音楽に感じる距離/距離/きりん

人はどんな時に”距離”を感じるのだろうか。遠い地平線の物理的距離。隣りに座っている人との精神的距離。
私はBUMP OF CHICKENの楽曲『ファイター』を聞いているときに距離を感じる。この曲は漫画『3月のライオン』とのコラボレーション楽曲として製作され、ネット配信と『3月のライオン』10巻付録のCDの形をとって販売された。漫画の作者、羽海野チカとの対談において、作詞・作曲を担当した藤原基央は徹頭徹尾自身について描いたと語っているが、漫画の主人公の姿が自然と楽曲の主人公の姿にも重なる。
曲の冒頭、ギターの音と共にシンセサイザーの密かな息遣いが聞こえてくる。絶妙な強弱の波がどこか遠くから聞こえてくるかのような感覚をもたらす。ここがまず鑑賞者と演奏との間に距離をとる部分だ。『K』や『天体観測』などBUMP OF CHICKENの楽曲を聞くとき少なからず感じられることだが、その感覚は曲を聴くというより、物語を聴くといった方が近い。先に”楽曲の主人公”と表記したとおり、主人公がいて物語性がある。物語を楽しむ客観的な視点を提供しているのが『ファイター』の場合、まず鑑賞者と演奏の間を空ける冒頭部分なのではないだろうか。
この呼吸音のようなサウンドは曲全体を通して取り入れられ、サビではコーラスも加わってその役割を引き継いでいく。そのサウンドが曲全体、特にサビにおいて演出するのは奥行きという距離だ。

以上のような音響効果のほかに、なぜか楽曲の主人公に対して心的距離を感じたりもするのだけれど、そこは個人差だろう。

ぜひ一度聞いてみてほしい。

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