロンボリの部屋に乗り込み、力いっぱい叩きました。そこには幸いあの悪いキツネとネコもいました。ストロンボリたちは必死に反撃をしようとしますが、さすがに数十体の人形にはかないません。ピノキオは弱ったストロンボリたちを崖の上から海へと突き落としてしまいました。

その後、ピノキオはゼペットさんの元に帰ることはありませんでした。人形たちを従え続け、小屋に近づく人間を片っ端からこらしめたのです。

ピノキオが小屋を支配するようになってから、町中に噂が広がりました。あの見世物小屋には鼻の長くて恐ろしい殺人人形が住んでいると。ピノキオは生涯、人々に恐れ続けられましたとさ。

 

 

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「ピノキオ〜復讐編〜/鼻(はな)/ネズミ」への3件のフィードバック

  1. わかりやすい文章構成で、安心して読めました。すっきりしていて、不明点がない、良かったと思います。
    ディズニー好きなネズミくんがピノキオを悪者にしてしまうなんて!と少し驚きました。こらしめました、という言い方が好きだなと思いました。盛り上がりに欠ける部分はあると思うけど、あまりに怖くしすぎない狙いでもあるのかなとも思います。

  2. すとんとわかりやすく面白く読めました。
    ピノキオも完全に恐怖の機械人形というわけではなく、口調にかわいらしさを感じます。
    ピノキオがどうして人間に敵意を持つようになったのかが、はっきりしなかったので、少し補足して書いてあると印象的かなと思います。
    デジモンのピノッキモンを思い出しました。

  3. いいですね!ディズニーの話って主人公が揃いも揃っていい人だったり、更生したりってのが多いので、こういう救いようのない感じに堕ちていくの、とても好きです。ピノキオの世界観を守るような語り方もいいと思います。ただ、どうしてピノキオがそこまで人間に悪意を抱いたのか、人形たちに生きている喜びをという説明は嘘ではないのか、と気になる点が少々ありました。気にしなければ普通に読める程度のものですが笑

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