走れM/はな/のっぽ

Mは激怒した。必ずかの邪知暴虐の王を除かなければならぬと決意した。

Mには政治がわからぬ。Mは、村の下工人である。村人の頼みを聞いてはどぶ水に足を突っ込みながら必死に働いてきた。けれども邪悪に対しては人一倍に敏感であった。

或る日、かの邪知暴虐の王は姫をさらい逃げ去った。姫は国一番美しい女性であり、その美しさは国外にも知れ渡っていた。そのうわさを聞き付けた隣国の王は姫の生誕祭へと忍び込み、あっという間に姫を自国の城まで連れ帰ってしまった。

Mは下工人である。Mが姫の生誕祭に呼ばれるはずもなく、いつものように下水道の中で作業をしていた。Mが仕事を終えて地上に出てくると街中があわてふためき、騒然としていた。これはいったいどうしたことか、Mは近くに座り込んでいた老人に尋ねた。

「王様は、姫をさらいます。」

「なぜさらうのだ。」

「悪心を抱いている、というのですが、誰もそんな悪心を持ってはおりませぬ。」

「たくさんの人をさらったのか。」

「はい。初めに王様の妹婿様を。それからお世継ぎを。妹君を。そして、姫様を。」

「おどろいた。国王は乱心か。」

「いいえ、乱心ではございませぬ。人を、信ずる事ができぬというのです。このごろは、臣下の心をもお疑いになり、少しく派手な恰好をしているものは、人質ひとりずつ差し出すことを命じております。ご命令を阻めば十字架にかけられて、さらわれます。今日は、6人さらわれました。」

聞いて、Mは激怒した。「呆れた王だ。生かして置けぬ。」

Mは作業着に長靴を履いたままにもかかわらず、ぶるんと両腕を大きく振って、雨中、矢のごとく走り出した。隣国の城までは休まず走っても丸1日はかかる。しかし、暴虐な王に対する怒りと、姫を救い出さねばならないという使命感がMを走らせた。

 

若いMは、つらかった。幾度か、立ち止まりそうになった。えい、えい、と大声をあげて自身を叱りながら走った。広大な砂漠を超え、うっそうと茂った森を抜け、人を襲う魚の住み着く海域を泳ぎ、雲より高い丘の上を走り、凍り付く雪山さえも駆け抜けた。

Mの体はとうに限界を超えていた。普段のMであれば倒れこみ、指一本動かせなくなっていただろう。しかし、この日のMは違った。まるで誰かに手足を動かされているかの如くMは走った。落ちたらまず助からない大穴を軽々と飛び越え、水中を魚よりも速く泳ぎ、天高く伸びた蔦を一度も止まることなく登った。

そしてMは王の城まで一度も足を止めることなくたどり着いた。城の堀には赤く煮えたぎった溶岩が流れ、至る所に見張りの衛兵が配置されていた。蝋燭の火は消え、3歩先すら見えない場内には、まるで王の心を映したかのように悲壮な雰囲気が漂っていた。Mは衛兵を踏み越え、王の城まで一目散に駆け上がった。

王の部屋の扉を勢いよく開く。玉座に座っていた王は一瞬驚いた顔を見せたのち、不敵に笑った。その体は筋骨隆々。異形の怪物のごとき王は立ち上がると、口を大きく開いた。Mが虚を突かれた次の瞬間、王の口が真っ赤に燃え盛り、灼熱の火の玉がMめがけて飛んできた。

Mは横に回避しようとした。しかし体が動かない。いつのまにかMの体は前後と上下にしか動かなくなっていた。固まるM、迫る炎。火の玉が眼前に迫り、瞳を閉じたM。驚いたことに、熱さは一瞬だった。きっと一瞬で冥土に運ばれたのだろう、死を確信したMが目を開けると、そこにはさっきまでとなんら変わらない光景が広がっていた。いや、すこしばかり視点が低くなっているかもしれない。

なぜ自分が生きているのか、そんなことを考えている余裕はなかった。眼前では王が再び口を開け、炎を今まさに吐き出そうとしている。

その時、Mの足元に一輪の花が咲いていることに気づいた。白い花びらの中央に赤と黄色の咲いた大きな花だった。気づくとMはその花を口に運んでいた。今まで見たこともない、見るからに怪しい花を。しかし、Mの手は止まらない。Mは根っこごとその花を丸のみにした。

 

テレレテレレテーテー♪テレレテレレテーテッテテー♪

THANK YOU MARIO !

 

「な、言った通りファイアフラワー取ればクッパなんて楽勝だろ?」

「うぉー、こうちゃんすげぇ!」

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