人形の家/どうなの?/なべしま

人の趣味というのも色々ありまして、妾の主人なんかはこう、部屋に篭りましてなァ。それで人を入れないで、妾の髪を撫でながら、夜を絹と紡いだような、善い髪の毛だと愛でますのさ。幸か不幸か、妾は人ではありませんから、ご覧の通り。言ってみれば、愛されるために生まれたのが妾ですから。何にも嫌であろうはずがありませんわ。哀れな人形だとお思いで?イエ、まぁ例えばそこの雛人形、もうそんな歳じゃあないってずっと箱のなかでね。妾はこうして引っ張り出されて、ネコッ可愛がりされて、人形冥利に尽きるじゃありませんか。そうすると主人がねえ、それでいいように思えてきますのさ。妾みてぇな高が人形、どうです幸せでしょう。

「私も心配ではあるのですわ。だって毎日毎日、仕事から帰っても必ず何時間かは部屋に閉じこもってしまいますから。その間は絶対に入って来るなと言うし……。でもねえ、一応理解はしているつもりですわ、妻ですものね。お前はずっと家にいて、俺のために笑っていてくれ、なんて、言える人なんて居りましょうか。そんなにも大切に思ってくださる。エエ、あの人の為ならきっと言いつけを守りますわ。大変なお仕事なら何もできませんでしょうし。あの人がこうしていろと言うのなら、私がその道具になりきることの、何がいけません?私は貞淑な花として、ずっとこの家で微笑んでいますわ」

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「人形の家/どうなの?/なべしま」への2件のフィードバック

  1. 語り手と話の雰囲気が妙にマッチして、なんとも言えない不気味な文章だと思いました。
    人形を愛でる夫と妻?それとも、妻自体が人形のような扱いを受けているということでしょうか?私の読解力不足で申し訳ありません。
    2人の会話のみしか現れないのに、なんとなく雰囲気が伝わるのはすごいと思いますが、もう少し描写が欲しかったです。それか、もう少し会話か何かを付け足すなど、まあはっきり言えば短いので、もう少し字数が欲しいものです。これでは、雰囲気の描写を口調に一任しているだけだ、と言ってしまうことも可能ですので…。

  2. 前半が人形視点で、後半がその人形の主人の妻、であってるのでしょうか。何とも読解力不足ですいません。
    妻を人形のように扱い、人形を愛でる夫、いったいこの男はどのような性的嗜好を持っているのか、なんて思いました。
    完全な第三者からの視点があればもっとわかりやすく、話が深まったのではないかと思います。

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