家族とは、むずかしい/書評/T

元NHKアナウンサーで、作家として活躍する著者が、現代社会の「家族」の実態や問題点を提起する一冊。

著者自身の家族体験や、彼女の知人や友人の体験を主な軸として各章は展開されている。著者がこれまでの自身の人生の中でたどり着いた「家族」というものに対する見解や主張を、それについて直接論じたり、現在の彼女の生活(自身の夫との関係性など)の様子を綴ることで、読者に伝えている。

 

 

「家族を固定観念でとらえる必要はない。家とはこういうものという決まりもない。そこに生きる、自分たちが快く生きられる方法をつくり上げていくしかない。問題を抱え、ストレスのもとになる家族よりは、心から通い合える人がそばにいるかどうかが大切なのだ。」

     ~第二章 「家族という病」より~

 

父・母・子といった家族関係や理想にとらわれていると、一人ひとりの個人の個性は埋没してしまう。それが現代社会において、夫婦関係や親子関係にさまざまな問題を引き起こし、多くの人々を生きにくくしていると著者は指摘している。そして自身は、夫婦関係にある男性を「主人」ではなく「つれあい」と呼び、お互いに甘えや期待を排除した家族としての生活を実行していると文中で述べている。家族として生きるストレスや負担を減らす術が存在することを、読者に提示して気付かせようとしている。

 

 

しかし著者は、過去に両親との確執と、母の過大な愛情を重荷に感じていたことを明かしている。それはストレスや負担のかかる家族関係の状態を、彼女自身も経験していたということだ。その経験があったからこそ、現在の著者の主張やライフスタイルが生まれたといえよう。

また著者は、子は親の価値観に反発することで成長すると述べている。親と子は対立せざるを得ず、仲の良い家族よりも仲の悪い家族の方が偽りがないと彼女は考える。子が親に反発するのは、子が親に対してその関係に負担を感じているからであり、仲の悪い家族も、親子が互いにストレスを抱えた状態であるといえる。著者自身の家族がまさにその典型である。

つまり著者が問題としている、家族関係や理想にとらわれていることで生まれるストレスや負担が、実は人間の成長において必要であり、また著者自身の人格形成にも不可欠であったとも読み取れるのである。

 

 

本書において著者は、家族の話はつまらないと述べながら、自身の家族関係を赤裸々に語り、嫌悪感を抱きながらも、二度と会えぬ家族への手紙を最後に綴っている。著者自身が家族関係にとらわれ続けた、彼女の言う「家族という病」に苦しみ続けてきたのかもしれない。章題にもあるが、「家族とは、むずかしい」ということが彼女の人生で得た一つの結論なのだと思う。

 

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「家族とは、むずかしい/書評/T」への1件のフィードバック

  1. 内容の不備などに意見する文が多い中、独特な展開だった。あの文からは未成熟な思想のにおいがしたし、そこから何かを学び取ろうとするのではなく、著者がどのように自分を得たかという著者について書いているのは面白かった。

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