グシャノビンヅメ推薦文/春課題②/なべしま

検索エンジンというものはなかなかに優秀で、たとえば数年前に一度だけ見た映画のタイトルを探し当てることさえ可能でありました。
こんな感じです。
「犯罪者 囚人服 エレベーター ホラー映画」
まああとは二、三ネタバレワードをぶち込みましたが、これだけで小さい頃に見たトラウマ映画を発見できるとは。
こうして発見したのが「グシャノビンヅメ」という2003年の、少しだけ古い映画です。

どうも当時話題にはなったようなので、有名なのかもしれません。
ジャンルとしてはSFとなるのでしょうか。
薄暗い中、外套の明かりだけがあたりを照らす世界。交通機関はエレベーター。
エレベーターガールによると、どうも階層ごとに役割が分かれているようで、普通のエレベーターと一緒ですね。この階はオフィス街、この階は住宅街、というように。
SFというのは作品の大部分が世界観に尽きるものであります。少なくとも私にとっては、世界観を崩さないためなら多少の謎は問題になりません。徹底した舞台、それがSFの世界の裏付けになるのです。いやそれはないだろ、と指摘されたら終わりなのです。その指摘さえ無意味なものになるほどの世界、それがSFに求めるものです。
グシャノビンヅメはどこか謎の残る展開をします。その謎とはこれまで見てきたストーリーを疑うほどの、そしてこの世界そのものに対するものであります。その上明確な解決もない。ミステリーなら広げた風呂敷を放置する行為でしょう。けれど謎そのものが世界を作っているのなら何の問題もないでしょう。

改めてこの映画をみましたが、やっぱりこれは怖いものでした。
ホラー映画の要素は大抵二つに分けられるでしょう。驚き、それから不安。グシャノビンヅメは不安が圧倒的に占めます。コミュニケーションのとれなさそうな囚人もたしかに怖い。けれど何より不安に思えてしまうのは主人公、藤崎ルキノです。
知らない世界とはいえ、よりどころ、基準というのはあります。こういう世界ならこうなるだろう、こういうことだろうという基準。ルキノはすべてを揺るがします。瓶詰を覗くように登場人物たちを追いながら、ルキノだけは瓶に収まらないように思えるのです。
自分の見ているものが信用ならない、というのは一度は思ったことがあるでしょう。この映画に関しては、ルキノの視点に立って、ルキノの一切が信用できなくなるのです。

ネタバレを気を付けながら映画のおすすめ文を書くことのなんて難しいこと。
つたない推薦ではありますが、もしグロ耐性があればぜひ。
そしてこれを見つけた当初に少々騒いだので、またか!と思われたら、まあ、見逃してください。

『グシャノビンヅメ』予告編 監督:山口ヒロキ

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