ミートソースかけご飯/どうなの?/ばたこ

ミートソースかけご飯と聞いて皆は何を想像するだろうか?僕の弟が高校の先輩(僕と弟は出身校が同じなので、そいつは僕の後輩に当たるのだが)に昨晩の料理を答えたところ、「どうなのそれ?!」という言葉と共に奇異の視線にさらされたらしい。しかしその料理は我が家のれっきとした食文化なのだ。今回はそんな我が家の食文化の一端について語らせてもらいたい。

ミートソーススパゲッティ。トマトソースやケチャップなどと一緒に挽き肉を炒めて作ったソースをパスタと和えたこの食べ物は、現在多くの人に愛されている。我が家でも休日の昼食などで度々目にしてきたこの料理だが、はっきり言って僕はこれが嫌いだ。いや、嫌いというよりは苦手に近いかもしれない。そもそも僕はパスタが苦手なのだ。素麺やうどんなど多くの麺類に共通して言えることなのだが、これらを食べた後決まって僕は胃もたれを起こす。医者に診てもらったことは無いが、多分グルテン(小麦粉)アレルギーなのだろう。そうでなければ毎晩のように吉村屋のラーメンを最大量食べ続けても全く太らないことの説明がつかない。

少し話が逸れてしまったが、兎に角僕はミートソーススパゲッティが苦手なのだ。にも拘らず先述の通り我が家で頻出するこの料理。主に制作者は父親であり、正直言って僕の家族のなかで彼の料理観・もっと言えばその味覚は異端だ。そもそも母親が秋田の出身で父親が鹿児島の出身と、両親の間で大幅な食生活の差異が発生している。その上基本的に料理を作るのが母親な訳だから、その子供である僕と弟の味覚が母親の方に寄ってしまうのは仕方のないことだ。この環境のせいで父親の趣味である魚釣りの後、毎回我が家には地獄が訪れる。自分の旨いと思うものを家族に振る舞う一家の大黒柱と、その味覚に対する反逆者の構図だ。これを地獄と言わずに何と表象すれば良いのか僕は知らない。

長々と我が家の休日についての説明をしたが、つまりはミートソーススパゲッティさえもその例に漏れないのだ。僕を含めた父親以外の家族全員が恐怖にうち震える。勿論被扶養者である僕らにとって、休日の最優先業務は扶養者である父親の機嫌を損ねないことにあるため、レジスタンスは成立しない。全員がにこやかに食卓を囲み、ごちそうさまでしたの一言でそれを終える。母親と弟はそれで済むものの、僕はそのあと数時間を胃もたれと共に過ごす。

だがまだこの食卓に終わりは来ない。ミートソースはまだ残っている。

大雑把な性格の父親は、決して不足することのないように2回分以上のミートソースを作ってしまうのだ。しかし僕の胃は二度の襲撃に耐えられるほど強靭ではない。さらにミートソーススパゲッティの追撃を許してしまえば、たちまち床に伏してしまうことになるだろう。そこで現れるのがミートソースかけご飯なのだ。台所の主が夜になって母親に移り、彼女が昼に猛威を振るったミートソーススパゲッティの主戦力に少し手をいれてご飯にかける。これによってようやく我が家の食卓に真の笑顔が帰ってくる。

このような背景を元に産まれた我が家の食文化だが、僕の後輩を含む多くの人々にとってそれは異端だ。しかし僕は我が家の事情もミートソースかけご飯の美味しさも知らない彼らに対してこの一言を毎回かけるようにしている。

「どうなの?」と。

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