姉の目/目/やきさば

私は双子だ。同じ日に一分だけ早く生まれた姉がいる。
一卵性双生児だから、姉と私はとっても似ている。
背は全く同じ高さだし、体重だってたぶん同じくらい。髪型はまあ、ただの偶然だけど、ずっと行動を共にしてきたから肌の色だって、同じくらいの濃さ。眉毛も、お父さん譲りのぺちゃんこ鼻も、分厚い唇も、笑ったときにできるえくぼも、全部全部瓜二つ。

でも、ひとつだけ、姉と全く違う部分がある。

それは、目だ。

姉の目は、誰もが羨むぱっちり二重。おまけに目玉が大きくて、まつげも長い。ビューラーでくいっとまつげをあげれば、くりくりの可愛いおめめのできあがり。ほら、目だけきれいな女優さんみたいだ。佐々木希みたいな目。

対する私は、はれぼったい奥二重。おまけに目玉は小さくて、まつげもはれぼったい瞼の皮膚につぶされて、ほんのちょびっとしかない。しかもこの二重は気分屋なのか、常にいい状態をキープしてくれるわけじゃない。朝目を覚ませば一重になっていることだってあるし、寝不足な日々が続けば二重の幅が狭くなって、もともと小さい目が更に小さくなっていく。

姉と私は、とっても似ている。目だけを除けば。

七五三で写真を撮ったとき、母が言った。
「今日はあんまり二重がきれいじゃなくて残念だったね」
私の二重が日によって違うのを母はよく知っていた。いや、むしろこのことは赤ちゃんの頃からだったらしいから、私より母の方が先に知ったのだろう。きっと母のこの言葉に深い意味はなかっただろうけど、精一杯おめかしして撮ってもらった後の私をイライラさせるには十分だった。なんだよそれ、嫌味かよ。そんなの一番私がわかってるよ。
隣にわたしと色違いの着物を着て、わたしとそっくりの笑顔で写る姉の目は、いつも通りくりくりの可愛いおめめだった。

どうして目だけ違うんだろう。どうして目だけ似ていないんだろう。
もし、わたしが姉と同じ目をしていたら。
姉の目が羨ましくて羨ましくて仕方がなかった。

同じ部屋で先に眠りについた姉の寝顔を見た。
わたしと同じ太さの唇に、同じ形の鼻。でも目だけは違う。閉じられているのに瞼にはきれいに二重のしわが入っていて、その先にはまっすぐに長いまつげが伸びていた。

明日はきれいな二重でありますように。
隣ですやすやと眠る姉をもう一度だけ見て、わたしは目を閉じた。

0 votes, average: 0.00 out of 50 votes, average: 0.00 out of 50 votes, average: 0.00 out of 50 votes, average: 0.00 out of 50 votes, average: 0.00 out of 5 (0 投票, 平均点: 0.00,  総合点:0  |  
投票する為にはユーザ登録する必要があります。
Loading...

「姉の目/目/やきさば」への5件のフィードバック

  1. 目立つパーツなだけに、毎日やきもきしそうですね。目玉ではなく、睫毛も含めた目なのが女の子らしいです。家を出たら些細な問題だよと励ましてあげたいですね。
    最後にもやもやとした気持ちを抱えたままにするのが、後ろ暗くてすごくコンプレックスなんだろうな、というのが伝わってきました。

  2. 姉妹なのに、兄弟なのに、双子なのに。自分に近い存在なだけに、自分のほしいものを相手が持っていると余計に複雑に感じるのが、とても丁寧に書かれているように思いました。

  3. やきさばさんにしか書けない話ですね。姉と同じ要素を単語で挙げるのではなくて、文章でそれとなく伝える部分があると読んでてもっと楽しいです。
    女の子の双子の可愛いエッセイだなあと思いました。ほっこりしました。

  4. 双子じゃない普通の兄弟であれば些細な違いは全く気にしないだろうけど、双子だからこそ些細なことも目立って見えるのだなと思った。自分が双子だったら色々比べられそうで嫌だなぁと思わせるような文だった。

  5. 兄弟姉妹に対してコンプレックスを抱える人はいますが、双子というのはやはり特殊ですね。それが双子という要素がフィクションにおいて多用される要因なのかも、と思わされました。
    文中で言われていることは繰り返しが多いですが、お話の進め方に無理がなく、しつこく感じませんでした。うまいですね。
    最後に、読者としては内面はどう違うのか、そこが気になるところです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。