埋もれずの愛/はな/ゆがみ

雨戸にぶつかる風の音で目が覚めた。隣の彼女はまだ寝ている。相変わらずの可愛い寝顔だ。思わず彼女に頬を寄せる。このような日々はいつまで続くのだろうか?これから先この愛は本当に大丈夫なのか?ハタチも近くなっていつも考えてしまう。

 

今の日本では「草食系男子」という言葉がよく使われている。彼女を作るのに消極的な奴らだ。漫画などのキャラクターを愛する人も多いらしい。だけど俺にはそんな奴らの気持ちなんて全く分からない。やっぱりリアルの女と付き合ってこそ人生ってもんだ。そんな俺は昔からたびたび女の子に手を出していったが、いつも勢い余って行動してしまい、長続きしたことはなかった。そのようなことが何度も積み重なった結果、高校に上がったころにはすっかり悪い評判が広がっていて、恋愛なんてできなかった。俺はそんな愛の許されなくなった地元が嫌で、遠くの大学へと進学した。

 

大学に入って間もない4月、大学のオリエンテーションが行われた。その中でクラスが発表されてクラスごとに集められたわけだが、その中にひと際可愛い女の子がいた。しかも、空き時間の雑談で下宿先のアパートが同じだということが発覚した。なんという運命だろうか。高校時代ロクに恋愛できずに女に飢えていたから早く行動に移したくてたまらなかった。けれどもせっかく遠くにまで来たのに悪評がついてしまえば元も子もないので、とりあえずとどまることにした。しかし、なんと彼女のほうから「せっかくなので一緒に帰らない?」との言葉。もちろん即座にYESの反応。こうして早くもチャンスが生まれた。

 

帰り道ではいろいろな話をした。高校のこと、出身地のことなどなど。どうやら彼女は相当な田舎の出身らしく、付き合ったことはおろか同年代の男子と遊んだ経験すらほとんどないらしい。どうりでこんなに純粋なわけだ。そんな彼女の姿はとても可愛く、今にでも襲いたいという気持ちにまでされてしまったが、純粋な彼女を傷つけてはいけないと理性を働かせて無理やりに抑え込んだ。

 

帰り道も終わりのころ、彼女が花を指さし「ちょっと見て」と声をかけてきた。「これ何ていう花?」と聞くと彼女は、「ワスレナグサっていうの。春に咲く花で、「真実の愛」と「私を忘れないでね」っていう花言葉があるの。私のところ田舎で娯楽がなかったからよく辞典を引いて覚えたんだ。」と教えてくれた。「せっかくだから写真撮らない?」と言われたのでお互いのスマホで花の写真とツーショット写真を撮った。それからすぐにアパートに着いたが、夜になっても今日の出来事が忘れられず、なかなか寝付けなかった。

 

その後彼女と付き合うようになり、互いに一人暮らしなのをいいことにほとんど同棲という状態にまでなった。春が過ぎ、人々がワスレナグサを忘れるような時期になっても彼女は毎日のようにLINEであのワスレナグサの画像を送ってきた。手軽に会話できるLINEだけど、この画像を軽い気持ちで見れたことは一度もない。「初めての恋で心配かもしれないけど君のこと忘れてほっといたりしないよ」と心の中でつぶやきながら、もう一つの花言葉の「真実の愛」について色々考えてしまう。このような彼女の心配性のおかげもあってか時に湧き上がる強い欲求も何とか抑えられ、行き過ぎた行動もせずに済んできた。その結果1年を超す、俺にとっても彼女にとっても初めての長い恋が今も進んでいる。

 

体を起こしてスマホに手を伸ばすとLINEの通知が来ている。見てみると、俺が寝ている間に送ったのか、いつものように彼女からワスレナグサの画像が送られていた。

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「埋もれずの愛/はな/ゆがみ」への1件のフィードバック

  1. これ実話ですか?実話だったら本当に申し訳ないのですが、ちょっとホラーな雰囲気を感じてしまいました。ウブな彼女から、毎日のようにワスレナグサの写真が送られてくるのって、なんかちょっと怖いですね。「意味がわかったら怖い話」かと思ってしまいました。
    本当にただの幸せなカップルの話なら、これまで遊び人だった彼氏がこの彼女は大切にしたい、と思っている気持ちがあまり伝わってこないので、そこをもう少し書いたほうがいいかなと思いました。

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