今こんな感じ/嵐/ばたこ

心が動かない。日々停滞し、腐っていく。

 

夢があった。手を伸ばしても背伸びをしても、今いるところからじゃ絶対届かないような、そんな夢が。

ここにいても届かないから、その夢に少しでも近づくために階段を上り始めた。今まで登っていたのとは別の階段。今まで一緒に同じ階段を上ってきた友達はみんな応援してくれた。

最初は順調だった。ただがむしゃらになって駆け上がった。いくつもの障害を難なく跳び越えて、飛び越えて。

でもその間に、いろんなものを落っことしてきちゃったらしい。

いっぱいいっぱい駆け上がって、いっぱいいっぱい落っことしてきた。それでもいいんだって本気で思って、本気で駆け上がった。

少し疲れて足を止めてみた。あれがいけなかった。

ふと上を見上げてみたら、今まで見えていた、向かってきたはずの夢が見えなくなってた。前より全然近づいたはずなのに、ぼやけて輪郭さえあやふやになってた。いつの間にか、眼鏡もコンタクトも全部全部落としてきちゃったらしい。

服の一つだって着てなかった。走ってる間はそれが気持ちよかったのに、ふと立ち止まるととても恥ずかしい。隣の階段をかけている人に笑われた。…気がする。

なんだか悔しくなってまた走り始めた。でも不思議、今迄みたいに走れない。周りの目とか、落っことしてきた忘れ物とか。そんなのばっかり気になって、怖くて足を踏み出せない。

そのまま地団太を踏んでたら、あとからあとから、次から次に後ろの人に追い抜かされてく。…気がする。

不安で不安でたまらない。一歩先の段なんて見えなくて、一歩前の段だってぼやけてる。

なにしてんだろ。てか、なにしてきたんだろ。

なにがしたかったんだっけ?

すると不思議、それでも光ってくっきり見えるものがある。

前歩いてた階段。友達がたくさんいるあの階段。そこだけはキラキラ輝いて、ずっと遠いはずなのに、今いる足元より全然くっきり見えるんだ。

あっちの階段に戻りたい。…気がする。それが正しいかなんてわからない。

分からなくて、怖くて、不安で、不満で、不安定で。とうとう一歩も進めなくなった。とうの昔に引き返す方法も乗り換える方法も忘れてしまった。

風ひとつ吹かないこの場所。暖かくも寒くもないこの場所。ここにいたら死んでしまう。この場所に殺されてしまう。それだけはわかるのに、踏み出し方を思い出せない。

怖くて怖くて仕方ないから、ここに家を建てることにした。立てつけ完璧、雨も風も入ってこない。オートロックだってついてる立派な家。これで安心して生きていける。何も心配することなんてない。…そんなわけない。

今は嵐を望んでる。この家も、この状況も、弱い自分も。全部全部まとめて吹き飛ばしてくれるような、そんな嵐を。

 

心が動かない、日々停滞して腐っていく人生の中で、僕はひとり、嵐を望んでいる。

 

お目汚し失礼しました。

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