あいつが嫌い/嫌い/きりん

誰だって、世の中1人ぐらいはどうしても好きになれない奴がいるだろう。
それには様々な理由なあるのかもしれないが、なんか、もう、生理的に無理というような。

そういう奴と出会う前に予感めいたものがある、という人間もいるが、俺の場合は違った。気がついたら奴はいたんだ。
あいつは人気がある。

いや、俺だってそれなりにちやほやされる方だ。人気があるから妬んでるってわけじゃない。これでも写真のモデルになったり、ぜひ描かせてくれって言われることもある。主流は海外だが、日本でだってそんなに腐っちゃいない。

が、俺と違ってあいつはどんな人からも好かれるんだ。日本でも、恐らく海外でもな。
あいつの姿もスマートで目立つが、そうじゃない。別に絵になるような華はあいつにないんだ。あんなのはただのトレードマーク。好かれているのはその中身さ。

とにかく甘い。誰に対しても甘い。
人に限ったことじゃない。動物にだって甘い。特に猿から好かれているな。イメージだが。だからこどもからじいさんばあさんまで老若男女問わず好かれる。ただあまりにも甘いもんだから、仲間内では浮いてしまう。みんながみんなあれに付き合ってられないんだ。

ああ、あと当たりがソフトだ。あの当たりの柔らかさが俺には耐えられない。ちょっと接しただけでも無理だ。吐き気がしてくる。そこが良いなど、死んでも思わない、あの悪魔的な柔さ。あいつが何をしてこようがあの柔さは残る。無理なものは無理だ。

そして、俺が奴を嫌う最後にして最大の理由。あいつが彼女の隣りにいるのが許せない。

彼女に真に似合うのは自分だと、自負している。共に添い遂げたいと思っている。その覚悟がある。
なのにここしばらく、あいつが彼女の周りをうろちょろしているのさ。

チョコバナナ?ふざけるな。
一緒にパフェに入るのも、クレープに入るのも、俺でいい。バナナの奴なんざ皮だけになっていれば良いのだ。チョコレートフォンデュで出くわしたときなんか気が狂うかと思った。彼女、チョコレートに溺れるのも、俺だけでいい。

最近じゃあ、日本でもどこでも年がら年中陳列棚で顔をあわせる。オレンジを舐めているんじゃなかろうか。腹ただしい。

俺はあいつなんか嫌いだ。

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「あいつが嫌い/嫌い/きりん」への3件のフィードバック

  1. 他の人のを読んでからだとだいぶ和みますね。個人的にはオレンジピールの入ったチョコレートとかも美味しいと思います。
    奇をてらった割には順当な印象を受けるので、ミスリードをもっと入れても良いと思います。それと最後のネタバレがチョコバナナからだとゴチャゴチャしてわかりにくいので、最初に単品で出したほうが良いとも思いました。

  2. 猿が好き→ばなな
    あいつ→誰だろうという風に読者に予想させる文章はは読んでいて面白いです。
    それまでの文章がオチをどうしても意識してしまっているような印象でしたが、話自体は多くが人から人やものに嫌いな焦点を当てている中で一風変わっていて好きでした。

  3. 猿に好かれているのあたりで、なんとなくバナナ?と思いつつ、そのネタばらしの過程も楽しく読めました。
    語り手はオレンジということで良いのでしょうか?それを明かす部分がかなりサラッとしていて、少しわかりにくいかなと思いました。その曖昧さもいいのかもしれませんが。

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