この番組は実在しません/どうなの?/きりん

最近は公共放送も緩くなってきて、なんだか地味に面白いぞと評判だ。なかでも自分のような若い人らにうけているのが、しばらく前に始まったバラエティー番組「それってどーなの⁉」。

このあいだ、バイト先の料亭で四人がけのテーブルに隣同士で座るカップルがいたんです。いい年した大人のカップルで、終始ラブラブでした。他のお客さんの目もあるオープンスペースだし、こちらは給仕しにくいし、なんかもう目も当てられなくて。これってどーなんでしょうか?みたいな視聴者の投稿をアリかナシかゲストと司会で談義する、まぁありがちな形態だ。

ちょっと珍しいのは、視聴者がSNSでリアルタイムにスタジオに意見できること。スタジオもCGでスタジアムのようになっていて、場内にひしめくアバターが視聴者役代わりに喋る。 これがまたなかなか弁舌のうまいアバタ―、もとい視聴者もいて、番組初期にはある大物芸能人がちゃっかり視聴者で参加したりもしたものだからじわじわと人気を集め、いまではゴールデンタイムへ移動も囁かれるほどだ。

この番組にはマスコットがいる。アバター代表、どーなのくん。昔ちょっと流行った、同じ放送局のキャラクターを焼き直したらしきシンプルなフォルム。つぶらな瞳、ではなく胡乱げな目つき。見た目によらず情けない声で「どーなの~」と鳴く。他のアバタ―が視聴者として饒舌に話すなかで、場内中心の司会者の足元にいるこのどーなのくんだけは「どーなの~」としか言わない。しぐさは可愛らしく、画面内ではせいぜいピカチュウサイズなのにイベントで着ぐるみが出てくるとなかなか巨大で不気味な感じ。このシュールかつギャップに満ちたキャラクターが最近私の周りで妙に人気だ。なんとなく殴りたくなるこのぶさカワイイさ、あるいはきもカワイイさが良い、らしい。

 

「あちこちにその顔を見るようになってそろそろ私は精神を病みそうなのだが、どーなのくんって実際どーなんでしょうか?」ついに私も決意した。スマートフォンに打ち込んだ文章を三回見直し、投稿ボタンをタッチする。それから画面を消して、目を閉じて、ゆっくりとソファへと倒れていった。

0 votes, average: 0.00 out of 50 votes, average: 0.00 out of 50 votes, average: 0.00 out of 50 votes, average: 0.00 out of 50 votes, average: 0.00 out of 5 (0 投票, 平均点: 0.00,  総合点:0  |  
投票する為にはユーザ登録する必要があります。
Loading...

「この番組は実在しません/どうなの?/きりん」への2件のフィードバック

  1. 説明のパートがわかりやすかっただけに最後の段落が悪い意味で浮いていると感じた。急に出てきた一人称に共感が感じられないような状況で、この展開は混乱するだけではないか。

  2. タイトルでないと否定されるも、探せばあるんじゃないかと思わせる細かい設定ができているので、キャラクターに持っていったラストが残念に思えた。フィクションだからできる大胆さも必要だと思う。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。