弱い嘘つきは今日もゴロゴロ/嘘/猫背脱却物語

「休みの昨日は何されてたんですか?」
「ええと、一人で家でゴロゴロしてたかな…本当に何もしてないです」

はいこれ。これが私がつきがちな嘘ランキング栄えある一位。そりゃ実際にこういう日もあったりするけど、本当はどこかに出かけたり、何か映画や本を見たり、元気な日には美術館に行くなどして、何もしていない事はない。でもつい、何もしてませんでした〜あははヘラヘラ、という態度が前線に立ち、「そうですか。私はですね…」と相手にお話ターンを譲るのだ。

ついてから考えるが、この嘘って誰が得するのか。伝えた嘘と実際の事実との間に差があれば、「あれは嘘です」と言った時に相手に驚きや怒り、あるいは安堵など大きな感情の揺らぎがあったりするはずである。「あれは嘘です。実は映画を見ました。」…あるか?落差。そしてそもそも、こんな小さなドッキリ成功報告をする前に、話はもっと別のテーマに移り変わっている。
嘘は大抵、話す相手に事実以外を伝えて惑わせたり、相手に事実から遠ざけさせたりする為につくもの。何もしていないのならそんな嘘で相手が惑う事はよっぽど無かろう。ならば私は「休みの日に何かしていた」という事実から相手を遠ざけたいのだろうか。隠してどうする。どこかの有名人でもないのだから、日頃の私にオフィシャルとプライベートの分かれ目なんかないに等しい。(あ、見てたものが人には言えないようなものだった?それはあるかもねグフフフフ……嘘だけど)

それなのに、なんでここまで大した事ないのに本当の自分を隠す事に執着できるできるのか?
という疑問の提示もパフォーマンス(一種の嘘)で、答えはなんとなく知っている。多分、知られても興味がないリアクションを取られるのが怖いのだ。見た作品、感じた思い、それを隅々までさらけ出して「ふーん」と流されるあの瞬間に自分を否定された感覚を覚えるのだ。作品の方に興味がないんだと思うんだけど、そんな興味ない作品を見ている自分にも興味ない視線が突きつけられる。それならば、「家でゴロゴロしている私」という、興味を持てるか否かのステージ上にも上がってこない自分を召喚して、本当の自分は後ろに隠れる。

本音のところ、話したい気持ちがないわけない。共通の趣味であればテンション上がるだろうし、そうでなくても興味を持ってくれたらひたすらしゃべると思う。それでも話す気持ちにならないのは、いや、正確には話す気持ちにさせようとしない自分がいるのかもしれない。先に「反応薄いの怖いでしょ?」って自分に言い聞かせたら、話したい自分だって「うん……」といってしまう。嘘が口から出る以前に、自分で嘘をついているのだ。

人は自分に嘘をつける。そして自分に嘘をつける人は、相手にも平気で嘘をつける。

仕組みが分かったところで、じゃあ直そうなんて思いはわかない。むしろ安心して嘘をついていこうと、弱さを隠す仕組みに誇りさえ持ってしまいそうである。ああ弱い嘘つきよ。

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「弱い嘘つきは今日もゴロゴロ/嘘/猫背脱却物語」への3件のフィードバック

  1. 物語のように飾り立てる訳でも、論文のように固定化させる訳でもなく、溢れてくる不鮮明さや不確かさ、不安などを言葉と一緒に零している感じだろうか。他人の自己分析ほど読んでいて面白ものはない(と私は思っている)ので、楽しく読ませてもらった。
    自分が興味のある形式の話だからかもしれないが、別段読んでいる間に文章に違和を感じることもなく、言葉を読むというよりも感情を拾うような心持ちですらすらと読むことができた(こういう文章に興味がない人が読んだ場合にはどのように映るのかは、私の知ったところではない)。
    人の物事の考え方とは面白いもので、なんだかそのまま突き進んで幸せになって欲しい気や、立ち返って別の幸せを見つけて欲しい気もするが、どちらにせよ他人が口を挟むことではないだろうと思わされてしまう。個人的に何か言うのなら、私は弱さは時に強さだと思うので、どうぞお幸せに、と応援をしたい。

  2. 納得というか、自分自身にも思い当たる部分が多くあり、むしろどこかもやもやした疑問のようなものを適切に説明してくれた文章であったと思う。
    ただ、文章の構成としては可もなく不可もなくというか、良い意味でも悪い意味でも特に引っ掛かりがあるわけではなく、印象に残る文章かといえばそうではないように感じた。なかなか内容が思い出せない文章というか。もう少し鋭利な表現を望んでしまう自分がいる。

  3. 個人的には全く共感できないですが、こういう人もいるんだと思って読ませてもらいました。
    こんな風に日常思ったところについて文章を書くと、全体的にふわーっとした感じになると思うんです。
    それが好きな人もいるわけで、猫背さんがそういう読者層を意識して書いたのか、書いていたら漫然とそうなったのか気になるところです。

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