グレーのぶぶん/どうなの?/フチ子

男女の友情は存在するのか、否か。

1年前くらいに1ヶ月間付き合い、会話が続かず、振られた彼と4時間半ぶっ通しで電話をしながら、ぼんやりと考えた。私は今何してるのか。何で無駄のように思える長電話を、少々のまだ話してたいという思いを抱えながら続けていくのか。お互い無言になって、深夜2時を回って、そろそろ切らなきゃなのかなと思う頃に、再度話題提起をする彼にホッとして、あくびするのか。答えは簡単で彼を恋愛対象として見ているからであり、この先をほんの少し期待していて、打算的に丁寧に言葉を紡ぐ。ときどき唸るところや、咳き込むところがとてつもなく男らしくて、少し辛い。

彼が私に対して恋愛感情がない、ということは理解してるつもりだ。付き合ったはいいけど、お気に召さなかったのか手も出されないまま即振られたし、女性的魅力を私からは感じないんだろう。電話をしていてもそれは随所に感じられ、「完璧で要領の良い年上女性が好きだ」とか言う。一個下で要領が悪く、抜作の私はそりゃ眼中にないに違いない。

それでも、振られてから飲み会に誘われては、私が暴走して迷惑をかけ続けた。酔った勢いで色んなことを口走り、嫌われてもおかしくないはずなのに懲りずに誘ってくる。1年ほどそういう関係でしかなかったから、飲み会だけ楽しめば良い関係性なんだなと割り切ろうとしてたのに、就活という精神的に不安定な出来事を機に少しだけ仲が良くなった。私はもうさすがに傷つきたくないので、友達としてちゃんと仲良くする期待とかもしていなかったのに、彼は送ってくれたり電話してくれたりでちゃんと向き合ってくれて、2年目にしてようやく「どうでも良い話」ができるようになった。コミュニケーション能力がない私にとって「どうでも良い話」をするハードルは高く、それだけで落ち着く要素になってしまうから心臓が痛い。

「元々カノがモラルがない人でさ」と呟いたとき、元々カノって誰だっけ?と頭の中を巡った。私を付き合ったうちに入れたら元々カノは存在して、入れなかったら存在しない。あまりにもナチュラルに友達になったから、私と付き合ったと認識してないと思っていたのに、違ったらしい。「俺も好き嫌いするからさ、好きじゃなきゃこうやって長電話をしないし」という言葉に深い意味はないとわかっているはずなのに、追い詰められる。人間的にどんなに迷惑をかけても好きなのに、女性的には好きではない。その事実が妙に私の女性性を傷つけてえぐる。一度付き合ったことに気まずさを感じないほど人間的に好かれているのか、女性的に好きではないのか。

男女の友情で悩むのは男の方だという。男は友情だと思っても襲いたくなる傾向にあるらしい。そんなネットの情報は嘘っぱちだ。私は男性的魅力を感じないとそもそもその人に興味がわかなくて、友情さえ芽生えない。何も魅力がない人と話しているのは退屈だ。男も女もその人のキラリと光る部分に憧れや共感や刺激が芽生えて好きになるのだけど、その光る部分は性と切り離すことはできなくて、「女性として素敵な」とか「男性として素敵な」とかそういうカテゴリーから外れた光はない。だから、私の友達はみんな素敵で魅力的で、それが男性なら、恋愛にもなりうる可能性のある人たちということになる。そういう立場の人間からすると、彼の生産性のない長電話は理解できないし、酷だと感じる。

「就活終わっても、就職しても、友達でいてくださいね」そういった言葉に、「それは嬉しい」と本当に嬉しそうな声色で返した彼が憎い。ちゃんとコミュニケーションが取れる友達にさえなってなければ、転勤前に引くくらい大きな花束を渡して、ずっと好きだったということを伝えて困らせようとしたのに。それも閉ざす優しさに、殺されて寝る。

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「グレーのぶぶん/どうなの?/フチ子」への2件のフィードバック

  1. 自分は男だけど相手の男性の方が自分とは全く違うタイプでどちらかというとフチ子さんの方に共感しながら読んでいました。こんなことを普通に言ってくる男なんて存在するんですね。恋愛に対する自分の気持ちがここまで細かく書けるのが羨ましいです。参考にしたいと思います。

  2. 最後の『殺されて寝る』という表現が美しい。男女の友情の話や人間の魅力の話はフチ子という色が現れていて大変分かりやすく、また共感できる出来ないにしろ文章にまとまりがあるため、「こういう人もいるのか」とか「わかる、わかるぞ!」となりながら読むことができるだろう。フチ子さんと恋愛、あるいは人間的魅力、といったキーワードは切るに切れないものだろうからこの色をもっと強くして欲しいと思う反面、また別のことを考えたときにこの強力なキーワードを活かした考察をしてくれるのではないかと、私は勝手に期待している。

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