嫌いだ―!/嫌い/のっぽ

「嫌いだー!」

いつ頃からだろう。この言葉、最近めっきり口にしなくなった。

けどそれは、嫌な奴が減ったとか、苦手な人がいなくなったなんてことではなく。

そんな人は子供のころからずっといるし、むしろ年を取るにつれて目に付くようになってきた。

 

「嫌いだ―!」ってストレートに言えたら楽なのに。

小学生の頃は言えていた。友達の家に遊びに行ったとき、少しでも気に入らないことがあれば「嫌いだ―!」と叫んでそのまま家に返ったりした。もちろんその後に親と謝罪のためにもう一度訪れることがセットになっていたが。

 

そんな風に言えなくなったのは中学生の頃からだろうか。

「あいつ気に入らないよね」なんて仲間内で回していたメールを誤って当人に送ってしまったこともある。その後の居心地の悪さは、今も覚えているほどだ。ストレートに「嫌い」だって言えればどれだけ楽だったか。

 

20歳を超えると、嫌いという意思表示もできなくなってきた。

「嫌い」だけじゃない。相手を否定する言葉たちは胸の奥の方にしまわれた。

そのかわり、嫌いな人とでも何ともないような表情で会話できるようになった。

 

だけど、口にも表情にも出さない「嫌い」はよく見える。分かる。

「この人、僕のこと嫌いなんだろうな」

「けど、いたって普通の顔をしている」

いっそ、嫌いだといてくれた方が楽なのに。

それなら、業務連絡に添えられた身の上話に無理して笑わなくてもいいのに。

 

「私はあなたが嫌いです」「なので絶交しましょう」

そんな風に言ってしまえればいい。

そうして関係を断ってしまえればいい。

そうすれば、人に嫌われることもなくなる。

人に嫌われたくなければ、先に嫌ってしまえばいい。

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「嫌いだ―!/嫌い/のっぽ」への1件のフィードバック

  1. ある意味で心理的に成長したってことなんでしょうけど、大人になるにつれて自分の感情をさらけ出すことが恥になってくると、そこで我慢して溜め込んだものの捌け口に困ることは良くありますね。

    「人断捨離」という概念も出てきているそうですが、確かに大学に入り嫌いな人と無理に絡む機会がなくなると、楽になりました。

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