家族という病/書評/ゆがみ

家族というものはバラバラになってきた。具体的には、核家族化が進み三世代で暮らす家が減ったほか、家族が個人としてバラバラに生活する傾向が強まり、家族だんらんをする時間も今までと比べて減っている。一方で年賀状には家族写真が載せられるほか、親は人と話すとき家族のことを話題にすることが多いように、依然としてつながっている。『家族という病』は、現代のこのような家族像に対して、80歳近くにもなる筆者の経験から、家族というものについて世間に問いかけている本である。

まず、この本を読むにあたって注意しなければならないことは、この本があくまで著者の経験から書かれたものであることである。この本は本屋の新書のジャンルで扱われ、タイトルもいかにも新書である。しかし、実際には筆者が今までの経験から直感的に思う「家族像」について述べられている。このことに注意しなければ、私がそうであったように、論拠や結論が見えにくい文章に困惑されてしまい、本に対して余分にネガティブな感情を持ってしまうのではないかと思う。

さて、本の中身の話に入ると、この本は大きく二つの部分に分けることが出来る。一つ目は第1章、第2章の部分であり、ここでは主に冒頭で上げたような今の家族について筆者が考える問題点が述べられている。二つ目は第3章、第4章の部分であり、ここでは主に家族というものの問題点を挙げながらも、家族がどのようなものであるかを突き詰めることが中心となっている。この二つは一見あまり一貫性のないもののように思われる。そのため、読者はこの文章の言いたいことを掴めず、消化不良感が出るかもしれない。しかし、これは筆者が80年近く生きてきて、どんなに家族の形に不満があったとしても、家族に立ち返ることが重要であるという結論に至ったのではないかと感じる。私は現在まだ19歳で、結婚もまだしていなければ身近な人を亡くしてしまった経験もない。そのため、この本の内容を感覚的に理解できない部分が多い。しかし、断言はできないが、将来この本の意味が理解できる日が来るのかもしれない。なので、著者と世代の離れた若い人にとっても読む価値があるのではないかと思う。

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「家族という病/書評/ゆがみ」への3件のフィードバック

  1. 3年のっぽです。

    新書ってこういうものでいいと僕は考えています。むしろハードカバーで扱うほどではなく、雑誌に掲載するには長すぎるこの文は新書くらいで読めた方が手軽かな、と。書評としてはもっと深堀した文章を書いてくるといいと思います。
    ただ、他の人と似たり寄ったりなネガティブを文章にしてもつまらないと思うので、構造的に文章を批評するのは独自性があってよいと思いました。
    若い世代が読むべき本というところには同意しました。

  2. 第三者的な目線から、いたってフラットに書かれた文章で、書評としてはいいものだと思います。批判しつつも最後は褒めてて、ちゃんと購買欲を掻き立たせている面もあるので。

  3. 筆者が80歳近いということ、そしてこの本は筆者の家族経験がもとになってなっているという事実はこの本を読むのに必ずキーになってくることだと思うので、それが書かれているのは書評として良いことかと。本の構成も説明しつつ、自分の意見も入っていて、まだ読んでない人には、参考になりやすいものだと思います。

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