分離/距離/みくじ

距離

距_離

距___離
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距___________________離

 

 

 

机に突っ伏してイヤホンをする。イヤホンから音楽は流れていない。すると教室中の、学校中の音が聞こえる。
左前のバスケ部の森を中心とする男子たちが昨日の下村先生の失敗した時の様子を誇張して真似ている。あんまり似ていない。下村はそんなに鼻声じゃないし声が高い。あともう少し早口だ。あ、松川の方がうまい。でも僕の方が特徴捉えてるんじゃないか。まあやらないけど。
前の席の寺田さんの周りに数人の女子が集まって放課後の予定を立てている。カラオケかラーメンかドーナツか。僕はドーナツが食べたい。オールドファッション抹茶はこの間食べたからわらび餅が入っているのを食べたい。美味しいのかは疑問だが好奇心を満たすために百といくらかなら買う。学校の近くの店舗は制服の群れが来るから行かないけど。
校庭から車の音が聞こえる。自販機の業者あたりか。今日の朝見たらいちごみるくとコーヒー牛乳と緑茶が品切れだった。あの自販機にブラックコーヒーが二つもあるが、コーヒーメーカーだって職員室にあるし図々しい生徒は押しかけてねだっている。だからか他の飲み物がなくなってもブラックコーヒーだけは残っている。
廊下を過ぎていく数人の足音。足音。
さっき下村の真似をしていた男子たちがバタバタと走り回っている。教室で走るなよ。外でろ。
廊下で女子が先生を呼び止めた。結子先生髪切ったのか。見たいけどいま顔上げるのもな。寝てましたって顔を自然にできるのか。いや僕はいつも眠そうな顔らしいし。
次の授業で宿題が出ていた気がしてきた。提出ではないけど指名されたらその場で答えさせられる。やった方がいいかな。
でも顔を上げるのが面倒くさい。
最初に感じていた机のひんやり感もなくなってきたし、下に敷いているノートが呼気の水分で柔らかくなってきたんじゃないだろうか。腕も痺れている。
でも、机から離れる動作が想像できないし、机に突っ伏していない時の感覚が思い出せない。
机は僕の身体の一部だったのかもしれない。
いや、むしろ僕が机の一部分になったのか。

ガタッ
「あ、ごめんね」

「…いや、大丈夫」

放課後はラーメンを食べてカラオケに行くことになった山中さんが僕の机にぶつかると、僕と机は再び別々のものになった。

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「分離/距離/みくじ」への1件のフィードバック

  1. 誰か作家さんに似てたり影響されてたりするような、それを感じさせる文体ですね。もっとも、その誰かがいったい何者なのか全く分からないのですが。そういった、バックボーンを意識させる文章でした。
    しだいに「距離」が開いていく様は面白い試みですが、この形式だとどうしてもチープさを感じてしまいます。自分でイメージ画像を作ってみたりしてもいいかもしれません。研究室にはイラストレーターやフォトショもありますし、必要なら活用してみてください。

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