五感/においのクリスマス/ケチャねえ

サンタクロースが来なくなったのはいつからだっけ。人は皆小さいころは、サンタクロースからプレゼントをもらうために、ヨイ子にしてそわそわしながら、眠りにつく。それがいつからか成長するにつれて、サンタクロースを待つ夜は終わってしまう。

家族を持って、子供が生まれれば次は待たれるサンタクロースへと変わっていく。こうやってサンタクロースの秘密は守られている。

 

 

「ママ、タイヘン、タイヘン、うちにはエントツがないからサンタさんが来てくれないかもしれないよう。」

隣を歩いている子供がお母さんに泣きそうな顔でつぶやく。お母さんは微笑んでいる。もう通り過ぎて行ってしまったので会話の続きは聞けなかった。でも微笑みのわけをあの女の子は、数年後に理解するのだろう。

 

 

私も子供のころは、サンタクロースの正体を見てやると寝たふり大作戦を妹と一緒に計画したものだった。8時に布団に入って、今年こそは正体を見てやるとはしゃぎすぎて、いつの間にか朝になっていた。お母さんとお父さんにはすべてお見通しだった気がする。朝起きて手いっぱいにプレゼントをかかえて喜んだ、感触は20歳を過ぎた今も忘れないものなのだな。と寒さでしびれそうな手に過去の思い出がふとよみがえった。

 

 

クリスマスの夜にそわそわする子供たち、クリスマスという日に勝負をしようと緊張感にあふれている男性たち、その緊張感からさらに緊張する女性たち、数十回目のクリスマスを迎える夫婦たち、周りを見ればいろんな人たちがこの世の中には存在する。

吐き出した白い息に想いをのせて、歩くスピードを早めてみる。

 

 

「待った?」

小走りで駆け寄る。先ほどまで聞こえていた音も、見えていた景色も、すべてがシャットダウンされる。

走ったからか、体はあたたかいけれど、指先と顔だけが冷たい。

 

「クリスマスにはやっぱり『真っ赤なお鼻』が似合うよ。」

クスッと笑って彼は自分のマフラーを私に巻いた。ふわっと香った彼の香水が私の鼻をツンと刺激した。

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「五感/においのクリスマス/ケチャねえ」への2件のフィードバック

  1. 最初に出たサンタクロースの正体についての話題が、うまく活用されていないように感じた。クリスマスだから、という感じでとりあえず着けてみたように感じる。

    また、においのクリスマスというわりにはそこら辺の記述が少ないようにも感じた。

    真っ赤なお鼻の部分の下りは、読んでいて風景をこんな感じかな、と想像できて表現として上手いと思います。

  2. 癒されました。
    主人公がどんなクリスマスをおくるのか、楽しみです。

    gioruさんのコメントにもありましたが、匂い描写が前半の町の様子に取り込まれているともっとわかりやすいと思います。

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