息を吸って/身体/どみの


息を吸って、ゆっくり吐きながら体を倒す。

手先、指先、頭の先まで神経を集中させ、そしてゆっくり体をもとに戻す。

「足を一番!

はい、ワンツー、ワンツー・・・」

先生の声と手拍子が鏡張りのスタジオに響き渡る。鏡に取り付けられたバーにみんなで一列に並んで、パッセからアチチュード。アラベスクからパンシェ。同じ動きを何回も何回も、繰り返し行う。

バレエの基本。クラシックバレエでも大事とされるバーレッスンは、コンテンポラリーダンスでも毎回のレッスンで多くの時間を費やす。それだけ大事なのだ。

バーにつかまったまま鏡の自分と対峙する。バーに強く掴まりすぎない、丹田に力を込めて、でも力まず、姿勢正しく。先生の厳しい指摘を受けながら、毎回のレッスンで同じ内容をやるのは、ウォーミングアップや体を柔軟にするためだけではなく、自分の体調を確かめる大事な時間。

今日は、調子がいいだとか、ハムストリングスが引きつってるのは昨日のレッスンの筋肉痛かしらと思いながら、身体と会話し、より私は自分を理解していく。

 

 

「じゃあ、次、センターレッスンを始めます。」

スタジオの角にみんなが集まり、複数の列を作る。軽やかなバックミュージックに合わせて、先頭の人から前へ。軽快な足音、先生の手拍子、みんなの息遣い、色んな音が混ざり合い一体となる。

センターとは、広いフロアを使ってよりアクロバティックな技をやっていくこと。シェネ、ピルエットなどの回転系から、バックターン、側転、バク転などの、C難度技まで。それらを組み合わせて踊るバリエーションが私は一番好き。その場で振り付けを覚えてすぐ踊る緊張感が心地よいのだ。

大きな技ほど、できた時の喜びは大きい。失敗もするけど、汗を流して踊る。自分の極限をどれだけ広げられるか。ダンスは時として、自分との戦いだと思う。

 

 

 

ダンスは、ノンバーバルコミュニケーションと言われたりもする。心と身体の波長を一つにして空間に飛び込む。表現する。自分を解放する。自分と向き合う。そして自由になる。

 

 

息を吸って、ゆっくり吐く。

そして私はスポットライトの当たる舞台へと一歩踏み出す。

 

 

 

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「息を吸って/身体/どみの」への4件のフィードバック

  1. もう少し突っ込んだことを書いて欲しいかな、という印象。前半は良かったのだが、後半に入るにつれまとめに行くためにいろいろな荷物を置いて突っ走って行ったような感じを受けた。バレエの専門用語が出てくるのは雰囲気作りの一環として好ましい手法かなと思われるが、もう少し登場人物の心情を細かく描くと最後のまとめ部分が引き締まって際立つかなと思う。あとこれは個人の趣味だが、可能な限り横文字由来の文章は日本語の中に入れない方が読みやすく自然なような気がする。

  2. 自分と向き合ってそれを表現するダンス。
    特にバーレッスンの下りは細かく表現されていたと思う。それだけに、その次以降の文章へのつながりが少し軽く見えてしまった。文字数の都合上厳しいかもしれないが、もっと丁寧に心と身体のつながりを描写できればよかったと思った。

  3. 後半にダンスについて思っている自分の明確な考えがあって、たぶんダンスが本当に好きなんだろうなとおもった。題材として取り上げたというだけではなく。
    その考えを書いたあと、すぐに文章が終わってしまったので少しバランスは悪いのかなとおもった。

  4. 主人公がダンスをするイメージが浮かび上がりました。ダンスより舞うという印象。もっと身体というテーマに踏み込んでいいのでは。

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