何もない休日/初恋/ネズミ

 

これは僕が小学6年生だったときの話。この頃、僕は初めて自分が苦しくなる程、人を好きになった。

 

ある土曜日、僕は自転車で家の近所を走り回っていた。特に何かの用事があったわけではないが、目的はあった。好きなあの子に会えやしないかとひそかに望んでいたのだ。よく遊ぶ公園を何か所か回ってみたり、近くのコンビニに寄ってみたり、至る所で彼女の姿を探した。ほんの数秒でもいい。とにかく会いたかった。

その子とは3年生のときに初めて同じクラスになった。そこから今に至るまでずっと同じクラスであったが、好きになったのは6年生になってからだ。たまたま班が一緒になり、話す機会が増えた。休み時間の度に話しかけてくれ、僕の話によく笑ってくれる彼女のことがいつの間にか好きになっていたようだ。それからはもう彼女に夢中の毎日だ。誰かと話していても彼女の方が気になって仕様がない。彼女が他の男子と楽しげに話そうもんなら嫉妬の嵐。寝ても覚めても頭の片隅には、常に彼女の存在があった。そんな僕にとって、彼女と会えない土日は苦でしかない。休みなんていらない。本気でそう思っていた。

 

彼女の家は知っている。だが何も用がないのにも関わらず家を訪れることは、彼女に好意があるということを示すことになる。それではだめだ。好きであるということがばれてほしくなかった。あくまでも偶然を装って会うことが大事なのだ。だから、僕はこうして彼女の現れそうな場所をぐるぐると回ることしかできない。

 

気持ちを伝えようと思ったことはある。この想いを抱えながら生きていくのは、あまりにも辛かったからだ。だが、告白することによって、今の関係が崩れてしまうことを僕は恐れた。ある程度のリスクを背負って気持ちを伝えるのか、今の良好な関係を続けていくのか、この二つを天秤にかけたとき、勝つのはいつも後者であった。僕にとって彼女を失うことが何よりも怖かったのだ。

 

気づけば小学校の前に来ていた。当たり前だが、平日と比べてずいぶん閑散としている。校庭では何人かがサッカーをしているようであった。そこに彼女はいない。校庭全体を見渡しながら「いないかあ」と小さく呟くと、そのまま帰路についた。ここが最後の望みだったのだが。もう今日は会えないということがわかると会いたいという気持ちがより一層強くなった。この会えない時間が彼女への想いをどんどん育てていく。

今日はまだ土曜日。早く月曜日にならないかなあ。

 

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「何もない休日/初恋/ネズミ」への2件のフィードバック

  1. これ、過去の話ですよね?現在の自分目線で書かれた文と、小学生の自分目線で書かれた文が混在しているように思えました。
    内容を理解する上では問題ないと思いますが、回想か当時の自分に成り切るのか、統一した方がいいと思いました。

    キュウソ好きですか?

  2. 初恋、と呼べるぐらいの時期の恋愛って、なんか、「告白したいけど、振られて気まずくなるなら、いまの関係のままでいいや…」という思考になりますよね。私もすごいなっていました。ある程度大人になれば、振られようが振ろうが、そんなの男女の関係においてよくある話だし、その後のアフターケア的なものもできるようになるけど。
    会えない休日、好きな人のことを考えまくって、やっとの思いで迎えた月曜日、あんまりその人と喋れなかったりすると、わりと寂しいですよね。あるある。

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