冒険をはじめよう

 

「ノルニルくん、マラソンとか興味ある?」

 

きっかけは3月はじめのこと。バイト先での作業がひと段落し、一息ついていると社員さんに声をかけられた。
なんでも、3/13(日)に開催される横浜マラソンに際し号外を発行するので、それを会場で配布してくれないか、ということらしい。
3月に入ってからというものの、あれほど忙しかった先月とは打って変わってスケジュールにもだいぶ余裕が出てきたところだ。
もともと陸上部だったこともありマラソンは好きだし、なにより特別手当としてお給料も出る。ふたつ返事でOKした。

また、ついでに取材ができるのも個人的にはありがたかった。
というのも、今回の号外配布は3/13の12:00開始。横浜マラソンは8:30にスタートするので、それまでは自由に取材可能というわけだ。
ではさっそく当日のレポートへ……と移りたいところだが、その前に横浜マラソンの概要を説明していこう。

 

横浜マラソンはその名の通り、みなとみらい・関内地区を中心とする横浜市内42.195kmのフルマラソンだ。参加者は約2万4000人。
横浜でフルマラソンが開かれるのは去年に引き続き2回目。みなとみらい大橋、臨港パーク、象の鼻公園といった観光名所を巡りつつ沿岸部を南下、金沢区の横浜南部市場で折り返してパシフィコ横浜にあるゴールを目指す。

このマラソンの特色は何といっても、コースに高速道路が含まれるという点だろう。使用されるのは主に南部市場~本牧埠頭の後半10km。
首都高速湾岸線の該当区間では全面通行止めが行われ、ランナーは眼下に広がる港の風景を楽しみながら走ることができる。最高地点の標高は26.2mとちょっとしたビルよりも高く、眺めはなかなかのものだろう。
高速道路以外でも市内の主要な道路では交通規制が敷かれ、当日のコースは文字通りマラソン一色となる。

さて、ここで問題が浮上する。高速道路を使うのはいいが、参加者以外はそこに立ち入ることができない。つまり、その間は取材ができない。
加えて当日は交通規制のためバスが運行しておらず、次なる取材先へのショートカットも使えない。
また、今回は号外を配る必要があるので余裕をもって11:30にはパシフィコに着いておくという時間の制約もある。
とまあなかなか厳しい状況ではあるが、バイト先で3/11付の神奈川新聞を読み込み、事前に地図を頭に叩き込むことにした。
そして、それによって筆者のもとへある”秘策”が舞い降りたのだった。

 


 

 

当日の朝、レース開始時刻をすこし過ぎた08:30。横浜旧税関が象徴的な象の鼻パークに筆者の姿はあった。関内駅から歩いてきたが、沿道にはすでに応援の人々の姿がちらほら見受けられる。中継でもしているのだろうか、上空には取材のヘリが2基ばかり浮かんでいる。

3月に開催されるマラソンはその気温の高さのため、難易度が上がってしまうことが多い。そんな中、当日の天気は薄曇り。暖かいわけでもなく、それといって寒すぎるわけではない。ところによっては晴れ間ものぞいている。
小雨が降るかもしれないとの予報もあったが、この時期としてはマラソン向きの天候だといえるだろう。それはつまり、マラソンを追跡取材するこちらにとっても都合がいいということ。幸先は上々だ。

そうこうしているうちに、競技用の車いすランナーが颯爽と駆け抜けていった。今回の横浜マラソンでは、フルマラソンと並行で10kmマラソンと車いすマラソンが行われている。
数台の車いすに続いて、カシオの電光掲示板を搭載した車両が目の前を通過していき、そのあとに警察のバイクが続く。少し手前の給水所では応援のキッズダンスが始まっている。さあ、首位が来る。

時刻は08:41。やってきた首位は黒人ランナーだった。1分ほど遅れて先頭集団。セーラー服風のコスチュームを着た男性ランナーもいる。
沿道からは「がんばれー!」や「ファイト!」といった声援が飛ぶ。
「ファイットーゥ!」久しぶりに声を張ってみる。陸上部の言うファイトは独特のイントネーションがあって、どこか可笑しい。
懐かしい思いに浸っていると、周りのギャラリーも同じように声援を送ってくれた。同志がいたことに胸が熱くなる。さっそく楽しくなってきた。

 

先頭集団が過ぎ去ってしばらくしてから、大勢のランナーがやってきた。県庁前では応援団が旗を振り、声をあげている。
コースマップによればこれからランナーたちは日本大通りを抜け、横浜スタジアムをぐるっと一周して山下公園前の道路を目指すようだ。
交通規制により沿道はマトモに通って行けそうにないので、さっそく秘策を使うことにした。すなわち、コースの大規模なショートカットである。

そもそもの話だが、カメラやレンズ一式、また取材ノートなどを脇に抱えて走る相手をひたすら追いかけるのは無理がある。
マラソンというイベントは参加者によりペースが大幅に異なり、しかも絶対数が多いためそれぞれが相当数の集団を成している。つまり、コースに沿って行く限り取材対象に食いっぱぐれることがないのだ。

日本大通り駅の地下道を使って交通規制を回避しながら山下公園を目指す。市内の中心部では、コースの都合上横断禁止エリアが多く、地上を歩いて行こうとすると相当なタイムロスとなってしまう。
地下を駆け巡って地上に出ると、ちょうど第二集団が山下公園の方へとカーブしていくところだった。予定通りの展開に思わずニヤリとする。

 

時刻は08:55。山下通りの給水所は横浜にグローバル本社を持つ日産のブースとなっており、ランニングマンでおなじみの”R・Y・U・S・E・I”が爆音で流れている。
ランナーにも踊る人がいないかな、と思って歩いていくとこれまたキッズダンスの応援団が一角をなしていた。ランニングマンもキレがある。流石日産。
感心しながらふと山下公園を見てみると、日曜日だというのに噴水前の広場にはひとっ子ひとり見当たらなかった。マラソンへの関心の高さに驚かされる。

さて、フルマラソンのランナーは一心不乱に駆け抜けていくが、10kmマラソン、並びに車いすマラソンのゴールはこの付近だ。
折角なので少し寄り道していくことにした。ゴールで聞いた車いす1位のランナーのインタビューによると、出場2回目にして1位の快挙を成し遂げたそうだ。おめでとうございます。

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