ずっと/百合/YDK

 
「久しぶり、元気にしてた?」
1年ぶりの再会。相変わらず遅刻魔。今日も待ち合わせに15分遅れでやって来た。乱れた髪を整えながら私に微笑みかける、彼女。少し緊張していた自分がバカみたいだった。

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彼女とは高校1年生の時だけ同じクラスだった。小中一貫だった私にとって、知らない人がいる教室は新鮮で、怖くもあった。でもまぁなんとかなるかな、って気持ちで私の高校生活は始まった。

彼女との出会いは、電車の中。変わった苗字の彼女のことを、私は一方的に知っていて、とりあえず話しかけてみた。あの頃は普通に単なる可愛い女友達のひとりだったのに、いつからだろう。
彼女に抱く気持ちが、異性に抱くそれと同じになっていたのは。
最初、自分で自分を疑った。単なる女友達からのレスポンスに一喜一憂してしまう。自分はおかしいんだと思った。今まで好きになったのは、普通の男の子だったのに。どうして、どうして。誰にも言えない気持ちは、ずっと心の中で燻っていた。
私のこんな葛藤なんて彼女は知る由もなく、私たちはずっと一緒にいた。周りからも、仲が良すぎるでしょ、と言われるくらいには。彼女の笑顔を、この私たちの関係性を壊すことが何よりも怖かった。自分の心に嘘をついても。
そしてやってきた、高校一年生の夏。
ちょうど今と同じように、彼女は待ち合わせに15分ほど遅れてやって来た。今日も可愛いね、なんて下心を隠した軽口をたたきながら歩く。手を繋ぎたい、何度思っても叶わないから、思うのもやめた。ずっと仲のいい女友達のままで、ぬるま湯のような関係でいいんだ。この幸せを壊すくらいなら……。そう思っていたのに、彼女は容易くその思いをぶち壊してきた。
「私ね!好きな人ができたかもしれない!隣のクラスのS君なんだけど…」
今まで意図的に避けてきた、女子高生なら話題にする恋バナ。
当然相手は男で。私は女で。
いわゆるイケメンと噂の、S。
あ、私には敵わないだろうな。悟った。
「……いいじゃん!!そういえば最近話してるよねぇ」

血塗れの心は見ないふりをして、私は彼女に答える。彼女からみた、理想の私を演じる。嬉々として好きな男のことを話す彼女のことすら、愛おしいと思うくらいには私は彼女にぞっこんだった。

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結局、高校時代ずーっと彼女のこと、好きだったなぁ。なんども男のこと好きになろうとしたけど無理で、最後は自分は人間が好きなだけだって落ち着いた。
「何考えてるの?」
横で彼女が問いかけてくる。はっと我に帰り、意味ありげな微笑みを返す。どうせ、この後もカフェで彼女の高校時代から続く彼氏との話を聞くことになるのだろう。
きっと、ずっと片想い。

 

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「ずっと/百合/YDK」への3件のフィードバック

  1. 果たしてこの主人公の想いというのは、恋なのでしょうか。それとも友情の果てのようなもの?それなら友情と恋って一体何が違うんだろうか。……正体なんぞ私には分かりませんが、この気持ちは異性に抱く恋心と同じものだ、と自覚した主人公の葛藤についてもう少し掘り下げられていたら、大変個人的なのですがものすごく興味深くあります。恋ってなんなんだろうか、本当に。
    百合という思想的に縛られがちなために少々過激なテーマ故にどれもこれも似通った内容になってしまうのは仕方ないとして、百合や恋に囚われない百合が百合たる美しさのその意味所以などを描いてみるのも、私は面白いと思いますので、ぜひそちらにもチャレンジしていただきたい所存です。……これでは批評というよりも私の読みたい百合になってしまっているような気がしますが、はい、すいません。

  2. 私は結局百合というものを恋と同種にはとらえられない、というか自分で書けるものに関しては恋という形で表せない人種だから、そこに跳べる人がうらやましいなと思った。恋なら恋で葛藤が生まれるのだろうし、恋と取らえられなかった人間は血走った眼で今日も自分はどの宗教にもとらわれないエリアで、どこに線をひけばいいのかとさまよってる感じ。個人的にはほのぼのしていて好きだったのだけれど。

  3. 恋愛感情はそんなに変化しないものなのかとも考えつつ、こうあまり突っかからずに読めました。ただ相手からしたら恋心ってそんなに気づかないものなんですかね?よくわかりません。

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