大人計画/初恋/縦槍ごめんね

「私、子供っぽい人って好きになれないんだよね。」
小学校四年生の時、なけなしの勇気を振り絞って放たれた、渾身の告白はその一言によって玉砕した。
いま考えると、その時の女の子の一言はませた女の子の見栄的なものだったのだと(強くそう信じたい)割りきって考えることが出来るが、その当時の僕にはひどく残酷な言葉に聞こえた。
よく、女の子のほうが男の子より精神年齢の成長が早いと言われるが、それは本当のことだと強く思う。しかも女の子のほうが男の子より現実的でよりシビアな目で世の中を見ている。小学生の頃から幾分か成長しても未だに感じることだ。
小学生の頃の僕は、早くその差を埋めたくて、彼女に振り向いてもらいたくて、自分なりには精一杯努力したつもりだった。好きだったゲームの話も彼女の前では出来る限りしないようにしていたし、今までは母親に選んでもらっていた服も自分で選び、かっこよく着飾った。精一杯の背伸びだ。
それでも彼女にはその努力は認めてもらえなかった。おそらくその背伸びを彼女に、見透かされていたのではないかと今になっては思う。
それから彼女には、小学校を卒業するまでその告白をなかったことにされて、そのまま別々の中学校に入学し、疎遠になった。僕もとっくに失恋からは立ち直っていたので、彼女と離れてしまうことにはなにも感じなかった。
そして、月日が流れ、中学2年生の秋になった。僕は成績があまり振るわず、学内でも思った結果が残せなかったことで、母親に塾に通わされることとなった。別に勉強が嫌いということはなかったので、何も考えずに母親に着いていくと、その塾に彼女がいた。彼女は小学校の時に比べると少し大人びてはいたが、身長はもう僕のほうが大きく、何か小学校の時とは違って見えた。僕はその場にいることに耐えられなくなり、忘れ物をしたと母親に告げて、一度その塾を出てしまった。しかし入って一回目の授業をサボるわけにはいかずに出来るだけ息を殺して、静かに授業受けた。
彼女は塾に女の子の友達が数人いるようで、よくその友達と話しているのを見かけた。彼女の口調は昔よりチャラけた雰囲気をまとっており、それがひどく子供じみたものに見え、少しだけ嫌悪感を覚えた。すると突然その友達の一人が僕に話しかけてきた。
「◯◯ってどこ小だったの?」
「…Y小学校。」
「てことは、△△と同小じゃーん!! 知り合いなの?」
この会話は彼女も当然聞いていた。少しまずいかもしれないと私は感じてしまい、とっさに私はこう答えた。
「いや、そこまで仲は良くなかったというか、あんまし関わりなかったよ。」
「へー、そうなんだ。まぁいーや。」
そういって、その友達は去っていった。一体何をしに来たのだろうと思いながらも、僕はまた見栄を張り背伸びをしてしまったことにひどく嫌な気持ちになっていた。そして、1度でも改めて彼女と対峙し体も心も彼女より成長したと思ってしまったことを恥じた。
そして、結局1度も彼女と話すことはないまま、高校へ進み、その塾もやめてしまった。そこで僕の初恋は本当に終わった。
今ではもう僕は大学生だ。でも僕は小学校の頃の僕と比べて少しも賢くない。これが人間性なのだと言ってしまえばそこまでなのだろうが、諦めてしまいたくない。きっと本物になれるとまだ信じているから。

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「大人計画/初恋/縦槍ごめんね」への3件のフィードバック

  1. 好きになった女の子によく見られるために見栄を張っていた小学校の頃の話。彼女と疎遠になり失恋の傷も癒えたはずなのに、思わぬ形で彼女と出会ってしまったときに居ても立ってもいられなくなった塾でのこと。そして子供のころ背伸びをして大人っぽくなろうとしていたはずなのに、子供のころと変わらず初恋が叶うと信じている大学生時代。そのすべてにおいて一貫して彼女のことを思うところに初恋の特別さを読み取ることが出来ていいと思いました。
    初恋の傷が癒えていたはずの中学時代や彼女と再び離れてしまった高校時代がどのようなものであったのか興味深いです。

  2. それほど特殊でもない話が淡々と書かれていて、読みやすいことには違いないが、~した。~した。と続くので、味気ないなと思った。
    恋なんてしたことないとか、初恋がどれだか分からない、といったような文章が並ぶ中、初恋の特別感と一番ストイックに向き合っている感じがして、素敵だと思う。かなり時間が経っても初恋の思い出というのはわりと鮮明に残っているし、大したことでもないのだけど、言われたことも忘れないよなと、思うところがあるので共感してしまった。

  3. 課題は確かにめんどくさいけど、もう少し楽しんでもいいんじゃない?初恋の記憶のない僕には、ただ課題としての綺麗な形を成した思い出の記述にしか見えなくてあんま面白くなかったです。多分技術云々じゃなくて縦槍のやる気の問題な気がする。

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