さいきん/どうなの?/みくじ

「どうって言われても、まあ普通だよ
風邪も引いてないし、学校は課題が出るけどバイトも閑散期だし
この間ね、プリン作ったんだけどすごくうまく出来たんだ」

「元気ならいいの
お父さんもユウキもなに食べたいって聞いたら肉か揚げ物ばっかりで作りがいないわ
恵里さんが店辞めちゃってもうどうしていいか分からないけど、ユウキも高校は私立だし頑張らないと」

「そっか
大変そうだね」

「大変よ
もうお客さんたちだって、あっ、もうわたし今娘と話してるんだからやめっ

ぷつりと音がして電話が切れた。
さいきん変えたばかりのスマートフォンのホーム画面をながめながら、電話が切れる前にきこえたのは男の人の声だったなと思った。

母の機嫌はさいきん穏やかだ。
店の主力スタッフが引き抜かれたりユウキが第一志望だった公立の高校を落ちてすべり止めの私立に入学したのだから、言っていたとおり大変なんだろう。
昔から母はヒステリー持ちで少しでも期待をはずれたことが怒ると手がつけられないくらい暴れた。
手をあげられたことは片手に収まるけれど何時間も怒鳴り声をあげて部屋を荒らした。

明らかに不穏な切れ方をしたが、まあいいかと思った。
進学のために家を出る時、いちばん気がかりだったのは母のヒステリーの矛先がユウキだけに向いてしまうことだった。
ゆうきはあきらめの早い私と違って母のことばを真剣に受け止めてしまう。
母が大人しくしているならユウキもそんなにしんどいことにはなっていないだろう。
先に母から逃げ出したことへの後ろめたさは少しやわらいだ。

____________

「お母さん寝たね
お酒飲んでるのにめずらしくきれなかったし」

「そうだね
そういえばお母さんね、さいきん煙草吸ってるよ」

たしか私がおなかに出来た時に辞めたと言っていたが、20年ぶりに吸いはじめたのか。

やけに穏やかだだけど、煙草吸い始めたり変な電話の切れ方したり。
これってどうなんだろう。
でも、私はユウキが実家を出るまでお母さんがあんまり私やユウキやお父さんにひどいこと言わないでくれたらそれが一番だと思うから、まあそれはそれでいいよ。

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