素敵なミイラ/キャプション/エーオー

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じゃあ、これはミイラでしょうか。

引越しの日、空っぽの部屋の中で食器棚のあったところにしゃがむ。ホコリを取ろうとしたら、きらっと鱗みたいななにかが光った。

あ、きれい。光に透かしてみる。

餡をはさんだヨモギ色の薄い餅がそっと二つ折りにしたような死骸。脚を開いてしんでいないところがいい。なんか、静かで、動いてた気配もなくて、魂の去ってしまった空っぽの器ってところがいい。

「ばかだな、おまえ。そっちじゃないよ」

ちょっと前、毎晩家の中で虫の鳴き声がした。必死で鳴き声を追って場所を割り出して、紙で誘導して外に逃がそうとする。なかなか上手くいかない。おまえ、風は開けた窓から吹いてるだろ。自然の勘で出口に向かうとかないのかよ。午前零時の攻防。

あれは多分ケラだったと思うのだけど、君も鳴ければよかったのにね。
それとも、もしかしたら鳴いてたのは君だったりしてね。ピアスみたいにきらきらしてるからそっと小さな缶に入れておいた。

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