距離感/初恋/さくら

僕の初恋の相手は幼馴染だった。

ラノベにありがちな設定だけど、現実はハーレムラノベほど甘くない。あんなに身の周りの女の子がすぐに落ちるならいかに楽な人生か。幼馴染は、赤の他人よりも関係性がもともと深い分、その位置が安定してしまって進みも退きもしないのだ。

そういう目で僕が認識し始めたのは中一の時だったか。幼馴染、というくらいだから小学校6年間もずっと仲良くしてきた仲だったのだが、同じ中学に入り、たまたま最初の席が隣になって授業中からいつでも視界にお互いが入り干渉するような関係が1ヶ月くらい続いたからか、どういうことか自分の中にそういう感情が芽生えてしまったようだ。

もちろん自分が好きになった相手だから贔屓目もあると思うけど、その子は実際可愛い。名古屋にルーツがある子なのだが、世間が名古屋の女は……と喧伝するのが大嘘だとわかるような女の子だ。それに真面目で頭脳明晰、運動もできるしとりあえずこれといった欠点が見当たらない子だった。

もともと引っ込み思案で行動力のなかった僕は、特に行動を進めるようなことはせず、妄想の中に全てを留めながら、そしてその子に会うのを楽しみにしながら学校に通っていた。

元々が幼馴染という、ただの友達というよりは深い関係にあったからか、こちらがさりげなく行為を示す行動を取ったところでそれは特段不思議なことではなかったが、それは良くも悪くもあった。

簡単に言えば、容易にその子に近づき会話をすることもできるが、それは幼馴染だからであって、別の感情を表現するにはあまりにも足らない行動になるということだ。

そんなこんなで、幼馴染の関係から一方的に片思いして2年半が経った。もう中学卒業が近づいていた。お互いに進学校を目指し、クラスの最高得点を競い合うような2人だったが、その子のほうが一回り優れていて、上の高校を受けることになっていた。

そういえば、この片思いを語るのに、欠かせない人物がもう1人いる。僕がその子のことを好きなのを真っ先に感づいた、とある男友達だ。彼とも、その子と同じだけの期間仲良くしてきた幼馴染で、僕の性格もよく知っているから、本当に一瞬でバレてしまっていた。彼は僕を茶化したが、かといって妨害するわけではなく、彼なりに僕の片思いを応援してくれるいい奴だった。

とある雨の日、その子がいつも一緒に帰っている女友達が用事があるということで、一人で帰宅するそうだと情報通の彼から聞き、ついに行動に移ることにした。彼は、僕がその子の帰りを待つ間、時間稼ぎと言わんばかりにその子の通学路にある公園で雑談をしてくれた。いわば、これでその子を「待ち伏せ」することを正当化できるようになったのだ。

その子が帰ってきて、僕は自分の思いを伝えた。結果は、ある程度予想が付いていた。やはり、幼馴染である以上、これ以上関係を近づけるのは難しいそうな。ただ、そのあと僕はこう言った。

「これからもずっと親友でいてください。」

答えは即答のイエスだった。

その子とは別の高校に行ったが、今でも親友といえる関係だし、もしかしたらあの時の選択は正解だったのかもしれない。今その子は地方の有名大学を目指し浪人している。簡単には会えなくなってしまう前に、もう一度何か動いてみようかな。

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「距離感/初恋/さくら」への3件のフィードバック

  1. 名古屋って美人多くないですか?それはまあいいとして。
    男友達のエピソードが、「この恋を語るのには欠かせない人物~」と言っている割には薄いと思いました。もっとその友達に関する文章を増やすか、そもそも彼の紹介をもっと簡素にするか(「陰ながら応援してくれていた友達が情報をくれて~」など)してもいいと思いました。

  2. わかりやすく読みやすいし、共感できる内容なんだけど事実をつらつらと述べていってるだけの感じが否めないです。もっと読者が感情移入できて、入り込めるような形式で書くと良かったかもしれませんね。

  3. 実体験をもとに、というテーマ上、とても難しいことだが、単なる自分語りになっていて、読んでも「そうなんだ」という感想しか湧いてこなかった。この初恋は自分にとってどういうものなんですかね。書き手がかつての自分をつらつら、特に感情に流されることなく書いている印象で、初恋ってまあそんなものかな、と思った。

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