学者の話/嘘/なべしま

学者風の、髭を蓄え眼鏡をかけて着古したスラックスを履いた男が村中に聞いて回った。不思議な話はないかと。
不審ではあるが私は興味を持った。熱心そうではあったから協力してあげたかった、まぁ私も大概話好きなのだ。
話をすると学者さんはたっぷりとお菓子をくれる。だから父さんも母さんも、最初こそ渋い顔をしていたが黙認してくれるようになった。そうそう食べられない甘味に釣られるのは単純ではあるが仕方ないことだ。
学者さんに役に立ちそうな話を聞かせてしまってからはネタが尽き、まぁどうしようもないあれこれ、釜の上手い磨き方とか、家のものを虫に食われない方法とか、そんなものを話していた。学者さんも人間だ、そんな話を楽しそうに聞くから私も調子付く。それでちょっと下らぬ話まで聞かせてしまう。
私たちの村には、日の長くなる月に必ず一人古老が死ぬのだ。それを年初めにクルミの殻で占う。そして占われた老人は毎日いろいろの話を人に伝えたりして大事に一年を過ごすのだ。
いやぁ面白かったと学者さんは大喜びをし、何度も礼を言ってそろそろ街をたつからと身支度を始めた。またお菓子を貰い、少し寂しく思いつつも家を出ようとした時に、夏は暑い老人が死ぬのも無理はないなぁ、という呟きが聞こえた、気がした。別段私に向けて言ってはいなかったのだろうから聞き返すこともしないが、まぁそれが何となく嫌なことを考えてしまいそうで、すぐ忘れた。

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「学者の話/嘘/なべしま」への4件のフィードバック

  1. !?
    どういうことなんでしょう。
    あまり話の意味がつかめませんでした…。
    学者さんが村の古老を殺していたのかな?
    全体の雰囲気は、私たちが生きる現実世界とは距離のあるファンタジックな感じですが、結構簡単に引き込まれました。「村」とか「古老」などの言葉って物語感もでるけどなんだか身近な気もしますね。

  2. どうしてもこれの嘘要素がわからなかった私は頭が弱いのかもしれない…何度読んでも分からなかった…

  3. 嘘の要素がわからない。
    だから何かあるに違いないと、このコメントを書いている間も考えています。どうしよう。。

    謎解き要素を含む文章を書くなら、最後に誰でも解るようなヒントをいれると、謎解きができて読者はスッキリするかもしれません(モヤモヤさせることが目的なら別ですけど)。
    謎解きで、次週解明! みんな考えてきてね、という文章であるならよくできていると思いました。

  4. 雰囲気は引き込まれたけど別の人のコメントでオチに気づいたのでもやっとしてしまった。自分で気づきたかった

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