闘え、ハタコムギ/はな/ヒロ

 ハタコムギこと畑中さん家の小麦は改造植物である。
 彼を改造した畑中さんは日本全国の営業を企む善の専業農家である。
 ハタコムギは自分たちの良い実りのために害虫と闘うのだ!
 
 畑中さんの畑ではたくさんのハタコムギが育てられていた。それまでのハタコムギは害虫にやられていた。そのために畑中さんは遺伝子組み換えした新しいハタコムギを育て始めたのだ。(ちなみに畑中さんの小麦だからハタコムギなのだ。安直である)
 彼の改造されてからの日々は辛いものだった。尽きることなく迫りくる害虫たち、遺伝子組み換えされた自分はもはや人々に食べられるような食べ物ではないかという苦悩、倒れていった仲間。まさに辛く厳しい闘いの連続だった。
 
 そして作物の大敵の害虫の首領とも言うべき存在、害虫バッタが彼に襲い掛かってきた。もう花も咲き、豊かに種を実らせる準備が整うところだった。その敵は強かった。それまでにも彼の仲間は何本もやられていた。そしてとうとう彼にもその闘いの時がやってきた。害虫たちとの闘いに終止符を打つ時が来たのだ。
「ふふふ……今日はお前を食ってやる。その後はお前の後ろのやつを食ってやるぞ!」
 害虫バッタはそう言った。彼は仲間を守るため、花を守るために闘うことを決意した。
「行くぞ、害虫バッタ。ハタコムギ変身!」
 ハタコムギは叫んだ。……が、別にハタコムギの姿は変わったりはしなかった。特に何の変化もない。ただそう叫ぶと強くなった気がするのである。
 ハタコムギは闘おうとしたが彼は植物、動くことはできなかった。当然のことである。
「愚か者め、そのまま食ってくれるわ!」
 しかし、ハタコムギは強かった。「ハタコムギキック!」そうハタコムギは叫んだ。当然何も起きなかったが、ハタコムギを少し齧った害虫バッタは倒れた。爆発はしない。彼は遺伝子組み換えにより害虫には強く、寄せ付けない。もちろん人間には無害だ。畑中さんとハタコムギは人間を愛している。彼らを傷つけるようなことはしないのだ!
 
 そして、ハタコムギの害虫との闘いは終わった。ハタコムギはたくさんの種を実らせた。仲間たちも実らせていた。黄金色の絨毯が広がっていた。いよいよ人々のもとに出荷される時が来たのだ。直接味わってもらえるわけではないかもしれない。あえなく加工されてしまうかもしれない。それでも人々のもとに送られることが嬉しかった。
 しかし、現実は甘いものではなかった。ハタコムギが出荷の喜びに浸っていると隣の仲間の実の姿が消えた。一瞬わけがわからなかった。ハタコムギは気づいた。鳥だ。鳥が自分たちを狙っている!
 ハタコムギの闘いは終わっていなかった。新しい敵が現れたのだ。ハタコムギの闘いは続く。闘え! ハタコムギ。畑中さんに出荷されるその時まで!

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「闘え、ハタコムギ/はな/ヒロ」への4件のフィードバック

  1. 冒頭が仮面ライダー第一作のナレーションの改変なのだから、仮面ライダーのオマージュにしたいことは分かるのだが、これでは形式だけ借りた単純なヒーロー物にしかならなかったように見える。
    仮面ライダーの定義には諸説あるが、おそらく最も主流なのが、敵と同じ力を用いることで、その立場を相対化するという点。ゆえに、その力を人間の自由のために使うヒーロー側の存在感が際立つ構造になっている。
    この場合、害虫が農薬によって突然変異しただのという要素を付け加えれば、害虫の被害者性と人間のエゴが感じられ、よりらしくなるように思える。

  2. まず一つ、締め切りは守りましょう!文芸サークルなのに二人して字数と締め切り破ったりしたら本当に笑えないから!!私も字数の点については反省するので、ヒロさんも締め切り、守りましょう。
    自分は特撮に興味がないため山百合さんのコメントを見て仮面ライダーなのかと気付いたが、流すように読める重さのない文章だなと思って読んでいた。ところどころで「これなくてもいいんじゃないか」というようなギャグみたいなものがあったが、笑を狙うネタは使いどころを間違えると火傷をすると思うので、タイミングと文の構成を変えればもっと軽快に笑えるようになるかもしれない。

  3. 自分もなんのオマージュかさっぱりだったのだけれど、山百合さんのコメントで気付いた。

    最初完全に人型かと思って読んでしまったが、戦っている途中で植物型のままなのかと理解した。
    ハタコムギの状態をもう少し詳しく知りたかった。
    あと中段の部分が少し長かったので、どこかで改行をして休符を打てばもっとテンポが良くなると思う。

  4. なんか、タイトルにすごく惹かれたのだけど、戦闘が地味過ぎて笑った。ネタとしてライトに読むには、文量も語り口も、ちょうどいい感じなのではないか。
    でも、内容よりも山百合さんの本気モードを発動させたことの方がおもしろい。

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