目か耳/目/縦槍ごめんね

人間、視力もしくは聴力どちらかを失わなければならないという選択を強いられたとき、おそらく大抵の人間は聴力を選択するのではないか。それほど人間は「目」という部位に依存して生きている。それがもし、何かしら外部からの攻撃によって失わされるのであれば、なおさら目は嫌だ。
何故、今こんな話をしているかというと今私はその選択を強いられるという窮地に立たされているからである、私は一介のサラリーマンであったが、道端で拾った封筒のせいで、よからぬ方々につかまり、今尋問を受けている最中なのだ。知らないといっても彼らは私の言うことなど何も聞き入れてくれない。そして、今遂にその尋問は拷問に変わろうとしている。さて、ここで、最初の話だ。彼らは目か耳か私に選べといってきた。私も馬鹿ではないこの一言で大体察しはついた。先ほどは目か耳なら絶対耳のほうがましだといったが、そんなのどっちも嫌だ!大体なぜなんの関係もない私がそんな事強いられなければならないのだ!あまりの恐怖感に私がどちらも選べずにいると、向こうは私の意志など無視して、勝手に目を潰しにきた。いやいやいや、ちょっと待って!目はないでしょ、目は!どう考えても目より耳の方がましだ!あれ?もうさっきと言っていることが違うがとにかく目は嫌だ! 目だけは止めてくれ、心の中で放ったと思われた言葉はどうやら心の中から漏れていたようで、向こうの方々は目を止めて、耳を潰しにきた。徐々にドライバーが耳に近づいてくる。怖い怖い怖い!もうどっちも嫌だよ、なんでもいいから助かりたい。この状況から逃げ出したい。ドライバーが耳の中に入ってきた。そして、鼓膜までもう少しというその瞬間、バン!とドアが開いた。何やってんだ、という怒号と共に5,6人の男達が入ってきた。どうやらその方々は今私の目の前にいる方々と敵対しているグループのメンバーらしかった。そして、私の持っていたものが取引にとても重要なものであったというざっくりとした説明を受け、もう用済みだということで早々と逃がされた。そして、最後にここで見聞きしたことは絶対口外するなと言われた。

それから家路につき、家に着いた瞬間、私はすごい脱力感におそわれ、次の日の会社にいくことも忘れ、ずっと眠っていた。それからしばらくは、あんなことがあったにも関わらず、普通の生活を送っていた。しかし事件から二週間が過ぎた、ある日の帰り道、私はいかにも向こうの方だという、人間を見かけた。その瞬間あの事件のことがフラッシュバックしてきて、ものすごい恐怖感に襲われその場でうずくまり、嘔吐してしまった。それから、徐々に私の生活は瓦解していった。向こうの方々に似た人を見かけたり、似た声を聞くと心拍数が高まり、動けなくなる。毎日それを繰り返していると家からでることもできなくなり、今ではもう家のなかにいても聞こえてくるそとの音とか、ラップ音ですら、あの事件を思い出させるトリガーになりうる。私は思った。いっそのことあの時両目、両耳とも潰されておけばよかったと、そして、私は気がつくと自らの手で自らの視覚と聴力を消していた。

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