栄枯必衰/初恋/ピーポ

小学生。低学年。人生は呆れるほど容易かった。
あの頃は、足が速いか、勉強ができれば女子からの人気は高かった。
結婚ともなると、収入で男を選ぶ女は多いというが、奴らの本質は小学生の頃から変わっていない。
ともあれ、足も速く勉強もできた俺はモテた。ハーレムだった。
バレンタインデーともなろうものなら、わざわざ家までチョコを届けに来る女子が複数いるほどだった。
その後23年もの間、彼女いない歴=年齢の童貞でいようとは、誰一人想像していなかっただろう。

まさに、時の権力者並みに選び放題だった俺だが、その中でもひときわ目にかけていた女子がいた。
それがみほちゃんである。みほちゃんはいわゆる幼なじみで、幼稚園からの同級生だった。
成長した今、幼稚園の卒業アルバムを眺めてみたが、やはりみほちゃんはかわいい。
もし、こんな娘がいたら誘拐してしまいそうである。
子供ながらに顔が出来上がっており、透き通った肌の白さやキラキラと輝く瞳は、まるでフランス人形を思わせるものだった。
幼稚園の頃からずっと好きだったみほちゃんは、同じ小学校へと進学し、気づいた頃には自分を取り囲む女子たちの一人になっていた。

そんな中、取り巻きの一人が猛烈にアタックをしかけてくるようになった。
それがさやかちゃんである。
さやかちゃんはさらさらのロングヘアーが特徴的で、当時からスタイルがよく、とても愛嬌があった。
そんなさやかちゃんは、みるみるうちに俺の中でランクアップし、いよいよみほちゃんと肩を並べるほどになった。

しかし、事件は起こる。
ある日、みほちゃんとさやかちゃんと三人で下校することがあった。
まさに両手に花状態の俺はとてもデレデレしていたようだ。
両方に鼻の下を伸ばしている俺が、お互いに気に入らなかった彼女たちは、鋭い質問を投げかけた。
「あたしたちのどっちが好きなの?」
神のご加護の元に築き上げた一大ハーレム存続の危機であった。
俺は言葉を濁し、なんとか危機をくぐり抜けた気がしていた。

小学校高学年にもなると、いつの間にやらハーレムは消滅し、俺は少し勉強ができる程度の秀才になっていた。
みほちゃんやさやかちゃんたちも自然と消えていった。
その後、中学進学を境に、彼女たちとは全くつながりが消えてしまった。

そんな秀才から凡人以下にまで成り下がってしまった今、ふと昔が恋しくなってFacebookでみほちゃんとさやかちゃんを検索してみた。
彼女たちはそれはもう美人になっており、楽しそうな大学生活を送っていた。
学歴も自分より高く、もしいま出会ったとしても相手にもされないだろう。
人生の無情さに打ちひしがれながら、くいっとウイスキーを飲み干した。

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「栄枯必衰/初恋/ピーポ」への5件のフィードバック

  1. 煽りがうまい文章だなと超尊敬しますが、思い出の中でオチが付いてないのが気分的に引っかかりました。絶妙にアホっぽさとわかりやすさが混ざっていて面白かったです。

  2. 華やかさの裏のゲスさと(すみません、語彙がなくて他にいい言葉が思いつかない)その後の人生のビターさが、綺麗に対をなしていて最後のウイスキーへと繋がっていた。欲を言えば、パワーバランス的にもう少し後半に凋落っぷりの描写があれば、より一層強いコントラストを成したのではないだろうか。いっそ童貞うんちゃらも後半にまわすなど。ただ、今回はなるべく実話とのことなので、そうなるとかなり精神的につらそうだ。やはりフィクションの人物であれば、自分との距離がある分それくらい突き放せるのだろうが。

  3. テンポがよくて読みやすかったです。良い意味で頭真っ白でも読める文ですね。三人での下校が何かモテなくなった転換点になるのか?と予想して読んだら案外さくっと終わったのでそこに関しては少し物足りなく感じてしまいました。それなら落ちぶれてからのエピソードがもう一つあったほうが良かったのでは、と感じます。ただノンフィクションなのでその辺の匙加減は難しいのかもしれませんね……。

  4. 僕にもみほちゃんという好いてくれた子がいましたが、小学生の僕は気が狂っていたのでひどい悪口を言ってしまい、結局その子はひどく傷ついて中学に上がったらヤンキーになってました、どうも。
    トラウマをほじくり返されるほど見事に文の内容に引っ張られたわけですが、Facebookで近況を知るというオチがイマイチ弱いかなと感じました。
    僕のみほちゃんは結婚して幸せになってました。ちょっと救われました。

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