絶望の淵でわらってよ

まとまった時間ができたので、北野武『キッズ・リターン』を観ました。ラストシーンの台詞が印象的な映画です。

 

「俺たちもう終わっちゃったのかなあ?」
  ────「バカヤロー、まだ始まっちゃいねえよ」

 

主人公2人によるこの台詞は有名ですが、実際に観るのははじめてでした。つまり、このシーンに至るまでの展開を知らなかったわけです。

たくさんの映画があります。いちばん見せたいシーンに向けて走り続ける映画と、見せ場を作らず表現力で勝負する映画。
この作品は前者のほうでした。それだけに、このことばがどういう流れで、どういう意図で発せられたのか知る必要がある。そういう思いで観てみたんです。

 

その結果。とても好みの映画でした。
イギリス映画の『トレインスポッティング』(今度久しぶりに2がありますね)を観た時の感覚に近い。

主人公はダメな大人やダメな環境によって同じように駄目にされた子供で、どうしようもないクズ。しかも状況は手詰まりどころか、何もかもが失われてしまいました。
どう足掻いてもこの先良い方に転ぶとは思えないのに、そんなときだからこそひとは前向きで、清々しいほどの笑顔を見せるんです。

そんな中で発されるこの台詞。重みはなく、心に突き刺さりもせず。まるで溶け込むように自然に入ってくることばに、しばらくの間ただ呆然としていました。

 

「まだ始まっちゃいない」そうは言いますが、側からみれば確実に「終わって」います。
でも彼らにはそんなこと関係ないし、そもそも「終わった」とわざわざ言うことに意味はない。
こんなの誰がどう考えてもただの欺瞞で、現実逃避。それでも、そこで顔を上げて生きていくことに意味がある。

 

大きな輝きが失われて、その欠片や残滓が残される。やがて訪れるのは、暗く深い絶望の底。
そこには希望も期待もないのに、そんな場所でもかつて得た輝きの名残を信じられる。そうしてひとは、また訪れるか分からない、その輝きを待ちながら生きていける。
言い換えれば残光。夕日が沈んだあとやってくる夜との狭間、そんな光景が大好きです。
輝かしい日が忘れていった光のひとすじを切り取ったような、素晴らしい映画でした。

 

 

さて、このレビューを書く前にインスピレーションを受けて一気に文章を書きあげてしまったのですが、内容が乱雑でまだ整理できていないためお蔵入りとなってしまいました。
こいつは今後のメモ程度に参考にしていこうと思います。

そうこうしているうちに春休みも残すところ2週間を切りました。せっかくなので、何か面白いことができればと思います。それではまた次回。

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