巻き込む/どうなの?/Gioru

祖母の葬式に参加した。

 

通夜ではこの世からあの世への旅支度として、衣装を着させる。その時、妙に祖母の体が冷たかったのを覚えている。火葬までの間に腐らないようにと、保冷材などが入っているせいでもあるのだろうが、それでも覚えている暖かさはどこにもなくて、祖母が亡くなったことを実感できた瞬間である。

 

人の死というものは、どうしてか、なかなか影響力がある。少なくとも家族などの身内は葬式のために勢ぞろいである。誰だ、この人は。そんな人が親戚であることは珍しくない。そこで死者の生前の思い出話だとか互いの近況を話し合ったりする。そんなことをしているうちに火葬まで済んでしまい、骨を収める段階になる。ここまでくると見覚えのある姿なんてどこにもなくて、悲しさはもちろんあるのだろうが、落ち着いてみている自分がいた。実感から受け入れへと変わったのかもしれない。

 

葬式の最中、なんとはなしについていたテレビから、人が線路に飛び降り自殺をしたニュースが流れていた。いつもなら、ふーん、とそれだけで終わるはずのニュースではある。だが、このときばかりは、どうして? と不思議に感じた。生きていれば何があるかわからない、とはよく言ったものだが、まさにそれであると思う。自殺することによって何か満たされるのだろうか。今の状態から逃げ出したい、そのための自殺なのだとしても、他に方法はなかったのかと。自殺した当人ではないので私にはわからない。

 

それでも、自殺だろうが何だろうが、人の死であることには変わりなくて。

その死は大勢の人を巻き込んでいくのだろう。今回の場合は線路への飛び降り自殺であるから、巻き込まれるのは家族だけではない。その線路を使う人たち全てを巻き込んでいく。

 

巻き込む範囲の広さもそうだが、一番の違いは残された人たちの心境なのだと思う。祖母の場合、病気による衰弱での死である。それなりに年を食っていたし、よく頑張っていたのだと思う。祖母に対する後悔は山ほどあるが、納得できないほどではない。時間はかかりそうだが。

一方自殺の方では? 残された方は、まずなぜそうなったのか考える。それが明らかになったとき、自分たちが納得できない、あるいはしたくないような内容だったのであれば、やりきれないであろう。巻き込まれた赤の他人にはただの迷惑でしかない。目的地に遅れる、約束に間に合わないなどなど。

同じ人の死であるはずなのに、明らかに与える影響は違う。

 

ひょっとしたら、自殺した人はこれが狙いの一つなのかもしれない。確実に人を巻き込める方法の一つである。方法を選べば個人を更に集中して巻き込める。あぁ、それならばなかなかに素晴らしいかもしれない。構ってちゃんにはうってつけの方法でありそうだ。

 

ただ、死んだ人の気持ちなんて誰にもわかるわけではない。死んだ人にはわかるのだろうか。まぁ誰も確認できないのだから、そこは考えても仕方がない。

 

この手段でしか人を振り向かせられないのなら、それは少し寂しく思う。

 

今、人の死に敏感になっている私から言えることは一つ。

ご冥福をお祈りいたします。

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「巻き込む/どうなの?/Gioru」への3件のフィードバック

  1. 当事者であるはずなのに一定の距離をとって淡々と考察しているところがよかった。少し漏れる感情が重たかった。

    最近線路飛び込みが話題になっていて、そこと結びつけられて良いが、どうしても一般論。一般論ゆえ自己体験を良い具合に絡ませればいいのに、それがうまく作用していないのか、最初の方の重たさが途中からなくなってしまったのか残念。

  2. 割と最近祖父を亡くした私にとっては共感できる部分も多かったが、自然死と自殺を巻き込むという点において比較することには無理を感じた。人身事故による電車の遅れなどは巻き込まれたと感じることもあるが自然死した人に対して巻き込まれたという感覚をもつ人は少ないのではないだろうか。

  3. 全体的に毒がない文章だな、と感じた。もちろん人の死という重たいテーマを扱う以上は傷つく側の人間のことを考え慎重にならねばならないし、批評するこちら側としてもそのことを頭に入れて物事を考えなければいけないのだが、読んでいて『そうだよな』としか思うことのできない文章だったため、『死』を取り扱っている割に心に響かなかった(全ての『死』に関する文章が心に響かねばならないという決まりはないが)。前半の個人の気持ちをより大きく出せば、その煮え切らなさも改善されるような気がする。

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