先のない話/嘘/三水

友達の日記を見た。
彼女と、私たちと、たまたまその日はそういう流れ、そういう遊びになったから。
「いつものところで、――ちゃんたちと遊んだ。」

小学生特有の筆圧の高い、それでいてふにゃふにゃした丸文字で書かれた素朴な一日。
特に何をしたと書かれていないのもご愛敬。言葉にするほどのこともなかっただけ。

うさぎと星とクローバーがちりばめられたよくある薄っぺらいノートは、どれだけめくってもおんなじようなことで埋められている。
外から見たら金太郎飴、でも『当人たち』はそんなこと思いもしないんだろう。
大人があきれる繰り返しだってやたらと楽しかった。時間を忘れたふりして遊んで、塾に遅れる言い訳も、使いまわし。だけどいつもどきどきした。得意になっていた。
今思えば、穴に入りたいくらい幼稚な言い訳だ。通してくれていた大人の温情に、半ば確信犯的に甘えていた。

「いつものところで、――ちゃんたちと遊んだ。」

なにこれ、どういうわけ?
金曜?あんたと遊んでなんかないけど。
ウソじゃん。

彼女が何と返したか、どんな反応をしたのか、もうあまり覚えていない。
どうして、どうしてと、やけに延々問い詰めた記憶はあるのに。

どうして、この小さなウソが許せなかったのだろう。
子供特有の、あの理不尽なまでに潔癖なところは、もちろん私にだってあったけれど。
彼女のことをいじめたかっただけなのだろうか。
けなげな空想を、事実でねじ伏せることが楽しかっただけなのか。

「そうだったら、いいなって」

そんなことを言っていた気もする。
集めてきたいろんな嘘の中で、浮かんだのはこんな嘘。

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「先のない話/嘘/三水」への4件のフィードバック

  1. 回想だということが最初分からなかったので少し理解が追いつきませんでした。
    幼い頃を反省するという話でしたが、思い出を美化しない、けれど感情の伴わない文体で書かれることで、すごく不思議な読後感がありました。後悔しているようで、その嘘を懐かしんで愛でるような。感情が見えないとも言えますけれども。

  2. うーん、なんでこの嘘が浮かんだんでしょう。もちろん、文を書くにあたってたまたま浮かんだと表現しただけなのかもしれませんが、この嘘エピソードも結構あるあるだとわたしは感じていて、せっかくそれをテーマにするならもっと膨らませてもよかったんじゃないかと思います。細かな心情表現がないからそう感じるのでしょうか。最後の一文に消化不良を感じてしまいました。

  3. 幼い頃のよくわからない嘘を取り上げたのはすごく面白くなりそうなテーマだと思います。しかし、全体的にぼんやりしている。何が言いたいのか掴めない、そんな感じでした。そのぼんやり感を狙っているのかもしれないのですが、どこを目指して進んでいる文章なのかわからなかったです。子供の頃につく嘘ほどわかりやすくてわかりにくいものはないと思います。

  4. 自分の思い通りにならない。なら空想の世界でならいいじゃない。そんなところから生まれた嘘なのかな、と思いながら読みました。

    幼い頃の出来事を書いているのに回想と分かりにくい、だからかなり大人びた文章である地の文章に違和感を感じたのかな、と思います。

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