視力検査/目/さくら

視力検査。

ゲームが好きでいつもやっていた僕は、視力検査の結果はいつも芳しくなかった。毎回、視力検査のあとに学校から名指しでプリントが配られ、眼科への受診を勧められるのであった。

小学校3年生になり、ただでさえ低かった視力はついに0.1まで落ちてしまっていた。こうなると周りの物も輪郭で認識するのがやっとになり、生活にもかなり影響が出始めていた。そこでついにメガネをかけることにした。最初のうちは鼻に違和感を覚えつつも、しばらくしたら慣れ、友達もメガネをかけた自分が普段のものとして受け入れるようになっていた。

それでもゲームはやめなかった。同じくゲーム好きの友達(彼もまた、メガネ)の家にお邪魔しては、ソニックやスマブラでみんなして楽しんでいた。この頃、ちょうどニコニコ動画が始まったくらいだろうか。ドナルドの動画で大笑いする姿は、完全に引きこもりオタクの方向へ向かっていた。当時の自分からはサッカークラブのサポーターをする今の僕の姿は全く想像できない。

今小学校高学年頃の写真を見返しても、インドア派の病弱そうな小学生にしか見えない。別に悪いことではないんだけど。

メガネに頼りっきりの僕の視力は回復することはなく、0.1~0.3という低い水準を彷徨い続けた。

 

そんな自分に転機が訪れたのは中学に入ってのことだった。親からの命もあり、美術部に入りたかった僕は運動部に入ることになった。小学校時代の親友がサッカーをしていて、その縁もありサッカー部に入部することにした。今思えばよく一番厳しいであろう部活を選んだものだ。

サッカーといえば接触も多いスポーツだ。そのためメガネをかけたままの活動はあまりにも危険である。そのため、運動着に着替える時に、メガネを外すことを強いられたのだ。輪郭くらいは把握できる最低限の視力はあったし、何より絶対にコンタクトは着けたくなかったので、裸眼でサッカーをしていた。

サッカー部で活動していると、練習試合で副審(サイドを旗を持って走る審判)を任せられることが多々あった。その性質上、前後左右に眼球を動かすことが必要なので、今思えばこれが最大の目のトレーニングになったんだと思う。

いつしか、普段の生活でも面倒なので裸眼で過ごすようになっていった。

 

中学2年生の春。毎年のように視力検査の日が来た。するとなんということだろう。見えるのだ。

結果は両目1.0。かつて0.1まで落ちた人間とは思えないV字回復ぶりだ。正直自分でもここまでの回復は驚いたものだ。

今でも当時の話をする機会は多々あって、「昔はメガネだった」と話すと必ず「じゃあ今はコンタクトにしたんだ?」と訊かれる。僕は今裸眼で問題なく生活できているが、このV字回復の話をしてもまあ、信じてもらえないこと。

メガネの君も是非参考にしてはどうか、と勧めると、「その為だけにサッカーの審判なんてやるか!」とツッコミが入る。ここまでがいつもの話の流れである。

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「視力検査/目/さくら」への3件のフィードバック

  1. こちらも、状況説明がおおくて、内容はすごい!すごい!いいな!と思うのだけど、それ以上の感想が難しい。この事実を知ってほしい文ならば、もうすこしおもしろく書いたり、勢いつけたりすべきかなあと。

    めちゃくちゃ近眼な私にとって、羨ましすぎる話でしたが。

  2. これは実話なんですかね……?だったらすごいなぁ。展開が特にあるわけでもないので、良い意味でも悪い意味でも読みやすかったです。すぐ読めました。仮にこれがノンフィクションだとすると、話を盛ったらこの文章の趣旨とは違ってしまうのかもしれませんが。

  3. 実話なら実話であるともっと強調しても良いと思います。にしても本当ですか?絶賛視力低下中なのですが、サッカー以外のもので代用できませんかね…。

    最後に話の流れ、とあるので冒頭にも周りの人物をとりいれた構造がほしいです。

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