軸/オレの文章/峠野颯太

人を笑わせることがこの上なく好きな私は、行き詰まってしまった。
あぁそろそろネタ切れだと。
持ち札を全て出してしまったと。

ご存知の方も多いと思うが、私はスタジオに入ってすぐは、自虐を軸に、女子を非難するなどまあ拗らせエッセイ風文章をよく書いていた。あの頃はスラスラと文章が頭の中で湧いてきて、すぐに書き終えることができた。
ちなみに小説は、正直ストーリーを頭の中で考えるまでで終えたい。文章で表現しようとすると、主人公が右足から歩くか否かのような、そういった細かいところまで気になってしまうし、第一それを言葉にできない。「主人公はビュッて行ってシャーっとしてドーンとなった」と馬鹿丸出しな文章が出来上がって、エベレスト並みの私のプライド(ないしは自意識)が、それを許さないのだ。

だが2年の秋頃になって、スタジオの文章を書くスピードが格段に落ちた。最初の5行だけはウミガメの産卵の如く量産するのだが、それ以降先に進めなくなってしまった。チェックメイト。卵を産んだものの孵化してくれない。
私は「文章力が下がったのだろうか」と考えていたのだが、直接的な理由はそれではなかった。
俗に言うネタ切れ。前述した通り、私は「自虐」を軸として文章を書いていた。その軸がブレ始めてしまったのだ。どんなにジャンプの上手なスケーターも、軸がぶれてしまえば綺麗に飛ぶことはできない。まして私は文章力が高くないので、崩れるのは早かった。

ではなぜ軸がブレ始めたのか?それは簡単な話だ。「実は私は、私を嫌いではない」ということに気づいてしまったから(といっても、皆は既に気づいていたかもしれない)。私の自虐は、嫌いな私を貶めることで成り立っていた。でも本当は、私は、そうやって貶められる私が愛しくてたまらないのだ、ということがとあるタイミングで判明した。そのため、私の自虐スタイルは成立しなくなってしまった。

ということで、私の文章スタイルはこの機を利用しリニューアルしようと思う。あの浅田真央も、一年の休息ののちスケート界に戻ってきて、オリンピックに向けて跳ぶということを表明したらしいじゃないか。私もそれにならって、軸を再び立て直し、私なりに飛ぼうではないか。

自分を貶して、自分を暴露することで笑いを掴むのが、私の、今までの文章。

自虐がなくとも、私の新しい軸で一人でも多くの人が笑ってくれるような、そんな文章。
それが、これからの、私の文章。

2 votes, average: 3.50 out of 52 votes, average: 3.50 out of 52 votes, average: 3.50 out of 52 votes, average: 3.50 out of 52 votes, average: 3.50 out of 5 (2 投票, 平均点: 3.50,  総合点:7  |  
投票する為にはユーザ登録する必要があります。
Loading...

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。