とある台風一家の日常/ヒロ/嵐

 それはある秋の日の夜のことだった。俺は妹の風香といっしょにドラマが終わった後のニュース番組をチャンネルをわざわざ変える気にもなれずぼんやりと眺めていた。
 すると、親父こと天野雷蔵が慌てて居間に駆け込んできた。そして何故かドヤ顔で「風香に優雨、大変だ! 嵐が来るぞ!」と叫んだ。
 意味の分からないドヤ顔がうざいのでスルーする。
「……風香、最近中学校はどうだ?」
「まあまあかなー」
「そっか、まあまあかー」
「お兄ちゃんは?」
「まあまあだな」
「まあまあなんだー」
 と風香と意味のない会話をしていると親父が相手にされなくてさみしいのか話しかけてきた。
「おいおいなんだよ、愛する我が娘と普通の息子よ。無視するなんてお父さん悲しいぞ」
「うるさいバカ親父。台風よりもおまえの腹をなんとかしろよ」
「そうだよお父さん。そのお腹本当にやばいよ。明日から夕飯なくていいんじゃない?」
「父さんの腹のことは気にするな、きっと明日になったらへこんでいるはずだ。だから夕飯は普通にくださいお願いします。ってそうじゃない、嵐だよ。あ・ら・し!」
 メタボ親父はいつものように風香に土下座したところで話をそらされたことに気づいたのか顔だけ上げて再び叫んだ。うるさい。だが、相手をしなかったらもっとうるさいだろう。しかたないので相手をしてやることにする。
「しょうがねえなあ、嵐? 台風じゃなくてか?」
「そうだ。台風じゃなく嵐。typhoonじゃあない、stormだ」
 無駄にいい発音にイラッとした。
「えっ、もしかしてアイドルの方の嵐が来るの?」
「いや、そんなことはないが」
 親父が即答した瞬間、風香の目から期待の輝きが失われた。
「はい、この話は終了。お父さんの明日の夕飯はなしね」
 そう言って風香は養豚場に運ばれる豚を見るような目でメタボを見た。どうやら無駄に期待させられて腹が立ったらしい。
「待て待て待て、お願いです。それは許して。と、とにかく話を聞いてくれ、頼むから」
「いいから早く話せよ。時間の無駄だ」
「お、おう。実はな、明日嵐が来るらしいんだけどな、屋根がな、ちょーっと、壊れてるんだよね……」
「「はあ?!」」
 いきなり馬鹿らしいことを言われて頭が痛くなってきた。いや待てよ、先週も台風が来ていたがなんともなかったはずだ。
「おい、バカ親父。先週の台風のときはなんともなかっただろ? なんで急にそんなことになったんだよ」
 すると親父は照れくさそうに笑いながらふざけたことをのたまった。
「いやあ、あの後すごい晴れたじゃん? だからついテンション上がっちゃって、屋根の上に出てヒーローごっこしててうっかり壊しちゃった。ゴメンネ?」
 俺と風香はブチギレた。
「ふざけんなこのデブが!」
「てめえはこれから水でも食ってろ!
「いい年した大人そんなこと屋根の上でやるな!」
「修理代はてめえのビール代から引いとくからな!」

 それから三十分ほどして、俺たちは正気に戻った。そこにはぼろぼろになった肉の塊があったが何も問題はない。とりあえず屋根のことだ。応急処置が必要だろう」
「とりあえず応急処置に必要なものを買ってくる。風香は雨漏りしたときのための準備を頼む」
「わかった。頑張ってね、優雨お兄ちゃん」

 その後俺たち兄妹の頑張りの結果、なんとか無事に台風は過ぎた。家は無事で、親父の小遣いはなくなった。ちなみにあんなにも親父が台風でなく嵐だと言っていた理由は「そっちのほうがカッコイイから」らしい。とりあえずそのときのキメ顔がまたイラッとしたのでもう一度殴っておいた。

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「とある台風一家の日常/ヒロ/嵐」への5件のフィードバック

  1. ラノベ的な文体だ。登場人物の名前をなんの理由もないのに述べると、ひどく説明的な文章になって、違和感があるなと思う。
    この文章だけだと、ラノベの冒頭といった感じで、起承転結が薄く満足感が少ないので、この1000字程度で読ませる文を書いても良いかもしれない。

  2. ペナルティのコメント失礼します。なんというか、理想の家族をコメディ調に書いてみましたーという感じが半端ないです。あまりにも安っぽい会話が、フィクションをより際立たせていると思います。それが売りとなるか、足を引っ張るかは各々によりますが、これは私的には後者かな、と。冷めた感じの主人公(やれやれ系というのでしょうか)が私は苦手なので、それと同じ匂いがしてどうしても冷めた目で読んでしまいました。

  3. めっちゃラノベっぽいですね。読みやすいといえば読みやすいですが、可もなく不可もなくという感じです。ラノベっぽく書くならもう少しストーリーのアイディアを練るといいのかもしれないと思いました。

  4. これ、結局屋根が壊れたってだけの話ですか?
    ほかのコメントでも言われていることですが、文章が非常にラノベっぽいので何か特殊能力を持った家族の話かと最後まで期待してしまいました。
    家族のほのぼのした日常を描くなら、ラノベ的ハイテンションな文章から脱却した方がいいかもしれません。

  5. ラノベだなーと思って読んでたらめっちゃラノベラノベ言われてて笑いました。
    文章がコテコテしているというか、読みにくかったです。具体的で説明的な箇所が多すぎて、なんか内容が頭に入ってこなかったです。

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