テーマ関係なくね?/距離/温帯魚

「金の切れ目が縁の切れ目」という言葉がある。あまりに即物的で乱暴な言葉ではあるが、しかし一方で全くあり得ないかと考えるとこれもまた否定しがたい。例えば友人から金を貸してほしいと言われ、一度なら貸すかもしれない。しかし二度、三度と続けば、その繋がりは煩わしくなるだろう。あるいは「貧すれば鈍する」ともいうように、その人としての美点が今までと全く同じままとはいかないかもしれない。とはいってもこの話は悪魔の証明のようなものだ。そもそも否定するということが難しい。だから私たちがこの話から学ぶことは、人とは何についても変わっていくということだ。何かがあって、それが周囲に影響を与えないということはありえない。
 しかし一方で切れた縁がつながることもまたあるのだろう。あるいはその切っ掛けとなる黄金が、麦とアルコールによってできていることも。
 映画「ワールズ・エンド/酔っ払いが世界を救う」は、消えていった過去の関係を再構築していく話である。人間の尊厳の話である。あるいは、酔っ払いの馬鹿騒ぎの話である。そしてそれらは、大して違いがないと映画を見終わったときに思うのだ。いや違う、私はまずこう思った。ビールが飲みたいと。

あらすじはこうだ。38歳のイギリス人ベイリー・キングは、20年前の高校最後の夜こそが自分の人生のピークだと考えていた。18歳の時に仲間と挑み失敗した挑戦は彼の最高の記憶で、しかしある日その失敗に未練はないのかと尋ねられる。そしてもう一度挑戦をしようと思い立つのだ。昔の仲間と、12軒のパブ巡りへと—―。
ジャンルはSFコメディとある。展開は突飛だが、しかし細部が作りこまれていて見ていて飽きる時間がない。スリー・フレーバー・コルネット三部作と呼ばれるもののひとつで、「ショーン・オブ・ザ・デッド」「ホット・ファズ‐俺たちスーパーポリスメン!‐」と同じエドガー・ライトが脚本と監督を務めている。
 映画の根幹となる挑戦は12軒のパブでそれぞれ1パイントずつビールを飲んでいくというものだ。1パイントは缶ビール約2本分らしく、映像でもジョッキがかなりデカい。イギリスのビールはアルコールは薄いが糖分が多く含まれていて甘いらしく、つまりすぐに腹にクるのだ。しかし映画内ではそんな素振り一切見せずにゴクゴクとただただ美味しそうに飲む。

20年たてば人は変わる。四人の仲間には家族が出来ていたり、仕事で偉くなっていたりとそれぞれの社会的な地位がある。ゲイリーが若い時の様に振る舞うのは痛々しく、見ていて少しきつい。しかし生き方は誰にも決められない。あるいは本人さえも。
過去はなくならないし、人生で必要だと思うものは増え続ける。数少ない消してしまえるものだからこそ、彼らは友情というもののために再び集まったのかもしれない。

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