クラスの/嵐/シュウ

忘れもしない、あれは僕が中学三年生の12月のことだった。何があったのか、オチを言ってしまうと、クラスが荒れた。一言で言ってしまえば、これだけであるが、僕に人生に少なからず影響を与えることになったのは間違いないだろう。

担任との面談で志望校を決定し、日に日に近づいてくる受験当日へ向けてラストスパートをかけ始めたころだった。彼女が転校してきた。鷸沼凪。凪と言う名前にふさわしく、おとなしげな様子で、整った顔をしていた。美人というよりも、可愛いと言ったほうがしっくりくる。

「初めまして、鷸沼凪と言います。みなさんとはもうそんなに長い時間を過ごすことができませんが、どうぞ仲良くしてください。よろしくお願いします」

転校初日、教室の前に立った凪は、みんなにそう挨拶をした。

受験が近づいているからと言って、中学生が休み時間もずっと勉強しているわけではない。休み時間になると、凪のまわりをクラスの女の子たち(と言っても、クラスの上位にいたグループであるが)が、囲んでいた。「どこからきたの?」「可愛いね」「学校を案内しようか?」なんて、声をかけていたが、そんなことはうわべだけで、彼女を自分たちのグループに取り込もうとしている魂胆が、目に見えていた。けれども、凪はグループには入らなかった。一週間たっても、どのグループに属することはなかった。

そうなると、放ってほかないのは男子である。しばらくすると、凪のまわりには女子ではなくて、男子が集まるようになってきた。自覚的なのか、それとも自然なのかは、今になってもわからないが、凪は誰に対してもやさしかった。すぐに凪はクラスのマドンナになった。そうすると、行為を持つようになる奴が少なからず出てくる。凪をめぐって男子の関係が悪くなって来てしまった。

結果、男子のみならずクラス険悪な雰囲気となった。お互い敵対心を持つようになった男子、男子にちやほや凪を良く思わない女子、男子と女子の関係性も悪くなっていった。凪いでいたクラスに凪が結果的に嵐起こすことになってしまったのである。受験勉強もあまり気乗りしなくなってしまった。最終的に僕は志望校に落ちた。僕に限らず、クラスの大半は志望校に落ちた。

凪が転校してこなかったら、平穏の凪のままだったのにと思うが、そればかり仕方がない。クラスを荒らした嵐は凪が起こす。

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「クラスの/嵐/シュウ」への2件のフィードバック

  1. 実話なのでしょうか、そこまで他人に影響を与えられる凪さん、すごい。最初にオチを言ってしまうというのも、決して今までになかったわけではないのですが、面白かったです。しかし、そのせいなのか、起承転結の結の展開が早すぎる印象を受けました。字数の問題もあるとは思いますが、私はもっと丁寧に語って欲しかったです。

  2. 凪という落ち着いた名前と、彼女の起こした旋風のギャップがなんとも妙で、実話にしては出来すぎてるなと思った。その後の彼女がどんな人間になったのかも少し気になる。峠野さんの指摘と同じ印象を自分も感じていて、字数を指定してそのルールの中で表現することも大事だとは思うのだが、課題としてではなく一つの作品の価値を最大限に発揮するのには、もう少し字数の制限がゆるくてもいい気がする。これは制度的な問題ではあるけれど…。

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