危険に身を晒す/オレの文章/ネズミ

 

目立つことが嫌いだ。

いや目立ちたいという願望は少なからず持っているから、正確には目立つことが苦手だといった方がしっくりくるかもしれない。僕はここ数年間、無難を求めてなるべく周りからはみ出さないように生きてきた。

友人関係では波風を立たせないように言動や行動に細心の注意を払う。衣服は全てその時流行っているものを中心に身を固め、周りから浮かないようにする。大学にいるとおしゃれを追究しすぎて逆にクセの強いファッションなどをしている人を度々見かけるが、そんなものを着たいと思ったことは1ミリたりともない。好きな漫画や好きな番組、好きなスポーツに至るまで王道中の王道。唯一音楽の趣味だけが人と少しズレているかもしれないが、それも誰も理解できないほど大きく道を逸れているわけではない。

無難でいることは心地が良い。大きな功績を残すことは滅多にないが、代わりに周りから咎められることは少ない。別に目立ったことをしなくても上手く生きていける。そんなことを考えながらこれまで過ごしてきた。

これを自分の文章に置き換えて考えてみても同じことが言える。僕が生み出す文章はザ・無難。どこにでもありそうで誰もが考え得るような文章だ。だが僕はそれでよかった。突拍子のないことを書いて激しい批判を受けるよりは、突っ込みどころの少ない文章でいい。そう考えていた。このスタジオに入るまでは。

「読みやすいんだけれど、後に何も残らない」

このスタジオに入ってから、この言葉を何度聞いたことだろうか。ここには高い文章力と奇抜なアイディアを用いて文章を書いている人が大勢いる。そんな環境でも前と変わらず、無難な文章を書き続ける僕に無難であること自体にツッコミが入った。そのとき僕を襲ったのは焦りと劣等感。初めて無難であることを恥ずかしいと思った。

それからは脱無難を目指してはみるもののあまりに長い間無難に居座っていたためか、クセのあるものが書けない。あえて無難を書いているのではなく、無難しか書けない状態に陥ってしまっていた。それもそのはずで、無難である文章を変えるには無難である自分を根本から変えていかなければならない。

無難という安全地帯で生きてきた自分がデンジャーゾーンに一歩足を踏み入れることができるかどうかは、あと1年のスタジオでの僕の頑張り次第。

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