底辺/春課題/なべしま

人間には優劣があります。
完全に個人的な偏見も多分に含まれていますが、それでは基準を設けてみましょう。
単純に財産があるかないか。財産がある(→それなりの教育を受けている)が優、財産がない(→勉強よりも仕事)が劣です。
かなり乱暴なくくりです。たとえ財産がなくとも立派な人はいますし、金持ちのクズもいますから。目をつぶっていただければ幸いです。

この劣の人間は数多くいるはずです。
しかし同じ時代に生きているのにもかかわらず、目に入ってはきません。
理想とされるのは貧乏になることではありませんから。
しかしあえてこの層に着目した番組があります。それがNHKの「ドキュメント72時間」です。

この番組はある一つの場所、たとえば教習場や休憩所などにカメラを据え、そこに訪れる人々を取材するというもの。
だから特に経済的弱者を狙っているわけではないのですが、やはり数が少ないためか、お金持ちなどを見かけることはあまりありせん。
自然、さほど裕福ではなさそうな人々を多く見ることになります。

今回私が見たのは「冬・津軽100円の温泉で」という回。
田舎の無人温泉か、少々寂れた銭湯のような場所を想像してください。ちなみに男湯のみの
取材となっております。

運送業や運転代行、農業経営者や90くらいのおじいちゃんが多く訪れます。
しょぼくれて華々しさのないうだつの上がらない見た目の人ばかり。
筋無力症を患った人。
坐骨神経症の人。
父親がおらず母親と三人暮らしの姉妹。
風呂場で入れ歯を磨くおじいちゃん。
のんびりと仕事人としての残りの期間を過ごすおじさん。
絵に描いたような社会的弱者。わざわざ辺鄙なみすぼらしい格安温泉に浸かりにくるくらいですし。
彼らは土にまみれながら生計を立て、生きるために働いている。単純な運転や土木作業を日々こなす。お陰で身体はあちこちガタがくる。どうしようもないのです。何も持っていません。自分の身体が一番の財産です。楽しみは格安の、特にこれといった設備のない温泉に浸かること。その温泉でも節度もなく床に座っていたりするのです。

彼らの人生に輝きはあるでしょうか。
一部分だけ取り出された報道だけが情報源ですが、特にそんなものは見られません。血を這うような人生をこなしているだけです。

しかしそれはまったく悪いことでも見下すべきことでもありません。人間なのですから。誉も希望もない。彼らは私が目を逸らそうとしている人生です。こうなりたくないと思ってしまった時点で、惨めなのは私なのです。

どうして人生に輝きを、生きることに意味を探すのでしょうか。
私は人間が動物から進化したことを認めたくない。
自分には意味があると信じたいし愛されたい。あなたがいて良かったと言われて、それを純粋に信じたい。
それをただ人間である彼らが見せつけてきます。お前は人間で、俺たちも人間なのだと。

こんな人生は嫌だ、人間のクズだ。
そう断じながら自分の価値を脅かされる。
72時間、おすすめですよ。

「ドキュメント72時間-NHK」
http://www4.nhk.or.jp/72hours/

0 votes, average: 0.00 out of 50 votes, average: 0.00 out of 50 votes, average: 0.00 out of 50 votes, average: 0.00 out of 50 votes, average: 0.00 out of 5 (0 投票, 平均点: 0.00,  総合点:0  |  
投票する為にはユーザ登録する必要があります。
Loading...

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。