ジェリー・フィッシュ/百合/JBoy

新潮社主催、「女による女のためのR-18文学賞」シリーズ映画化第2弾として、2013年に公開された映画「ジェリー・フィッシュ」は、私に何を教えてくれたのだろうか。見終えた後の感想としては、何とも言えず言葉にできないほどのきりきりとした痛みが残った。共感というのとは少し違うような気もする。あまりに美しく、あまりに儚く、そしてあまりに純粋な魂の表出であった。

 

おそらくあまりこの作品を見たことがない人が大多数だと思うので、少しネタバレ覚悟で内容まで踏み込んでいきたいと思う。もっともレビュー的に書くのなら少しでも興味を持ってくれたら、それはそれでうれしいことである。

 

今作の主人公は2人の女子高生。クラスでも目立たない宮下夕紀と明るく快活な篠原叶子(かなこ)である。

二人の出会いは突然であった。いや同じクラスの同級生だからすでに知ってはいたのだが、この時初めて互いの意識の中に入ったというべきか。水族館のクラゲの水槽の前で、叶子が夕紀に話しかけ俄かに夕紀の唇を奪ったのであった。

これは夕紀にとってある種の革命であった。官能的な衝撃が夕紀を襲ったのであった。

 

この時、夕紀はつまらない日常生活に辟易していたところであった。またそうした退屈な日常から脱するために、レンタルビデオ店の店主と不倫をしていたのだった。男の人とセックスがしてみたい。どうやら気持ちのいいものらしいから。ただただ純粋な好奇心から、生活に刺激を与えるために。

でもどうやらそんなに気持ちのいいものでもないようだった。そこには愛がないから? なおも満たされない不満で退屈な生活を送っているのだった。

 

そこで叶子との邂逅が、夕紀のすべてを変えていった。最初はどうすればよいかわからず戸惑う夕紀だったが、徐々に叶子に心を開いていったのであった。

これは紛うことなく恋の気持ちであろう。ただその対象が女の子であっただけの話だ。

男の人といくらセックスをしたところで紛らわせることのできない鬱屈としたものを解消できるのは、叶子の存在だけなのだ。夕紀のリビドーは叶子に向かって一直線に伸びている。(ここでいうリビドーは性愛としての意味だけでなく、もっと広い意味での志向性をさす。)

 

 

だがしかしここで大きな壁に衝突することになる。叶子に男の影が忍び寄る。同じクラスの平井という男子と叶子は交際し始めた。そして叶子は平井とのセックスに興じるようになっていったのであった。

 

夕紀は取り残されてしまった。夕紀のことが好きだという叶子のことが、どうにも信じられない。それでも夕紀は叶子のことを愛していた。お互いに唇を重ね合い、体を触り合うことが何よりも幸福で充足した時間だった。

夕紀は2人が体を重ねることを頭では理解していても、心ではやはり受け入れられない気持ちでいたのだった。自分以外の人と快感を享受することがどうも許せなかったのだろう。

 

揺れ動く夕紀の心と体。自身の不倫の経験と叶子の交際を経て、心は乖離し肉体的快楽を希求するも、肉体的快楽への疑念はますます強くなるのであった。

 

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「ジェリー・フィッシュ/百合/JBoy」への2件のフィードバック

  1. レビューとしてはきれいに要約されていて、よても読みやすかったです。この映画のことは全く知らなかったけど、見てみたくなりました。それだけにただのレビューで終わってるのはもったいないです。なにか独自の解釈的なものがあればもっと読んでておもしろい文章になったかもしれません。

  2. 多くの人が小説を書いている中で、このような、映画レビュー体は面白いです!
    思わず、検索して予告編の動画を見てしまいました。
    レビューとしてはとても面白くてぜひみたくなったのですが、個人的な考えや同性愛映画をみたあとの感情など、批評的な感じでもっとふみこんでみても良かったと思います。

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