マトリックス/身体/オレオ

皆んなは身体測定という恒例行事を覚えているだろうか。

私は、小学生の頃にゲリラ的に開催されていたこの身体測定の際には決まってワクワクしていた気がする。

小学生というものはとても単純な生き物である。何でもかんでも競い合って背比べをしようとする。そして他人より何か「上」だと思わされるものがあると、ついつい周りに自慢したくなってしまうものなのだ。そして身体測定も同級生とただ単に背の高さなどを競い合う学校の一大イベントだった。

この身体測定の面白いところは、クラス全員が保健室に並ばされて順番に測定をしていくということである。そう。他の皆んなが見ている中で公開測定が行われるのである。

順番に名前を呼ばれる緊張感、そして背を測る機械で頭をガンッっとされてから身長を言われるまでの間が小学生のしょうもない「背比べ」のワクワクを一層引き立ててくれる。

この競い合いでは当然、背が高ければ高いほどスコアが高いということになる。背の順で後ろの方であればあるほどクラスの人気者が固まっているという現象はこれによるものだと私は信じている。

そのため、私はいつもウォームアップ欠かせなかった。昔、友達から指を一時的に伸ばす方法というちょっとした技を教えてもらったことがある。その方法とは割りと単純で、ただ指をストレッチさせるように後ろに反らせるというものだ。不思議なことにこれを片方の手だけでやって手を合わせてみると驚くほど伸びるのだ。私はこれを身体全体で応用できないかと考えた。

そう。私は身長という名のスコアをあげるためにブリッジをしていたのだ。

しかし、これはそう容易なことではなかった。何故なら身体測定の順番待ちでいきなりブリッジを始めること以上に不自然なものはないからでる。ましてや、このブリッジの法則に気付いたものがいたとすれば、その人間に私は「背を伸ばすために必死にブリッジしてる可哀想な奴」に写ってしまうため、いくらスコアが高くても見せかけの雑魚になってしまう可能性があった。

こういった障害を全て解消するために私が考えついた手が通称「マトリックス」である。その頃はちょうど映画マトリックスが結構流行っていた頃だったため、私はこのマトリックスと立ちブリッジ(立った状態からブリッジをする技)を同時に上手く活用することによって自然にブリッジが出来るのではないかと考えたのだ。そこで私は「あーまだかよー(棒)」などと言ったりしながら順番待ちで暇すぎる奴を演じて、何か適当なことをしているという流れで「マトリックス」を駆使して背筋伸ばしに勤しんだのである。

これを自然だと思ってやっていた私はかなりイタい奴だったに違いない。ちなみに、このマトリックスで身長が伸びたかどうかは未だに判らない。

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「マトリックス/身体/オレオ」への2件のフィードバック

  1. 面白いです。ブリッジをしている際の自分と距離を取ってしまった印象があるので、もう少し当時の様子を詳細に記してほしいと思いました。例えば、「マトリックス!」と叫びながら腕をぶん回す、とか。
    開幕から「皆んな」の表記が引っかかりました。「みんな」「皆」、あるいはこの文体では「みなさん」などに置き換えた方が自然に受け入れやすいように思います。

  2. 自分の小学校でもそんな密かな奮闘があったのか⁉︎と、思わず記憶を辿ってしまいました。やはり具体的なマトリックスまでの流れを読んでみたいです。

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