Creation

昔々、あるところに神様がいました。
神様はずっとひとりぼっちでした。自分がどうやって生まれたのかも、自分が何者なのかも、全くわかりませんでした。
でも、神様は全く寂しくありませんでした。というのも神様は本当にずっとひとりぼっちだったので、寂しいということがどういうことなのかよくわかりませんでした。

神様はあてのない散歩が好きでした。歩く必要はないのに、というかそもそも空だって飛んで行けるのに、自分の足で歩くのが好きでした。そうしてこの漠漠たる世界の何たるかをよく考えていました。一瞬にして破壊できるようなこの世界に、なぜ自分がいるのかと思案していたのでした。

神様は退屈していました。

そこで神様は暇つぶしに、「何か」を創りました。「何か」は単なる「何か」であって、名前もないものでした。神様はできると知っていながら、初めて創造をしました。そして底知れぬ喜びめいたものを感じたと同時に、今後はあまり創造をしないようにしようと思いました。なぜなら今日のこの喜びを他の喜びで薄めたくなかったからです。

しばらく「何か」と遊んでいると、神様はまたすぐに飽きてしまいました。

そこで神様は暇つぶしに、「イノチ」を創って「何か」に与えました。生き生きと動く「何か」を見て、神様は先ほど以上の喜びを感じました。そして「イノチ」を得た「何か」は、全く自分の予期していないことをするのでした。この喜ばしい裏切りは神様にこの上ないエクスタシーをもたらしました。

しばらく「イノチ」を得た「何か」と遊んでいると、神様はまたすぐに飽きてしまいました。

そこで神様は暇つぶしに、「コトバ」を創って「何か」に与えました。そこで初めて神様にも「コトバ」という概念ができました。すると「何か」はこう言いました。
「私の名前は何ですか。」
神様は驚きました。「コトバ」という概念ができはしても、神様には名前というものがよくわかりませんでした。今まで考えたこともなかったからです。

「私が神であり神以外の何物でもないのと同様に、あなたも『何か』であって、『何か』以外の何物でもないのではないですか。」

神様の反応に、「何か」はこう答えました。
「いいえ。名前とはとても大事なものです。私の名前がないのであれば、創ってはくれませんか。」

すると神様は少し考えてこう言いました。
「では君の名前は『トモダチ』としましょう。それは一緒にいて楽しいものを指すコトバですから。」

ご満悦の神様の前で「何か」はこう返しました。

「ありがとうございます。では私もあなたに名前を差し上げましょう。」

そう言ってしばらく考え込むと、「トモダチ」はバタンと倒れピクリとも動かなくなりました。
これが「イノチ」を作った時に副産的に作ってしまった「シ」というものでした。神様はこの時初めて気づいたのでした。

神様は初めて泣きました。「トモダチ」との別れ、自分の名前、「シ」‥‥。
いろんなものが涙の原因でした。

神様は一向に泣きやみませんでした。来る日も来る日もずっと泣いていました。
気づいたら辺り一面が涙で満たされていました。

こうして出来上がったのが「海」でありました。

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「Creation」への2件のフィードバック

  1. どこかで読んだことあるな、と思いました。
    こういった話に出てくる神様はいつも暇で、何かを創り出すイメージがあるので、もっと神様の意外な部分を見てみたいです。
    涙が海になる話も昔ばなしでありそうです。
    人がみるみる成長していく様子から、シムシティというゲームを思い出しました。
    天から道路や公共施設を与えて市民が喜び発展するのを見るのは楽しいです。三人称ではなく神様視点で書いたら面白いかもしれません。

  2. このスタジオでも何回か見かけたことがある、神様が世界を作る話。幅広いテーマでいけるんだなあと思った。いくらでも作れそう。似たり寄ったりになってしまうけど。こういう話って、似たり寄ったりでまただーと思わせたいのか、何か新しいところがあるぞと思わせたいのかいまいちわかりません。狙いがわかりにくいというか。

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