見せられないよ!/目/ノルニル

目が悪くて眼鏡をかけていた。ふと眼鏡を外したとき、君からぽつり「きれい」と、そう言われた。
次の日、眼鏡から久しく使っていなかったコンタクトに変えた。

 

君に目を見つめられたらきっと、瞳孔が開いているのがわかってしまう。
でも、君は目を合わせてくれない。笑ったような困ったような、きっと赤ん坊をあやすような顔で、遠い目をしてすこし顔を伏せる。
その仕草がたまらなく切なくて、目を見開いてガラス玉にして感情を殺して、口だけ笑って自分の気持ちを塗りつぶした。

君といるとまぶしくて目の前がみえなくなって、ふだんはしないようなつまらない話を延々として、気恥ずかしさと自分可愛さにぜんぶ茶化して誤魔化して、君の目を見るのが怖くて逃げて。

 

透明な存在になって、光をそのまますかしたかった。
こんなにもあかるい世界に陰を落としたくなかった。
誰の目にも映らない、誰でもない人になりたかった。
人の匂いのしない人になりたかった。
傷つけたくなかった。
傷つきたくなかった。

 

それなのに、君のなかには影を残してみたいと思った。わがままだよね。分かってる。

 
「目がきれいだっていわれたら、だれだってうれしいものでしょう」
幼いころに読んだ、なんて名前の絵本だっただろうか。
今なら、わかる気がした。

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「見せられないよ!/目/ノルニル」への5件のフィードバック

  1. 詩的な文章。一文一文に透明感がります。
    しかし、主人公が君への2つの感情の狭間で揺れ動く様が後付けのように思われました。
    綺麗な恋心と、後ろ暗い感情とが文の中で混ざりあっていて、とらえにくいというか、その狭間にいる主人公の気持ちがわかりにくくて……。
    ノルニルさんの文体は雰囲気に合っていてとてもすきです。展開の仕方がもう少し工夫されればもっと読みやすいです。

  2. うわあ〜キラキラだ…!
    こういう恋をしている状態をかいた文って、
    〜〜て、〜て、〜くて。というように文をめっちゃ並列してしまいますよね。
    「好き」という言葉がひとつもないのにある人に恋い焦がれていることが伝わってくる文章は素敵です。

  3. 読んでいて詩的な印象を時々受けました。短い文を語尾を同じにして並べたからでしょうか。

    さらっと読めて、むしろさらさらし過ぎてるのか。もう少し掘り下げて感情を細かく書けると良いのかもしれません。また、この書き方なら、いっそのこと詩にしてしまえば良くなるのかもと思いました。

  4. 男、女ともとれる不思議な文章でした。褒められて眼鏡を外す単純さは、誰のためかわからないけれど、好感が持てます。
    相手に関わろうとした時、視覚って大きいですね。この後何か変わるか、時凄く微妙ではありますが、何も起こらない今がすごく綺麗でした。

  5. 読んでてすごく女子っぽくてポエミーだなぁという印象を受けた。でも、くどくなく結構あっさりしている感じ。表現の仕方も綺麗でこういうのだったら胸焼けせずにいくらでも読めそうだと思った。

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